2006年05月13日

酔っぱらった馬の時間(2000/イラン=仏/監督:バフマン・ゴバディ)

ユーロスペース@渋谷】

イラン=イラクの国境地帯に住むクルド人の村。この村は密輸業で生計を立てている。地雷で父親が死んでしまい、残された5人の子どもたち。12歳の少年アヨブは家長として、家族を支えるため、そして難病に冒されたマディの手術代を稼ぐために危険な密輸のキャラバンに加わる。このキャラバンは、あまりの寒さに凍える馬(ラバ)に酒を飲ませて酔わせることで密輸品の大きく重いタイヤを担がせ山越えをする過酷なもの。その道中には無数の地雷と武装した国境警備隊が待ち受けている。それでも一家の全ての責任を背負ったアヨブに迷いはなかった。

雪に閉ざされ、無数の地雷が埋まった危険な地域で、両親のいない5人のクルド人のこどもたちが過酷な現実を生きている。
長兄のマディは難病をかかえた障害児で、15歳だが容姿も精神も3歳くらいで止まっている。そんなマディをきょうだいたちは愛し慈しみ、手術代を稼ぐためにアヨブはイラクへの密輸品を担いで運ぶ過酷な労働に従事するが、日々の暮らしに精いっぱいでとてもそんな余裕はない。長姉は、マディの手術と引き換えに嫁入りするが、約束は破られマディだけ返されてしまった。
フィクションともノンフィクションともつかない、貧しく過酷な生活ゆえに助け合い愛しあうこどもたちの姿が胸にせまり、とても苦しい映画だった。

医師から「長くはもたない」と宣告され、どんどん容態の悪くなっていくマディ。見かけは障害児特有の異様な姿なんだけれども、誰からも愛され大切にされて、一生懸命きょうだいたちの後についていく姿がとてもいじらしい。注射に泣き叫んだり、アヨブのお土産のマッチョな男の写真に見入るシーンなど、愛らしさもある。
その眼は自分の運命を受け入れ、できるだけきょうだいたちの迷惑にならないようふるまっているのではないかと思わせる。

次女のアーマネがマディを墓地に連れていき「神さま、マディの病気を治してください」と祈るシーンや、イラクでラバを売るためにマディとともに国境を越えるアヨブが、抱えたマディに「大好きだよ」とささやくシーンは、あまりにも清浄で荘厳な気配に満ちている。
勉強好きのアーマネが、旅立つアヨブと「ノートがもうないの」「わかった、買ってくるよ」と交わす何気ない会話でさえ、何か言葉にできない思いで胸がいっぱいになるのである。

映画はラバを連れたアヨブとマディが国境を示す鉄条網を越えたところでぷつりと終わる。ふたりの運命、そして5人のきょうだいの未来は、決して明るくないだろう。
それでもたくましく生きていくだろうこどもたちの柔軟な強さとはかなさが、いつまでも胸に残って忘れられない。

ユーロスペースでは、バフマン・ゴバディ監督全3作品連続上映として、今後も「わが故郷の歌」「亀も空を飛ぶ」がラインナップ。本作で非常に感銘を受けたこともあり、できればあとの2本にも行きたいと思っている。

評価:★★★★☆

酔っぱらった馬の時間

カテゴリ: ジャンル別 > 外国映画 > ドラマ > ヒューマン

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2006年05月03日

闇打つ心臓(2005/日本/監督:長崎俊一)

シネアミューズ@渋谷】

yamiutsu.jpg電気店を営み、妻とは別居しているものの17才になる娘の父親として平凡な暮らしを送っているリンゴォ(内藤剛志)。そんな彼の元に23年ぶりに伊奈子(室井滋)が訪ねてくる。同じころ、自分の子どもを殺して逃亡中の透(本田章一)と有紀(江口のりこ)がいた。リンゴォと伊奈子もまた、生まれた子どもを殺し、逃げた過去を持っていた…。

内藤剛志&室井滋の8mm版「闇打つ心臓」の各シーンと、その20年後+彼らを反復する本田章一&江口のりこという2組のストーリーが並行して進み、さらにリハーサルや撮影風景がカットインするというメタ的構成は意図がよくわからない。
内藤剛志が「透を殴りたい」とやたら息巻いてる撮影風景は何なんだろうか? 内藤剛志と室井滋が前作に対して何らかの強い思いをひきずっており、いつのまにかリメイクの本作を通して落とし前をつけることに主題がブレている。
純粋に“子殺し男女の苦悩と贖罪”が観たかっただけなので、この手法はかなり面食らった。なんだか内藤剛志の思い入れにひきずられてしまい、「この2組はどこで出会っていつ殴るんだぁ」といったことばかり気になって、肝心のストーリーに入り込めないきらいがある。

