2006年05月17日

ナイロビの蜂(2005/イギリス/監督:フェルナンド・メイレレス)


nairobi.jpgアフリカ・ケニアのナイロビ。ガーデニングが唯一の趣味という英国外務省の一等書記官ジャスティン(レイフ・ファインズ)。事なかれ主義の彼は、アフリカで精力的に救援活動を続ける妻テッサ(レイチェル・ワイズ)の行動には深く立ち入らず、見ない振りを決め込んでいた。ところがそんなある日、テッサは救援活動中に何者かに殺されてしまう。警察はよくある殺人事件の一つとして処理しようとしていた。しかし、事件に不審なものを感じたジャスティンは、意を決して自ら事件の調査に乗り出すのだったが…。

ジョン・ル・カレの原作は読んでいないのだが、帚木蓬生の「アフリカの蹄」に似てる…と思ったのは私だけか?
また、巨大製薬会社が政府と癒着し、企業の利益を優先させて薬害をまきちらそうとするプロットは、日本で実際にあったミドリ十字の薬害エイズ事件を彷彿とさせる。こういう映画を観て、先進諸国の食い物になっているアフリカの現状に憤るのはたやすいけれども、ごく身近で起こった実際の事件すら忘れかけている人が多いのが実情なのだ。アフリカじゃなくとも、こんなこといくらでも繰り返されるであろう。日本の薬害エイズ事件は止める人すらいなかったのである。

…と、さまざまなことを考えながら観た本作。サスペンスとラブロマンスがきわどいバランスで拮抗しており、いろいろな見方のできる懐の深い映画である。
テッサの行動はあんまり理解できなかったけれども。大切な人を守るために何も言わないでおくことが愛なのか。それはジャスティンを侮っていることに他ならないと思うし、結果的には最悪の事態をまねいている。若いテッサの熱い正義感は伝わってくるが、ふたりの絆はやや危ういものを感じてしまった。まぁ、前半のジャスティンの日和見な性格では巻き込んでもロクなことにならなそうであるが。

むしろ、テッサが死んでからのほうが本当の意味でふたりは結ばれたように思え、ラストはかなりぐっときたね。
骨太な社会派テーマとラブストーリーの二面性が深みをもたせ、母なる大地の雄大な風景、圧倒的な数の粗末な小屋が立ち並ぶスラム地区など、アフリカのロケーションも素晴らしかった。見応えのある映画です。

評価:★★★★☆

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2006年04月15日

ナイト・ウォッチ NOCHNOI DOZOR(2004/ロシア/監督:ティムール・ベクマンベトフ)


nightwatch.jpg世界はかつて、光の勢力と闇の勢力との間で激戦を続け、破滅の危機にあった。やがて戦いの無益さに気付いた両者は、1000年前に休戦協定を結ぶ。以来、特殊な超能力を持つ“異種(アザーズ)”に目覚めた人間は、光につくか闇につくか、それぞれ本人の意志で決めることに。そして光は闇の監視人“ナイト・ウォッチ”、闇は光の監視人“デイ・ウォッチ”として互いを見張り、その均衡を保っていった。現代のモスクワ。予知能力を持つナイト・ウォッチのメンバー、アントン(コンスタンチン・ハベンスキー)はある日、地下鉄で狙われた12歳の少年イゴール(ディマ・マルティノフ)を助けるために闇のヴァンパイアを仕留める。また彼はそこで、伝説の“災いを招く乙女”を見かけた。それが世に現われると光と闇の均衡が崩れ、“偉大なる異種”が出現し、光と闇どちらかに加勢するという。そんな中、モスクワに異常気象が発生。またしてもイゴールを巡り、アントンら光と闇とが相まみえるのだが…。

わはは、どこもかしこも酷評だね。まぁ、東欧SFなんてターゲットはだいぶ狭いだろうし、さもありなんという気はする。
といいつつ、私もSFは不案内なほうなのだが、これってSFというよりダークファンタジーだね。
…と思ったら、ロシアにはハードSF小説ってほとんどないみたいである。

酷評が多いが、ストーリーは面白いと思う。分かりづらくてついてけない人も多いだろうけど。
ナイト・ウォッチ、デイ・ウォッチが互いに監視しあってるとか、“災いを招く乙女”のくだりもわりと好きな世界観だ。光と闇が単純な善悪では描かれていないところもあって、読みこみや解釈が要求される作品は嫌いじゃない。
ただやっぱり、原作読者が前提だなぁと感じるところが多々あり、説明不足な感は否めない。
主人公アントンの“異種”能力がほとんど描かれておらず、ナゼ彼が主役なのか? ヴァンパイアの女が「ナイト・ウォッチは私を守ってくれなかった」というセリフの意味は?
ここらへんは鑑賞後に東欧SFヲタの相方に補完してもらったので、皆さんにもおすそわけ。
  • “異種”の能力にはランクがあり、アントンは低いレベル。つまり彼はスーパーヒーローではない、生身の人間に近いヒーローとして描かれている。オリガ(フクロウ女)はそれなりに高いランクの魔女。“災いを招く乙女”は最高ランク(原作では呪いをかけるのは別の人間らしい)。…確かにすごい呪いだった。

  • 光の異種は自分のために能力を使ってはいけない。オリガはその昔、その掟に違反したために罰を受けた。パートナーとして特に何の役にも立っていないように見えるがw、いちおうアントンのブレイン。