現代の子殺しカップル、本田章一と江口のりこはよかったなぁ。幸薄そうな顔立ちの江口のりこは、常にふてくされた態度で、何を考えているのかよくわからない。垂れる水滴や子どもの声といった幻聴におびえる姿に、何やら成熟しきっていない固いつぼみのようなエロスを発散させている。
汚いアパートの一室で、透(本田章一)に「パンツ代えろよ」と言われてめんどくさそうにスカートをたくしあげて脱ぐところや、夜はセーター一枚で下はパンツのみという姿が妙に艶めかしかった。
貫禄のある内藤剛志と室井滋の演技に対して、退廃的で危ういものを感じさせる若いふたり。このふたりのみの、純粋なリメイクの本作が観たかった気がする。

評価:★★★☆☆

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2006年04月23日

ヨコハマメリー(2005/日本/監督:中村高寛)


すでにこの映画を観ていた友人に「客は年配の人が多いよ」と聞いてはいたが…。
劇場に着いてびっくり。現在はモーニングショーのみの上映だが、受付にはずらりと人が並び、スタッフが「もうすぐ立ち見となります」と呼びかけるほどの盛況ぶり。ギリギリで席を確保することができたが、周囲は友人の言っていたとおり、年配の方が多かった。
私の隣には、白髪の老婦人2人づれ。場所は新宿だったけれど、やはり横浜に縁のある方たちだろうか。

yokohamamary.jpg顔を白く塗り、横浜の街角に立ち続ける老婆。戦後50年間、娼婦としての生き方を貫き、“ハマのメリーさん”と呼ばれた彼女は、95年冬、忽然と姿を消した。弱冠30歳の中村高寛監督が、そんな伝説の女性の半生を追った感動ドキュメンタリー。

私は関東へ来たのがたぶん96年くらいなので(当時は川崎に住んでました)、ヨコハマメリーさんの存在は知らなかったのだが、都市伝説となったメリーさんの半生は非常に興味深く、メリーさんの生きざまに戦後史や街の変容を投影する人々の思いに、強く心を打たれるドキュメンタリーになっている。
どんな街にも、誰も素性を知らず噂だけで語られる有名人はいるものだが、いつの時点からか時代の流れからドロップアウトしたメリーさんの影からは、一人で生き抜く強さと哀しさが垣間見える。
誰にも心を開くことなく街を彷徨い続け、プライドが高く施しを嫌い、芸術と美しいものを愛したメリーさん。
そんな不思議なメリーさんの半生を縦軸に、メリーさんと交流のあった人々が語る“ヨコハマ”史が横軸となり、かつては米兵とパンパンが闊歩し、外人墓地には混血の赤ん坊が捨てられていたというダークな戦後ヨコハマ史が浮き彫りになっている。

多くの人の記憶に刻まれつつ、不意にヨコハマから姿を消したメリーさん。
映画は、メリーさんの友人であったヨコハマのシャンソン歌手、故・永登元次郎氏が、故郷に戻ったメリーさんを訪ねるシーンで締めくくられるが、そこには白塗りや貴族チックなドレスといった仮面を脱いだ、平凡な老婆が映っていた。
ここで初めて、お化けのような白塗りのイメージしかないメリーさんの素顔を見ることになるが、穏やかで気品のある老婆の姿にあの波乱万丈の人生を思い、メリーさんの存在した意味や、残したものについて考えずにはいられない。

評価:★★★★☆

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2005年08月18日

妖怪大戦争(2005/日本/監督:三池崇史)

youkai.jpgお笑い芸人→3度のメシより好き、妖怪→水木先生の妖怪図鑑持ってました、三池崇史/宮部みゆき→よく観てます&読んでます、京極夏彦→それほどでもないけど。……ってことで観て参りました妖怪大戦争。

親の離婚により、母親の田舎で暮らしているタダシ(神木隆之介)は、村の夏祭りで、世界に平和をもたらす“麒麟送子”に選ばれる。
その頃、魔人・加藤保憲(豊川悦司)は、手下のアギ(栗山千明)とともに、廃棄物から生まれた怨霊[ヨモツモノ]を使って世界を壊滅させようとしていた。
大天狗から聖剣を授かったタダシは、妖怪たちと協力し、加藤に戦いを挑む。

意外とこれ、ストーリー煩雑だよね。子ども映画と言い切ることもないと思う。
人間に復讐を企む加藤(帝都大戦のあの人だけど)にまつわる説明がほとんどなく、かなり謎の存在。
嶋田久作では子どもが泣き叫ぶから、マイルドなトヨエツにしたのかと思っていたが、なかなかどうして、トヨエツ加藤もけっこうな迫力ではありませんか。

お祭り映画らしく、豪華なキャスティングが見どころ。
私の好きな芸人は130Rくらいしか出てないのが残念だったけれども。
妖怪軍団は特殊メイクでほとんどわからなかったので、エンドロールでその豪華さにあらためて驚いた。私がわかったのは竹中直人、阿部サダヲ、マメ山田くらいだよ……。(もちろんナイナイ岡村と雨上がり蛍原もわかったけど)

宮部みゆき、京極夏彦、荒俣宏、ついでに大沢在昌の作家陣、そして水木しげる御大も出演。宮部さんはちょっと太りましたかね。

ストーリー全体に、これでもかとベタな笑いが散りばめられており、声出して笑うような箇所はひとつもないが(私はめったなことでは笑わない)、ドラマとのバランスはぎりぎりとれていたのではないだろうか。まぁ、私は映画にお笑いを求めてはいないので、別にシリアス路線でもよかったんだけれど、ふんだんなギャグのおかげで、愛すべき壮大なバカ映画に仕上がっていることは否めない。私の笑いの感性とはずれているが、こういうスタンスは好きです。
個人的には、妖怪軍団の中に、“牛頭”([くだん])がぽつねんと入っていたのが一番のツボ。

妖怪の造形がやや甘いのと、CGのヘタレっぷりは、天才子役・神木隆之介くんと、アギ&河娘のエロっぷりでカバー。それでも、スネコスリの微妙な感じはどうよ? と言いたいが。マルコのアメディオ、ネロのパトラッシュ、ハイジのユキちゃん的な存在だというのに、どうにかならんかったのかね、あれは。

CGの描きこみが良かったのは[ヨモツモノ]。たまたま新宿で観ていたので、[ヨモツモノ]が新宿上空を覆うシーンはかなりの臨場感があり、その瞬間観客全員が一体化したような気がしましたw

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2005年08月15日

夢のチョコレート工場(1971/アメリカ/監督:メル・スチュアート)

父親のいないチャーリーの家。寝たきり老人が4人(!)もいて生活は苦しいが、チャーリーは新聞配達でためたお金で家族にパンを買ってあげたりと心優しい少年。
街には“ワンカ”というチョコレート工場があるが、いつも門は閉ざされており、誰も中に入ったことがない。
ある日、“ワンカ”のチョコレートに金のチケットが入っていたら、素晴らしいプレゼントがもらえるという企画が発表され、たった5枚の金のチケットをめぐって世界中大騒ぎに。
最後の一人は、拾ったお金でチョコレートを買ったチャーリーだった。金のチケットをゲットした5人の子どもとその親たちは、謎の“ワンカ”の工場見学に招待される。

前半、金のチケットをめぐるありえないバカ騒ぎっぷりが実に楽しい。
大の大人が“チョコレート一生分”にあれほど熱くなるとは……なんと暇な、いや素敵な人たちであろうか。
この前半だけでかなり引き込まれるが、舞台がチョコレート工場の内部に移るとがらりと雰囲気が変わる。

チープでカラフルでグロテスクなチョコレート工場の世界は、一度観たら忘れられない強烈さ。この世界観と、ミスター・ワンカの自由な発想は、子どもが思い描くお菓子のユートピアそのものといった感じで、いつかどこかで見たような懐かしい気分になった。
30年以上前の映画だし、おもちゃのようなセットはさすがに見劣りするが、ただ楽しくて夢のような世界というだけではないところがミソ。
魅力的な罠があちこちに仕掛けてあって、子どもにとってはけっこうなデンジャラスゾーンなのだ。だってチョコレートの川なんか流れてたら、そりゃすくって飲んでみるでしょう、とりあえずは。

わがままな子ども&ダメ親が次々と罠にひっかかるたび、不気味な小人たちが「ウンパ ルンパ ドゥパディ ドゥ〜♪」という、一生耳にこびりついて離れない歌を歌い出す。この小人たちはおそらく本物のミゼットだろうが、その不気味シュールな造形は到底子ども向け映画とは思えません。歌にさらりと皮肉と説教をこめているあたりも一筋縄ではいかない。

強烈な印象を残すチョコレート工場も良いんだけど、私は前半の金のチケット騒動のばかばかしさがたまらなく好きだ。
街のたたずまいや、4人の老人がむりやり一つのベッドで寝ているチャーリーの家もいい。
あと、チャーリーは貧しいけどオシャレだなぁと思った。赤いセーターがよく似合ってるね。

ティム・バートン&ジョニー・デップのリメイク版が日本でも来月公開されるようで。
ストーリーが魅力的だし、チョコレート工場の世界観はいくらでもふくらませることができそうなので、現代の映像技術によるリメイクはとても楽しみだ。大期待。

【★★★★★】

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2005年08月15日

蘇える金狼(1979/日本/監督:村川透)

昼間は冴えないサラリーマン、夜は巨大資本の乗っ取りをたくらむアウトローという2つの顔をもつ男・朝倉哲也(松田優作)。銀行の現金輸送車を襲い、手にした1億円を麻薬に代える。麻薬を使って上司の愛人(風吹ジュン)を手なずけ、会社の横領事件を利用してのし上がっていく。

こういう二面性願望は男だけでなく女にもあるはず(昼間は冴えないOL、夜は……SMの女王とかw)。誰しも憧れるヒーロー像をなんなくやってのける松田優作のカッコ良さを堪能するにはもってこい。

このような設定が面白くないはずはなく、1億円強奪や麻薬組織との渡り合い、風吹ジュンをたらし込むあたりまでは“攻めの優作”に圧倒されるが、会社の横領事件がからんでくるあたりからやや迷走ぎみ。横領をネタに会社の重役をゆする男・桜井(千葉真一)の存在が唐突で、一時的に朝倉はなんだか傍観者的立場になってしまうのだ。その後はかなり強引に事件に割り込んでいって、いつのまにか朝倉が中心になっているが、棚からボタモチというか漁夫の利というか、そういう感じがぬぐえない。目的のためには手段をえらばない面を強調したかったのかもしれないが、もっとシンプルな展開にしてもよかったのではないかと思う。

朝倉の金と権力への飽くなき執着はどこから来るのか説明されていないので、冷酷な悪党ぶりがいまひとつ理解できないのだが(説得力がないわけではないが)、原作読んでみるか。

それにしても、松田優作と風吹ジュンの濡れ場は本気でエロい。風吹ジュンのほうがノリノリでまぐわってる感じだ。あんた、優作に惚れてるね。

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2005年08月14日

妖怪大戦争(1968/日本/監督:黒田義之)

古代バビロニアの遺跡からよみがえった妖怪・ダイモン。江戸時代の日本に襲来し、その地の代官の血をすすり乗り移る。人が変わってしまった代官の屋敷の庭の池には河童が住んでおり、仲間の妖怪たちに助けを求めた。油すましをリーダーとする日本の妖怪たちは人間と協力し、ダイモンを倒そうとする。

バビロニアの妖怪がなぜ日本を襲うのか定かではないが、そもそも“ダイモン”という名前も容姿も和風なので、江戸時代の日本の風景にもけっこうなじんでしまっている。“ダイモンに血を吸われると仲間になる”という設定はドラキュラっぽいけど。そういう能力を持ってる日本の妖怪って聞いたことないもんね。
なんとなく天狗とか鬼を思わせるダイモンの風貌は、当時の子どもには充分怖いクリーチャー造形だったのではないか。

対する日本の妖怪軍団は、油すまし、河童、からかさお化け、ろくろ首、二面女などおなじみのメンツで、見かけも言動もユーモラスで好感度大。
意気込んでダイモンに乗り移られた代官の屋敷に押しかけたものの、あっさり返り討ちに遭い、「覚えてやがれ!」と捨てゼリフを吐いて退散したり、たまたま飛んできたお札の力で全員壷に封じ込められてしまったり、ほとんど役にたたないところもご愛敬。ってかダイモン強すぎ。分身したり、大きくなったりなんて反則ではないですか!
巨大化したダイモンの眼を狙うため、油すましがからかさお化けの足につかまって空を飛ぶのはナイスな作戦である。さすがチーム日本妖怪のリーダー!

着ぐるみのせいか、立ち廻りはもっちゃりしているが、妖怪たちの個性もしっかり出ていて、素朴な味わいが魅力。
ラストの妖怪大行進は、「妖怪百物語」以来のパターンなのかしらん。

【★★★★☆】

「妖怪大戦争」9.6公開記念 元祖・大映「妖怪」三部作一挙放送@日本映画専門チャンネル
↑正しくは「8.6公開」。ウエブマスターさん、堂々と間違ってますよ!

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2003年08月27日

山の郵便配達(1999/中国/監督:フォ・ジェンチイ)

 中国の山間部。山奥の村々に手紙を届けるため、120kmの道のりを3日間かけて歩く郵便配達の仕事をしている父。その激務に足を悪くし、引退を余儀なくされるが、24歳の息子が郵便配達を継ぐことになった。初仕事の日、息子は父と愛犬を伴って郵便配達の旅に出る。山中の道なき道を進みながら、最初はどこかよそよそしい父と息子の関係が、次第に距離を縮めていく様子が淡々と描かれる。
 な、泣けた〜・゚・(ノД`)・゚・
 過酷な仕事だが誇りを持って郵便配達をつとめていた父。幼いころから仕事でほとんど家にいなかった父にどこかなじめなかった息子も、父の背中を追い、仕事を受け継ぐ旅をしているうちに、父への思いが少しずつ変化していく。淡々とした二人(と一匹)の旅の合間に、行く先々で出遭う人々との交流や家族の思い出などのエピソードが散りばめられるが、どれも印象深く、じんわりと温かいものがこみあげてくる。
 中国の大自然をバックにした映像美も素晴らしく、目に鮮やかというより、どちらかというと水墨画のような幽玄さを感じた。また、私の故郷も山間部なので、山の間に這うように家が立ち並ぶ風景にはやはり郷愁を感じる。これは都会育ちの人には分からない感覚かもね。
 出演者の抑えた演技も良い。息子役の青年は、最初はちょっと垢抜けないもっさり感を受けるが、どんどん笑顔が魅力的なイケメンに見えてくるなぁ。ずっと誰かに似ていると思って見ていたが、2丁拳銃の修二(ツッコミの方)にちょい似かな?

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2002年04月01日

ユージュアル・サスペクツ(1995/アメリカ/監督:ブライアン・シンガー)

 これは内容が内容だけに、ほとんど詳しいことは書けません。とりあえず、私は前評判や先入観などいっさい白紙の状態で観たという幸運に感謝。とある有名古典ミステリを初めて読んだときのような「やられた」感を存分に味わうことができた。これはビデオを返却する前にもう一度観てしまいそうである。
 「私が愛したギャングスター」ではほとんど魅力を感じなかったケヴィン・スペイシーだが、彼の評価が高いのはこの作品の演技力によるものだったのねん。納得。ラスト1分のカッコ良さには参りましたって感じ。
 これを観た日本人なら必ずツボにはまると思われるのは、やはり「謎のコバヤシ弁護士」であろう。あちらの映画やドラマに出てくる日系の役って、たいてい中国系の俳優がやっていることが多いのだが、コバヤシ弁護士は見ようによっては日系に見えなくもない人が演じているのがエライ。あぁいう顔のオジサン、工事現場とかにいそうな気配もあるが、でもやっぱり欧米人顔だよなぁ。なんでコバヤシ?

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2002年02月20日

妖怪百物語(1968/大映)

▼新文芸坐オールナイトプログラム「トンデモ時代劇映画」にて(2001/11/10)

 何かで京極夏彦がこの映画について熱く語っていたとかで、同行者(おおみ)が観たかったらしい1本。とりあえず今回のお目当てなのだ。
 妖怪はわんさと出てくるのだが、観終わってそれほどトンデモだったと感じないのは、ストーリー自体はオーソドックスな時代劇そのものだからかもしれない。悪徳奉行と悪徳越後屋が組んで、貧乏長屋をつぶして金儲けをたくらみ、ついでにその長屋の娘を奉行が手篭めにしようとするが、身分を隠した長屋の住民の浪人に助けられ……と、遠山の金さん的ストーリー。百物語や妖怪のからませ具合はちょっと無理やり気味だが、ラストの妖怪版・エレクトリカルパレードといったおもむきの百鬼夜行はいい味出ている。
 気になったのは、家の中でも真っ白い息を吐いている登場人物たち。真冬の撮影だったとみえるが、百物語ってふつう夏にやるんじゃないの? それとも、怪談=夏という図式は、鶴屋南北が客の入らない夏の歌舞伎興行に怪談ものをかけて大成功させた以降の固定観念か?

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