  • 闇の異種が血液摂取のために襲っても良い人間は、ナイト・ウォッチがランダムに決めている。ヴァンパイア女は襲って良い人間とされていたので、ナイト・ウォッチのせいでヴァンパイアになったとも言える。

…間違ってたらスイマセンだが、詳しく聞けばなかなか興味深い設定ではないの。
本作はやや飛ばしすぎた感はあるが、次作以降で、猿でもわかるように描いてくれれば面白いシリーズになるんじゃないかと期待。

映像については、せっかく独特の映像表現やカメラワークが見られたのに、何もマトリックスを引き合いに出すことはなかった。これは大失敗であろう。
サイバーパンクには程遠い泥臭さというか、いかにも東欧的な、薄汚いw映像は好みが別れると思うんだけど、私は好きだなぁ。

評価:★★★☆☆

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2006年04月07日

ナイチンゲーロ(2006/日本/監督:末永賢)


ヘンなもの好きの同僚と。
レイトショーの時間まで、渋谷センター街にオープンしたヨシモト∞ホールで第二部(MC:ほっしゃん。)を観覧。CSのチャンネルなので観た人も少ないと思うが、この日の放送でネタオークションを1件落札したのは私の同僚です…。

nightingalo.jpg看護学校に通う女の子5人組が、最後の夏休みを海辺の宿舎で過ごすことに。ところが彼女たちはそれぞれに秘密を抱え、どこか険悪なムードすら漂っていた。やがて、そのうちの一人が海でケガをして身体に異常を来すと、それが引き金となり、想像を絶する惨劇が彼女たちに襲い掛かってくるのだった…。

上映前に、この映画のエンディングテーマを歌っているレディ・ママレードのミニライブあり。
デビューしたばかりの若い女の子3人組で、最前列におっかけらしき人々が…。うわぁ、なんかすげぇな。

さて、映画のほうは…面白くないねぇ(;´Д`)
コンセプトはピチピチの女の子5人組が水着ではしゃぐことらしい。
水着できゃいきゃいしてるだけではなく、5人が泊まったいわくありげな宿舎で、過去に凄惨な死に方をした女(吉井怜)の呪いに巻き込まれるという至って安易な設定もあることはある。
とにかくホラー描写に至るまでが長い。5人は看護学生なのだが、看護士ではなくOLという道を選んだ子に対して裏切られたという思いがあるようで、徐々に友情に亀裂が入っていくのだが、そんなのどうでもいいって感じである。
仲間同士で抜けがけは許さないという、ドロドロした女の友情の一面がよく出ているが、女5人の友情なんて無理があるのはわかりきってる気がするなぁ。

途中から夢なのか現実なのかあいまいな描写になってきて、もう何だかよくわからないまま終わる。
女の呪いは夢だったのかもしれないという解釈もできるため、怖くもなんともないし。
出てる女の子のファンとかでないかぎり、タダのホラー好きには決して楽しめない作品である。
“ナイチンゲーロ”というタイトルはなかなかインパクトがあるが、結局意味がわかりませんでした。

評価:★☆☆☆☆

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2006年03月08日

ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女(2005/アメリカ/アンドリュー・アダムソン)


narnia.jpg第二次世界大戦下のイギリス。ペベンシー家の子どもたち、ピーター(ウィリアム・モーズリー)、スーザン(アナ・ポップルウェル)、エドマンド(スキャンダー・ケインズ)、ルーシー(ジョージー・ヘンリー)の4人は、ロンドンの空襲を逃れ、田舎のカーク教授(ジム・ブロードベント)のもとに預けられる。古くて広い教授の屋敷を探索していた末っ子のルーシーは、空き部屋で大きな衣装だんすを見つけ、何かに導かれるようにその奥へと進んでいく。そして、ふと気づくとルーシーは雪に覆われた森の中に立っていた。そこは、言葉を話す不思議な生きものたちが暮らす魔法の国“ナルニア”。偉大な王アスラン(声:リーアム・ニーソン)が作った美しいこの国は、冷酷な白い魔女(ティルダ・スウィントン)によって100年もの間冬の世界に閉じ込められていた。ナルニアの住人たちはひたすらにアスランの帰還を祈り続けていた。やがてペベンシー家の4人の幼き子どもたちは、この国の運命が自分たちの手に託されたことを知るのだった…。

面白かったよ、うん。
何にも残らないけどw

誰もが楽しめるストーリー、美麗なCGによる異世界の作りこみ、多彩なキャラクター・クリーチャーなど、全体的にバランスのとれた及第点の作品。
ファミリー向け、あるいはデートムービーに徹したつくりだが、突出したものがあるとすれば、キャスティングかな。
冒頭ではえらく地味に感じる4人きょうだいのアンサンブルも、物語が進むにつれ、それぞれのキャラクターがしっかり描きわけられ魅力が増していく。とくに末っ子のルーシー役ジョージー・ヘンリーは、初出演とは思えないほど表現力が豊かで、おしゃまな感じがとてもかわいらしかった。
アスランと、ティルダ・スウィントン(てっきりケイト・ブランシェットかと…)の魔女もよかったね。善悪の対比のわかりやすいキャラ設定で、子どもにもなじみやすい。

原作はファンタジー児童文学の金字塔とはいえ、書かれたのは半世紀も前となれば、もはや古典。
子どもはともかく、骨太なファンタジーを見慣れたすれっからしの大人にはもの足りない作品であろう。世界観やストーリーに夢と高揚感はあるけれど、重厚さやリアリズムは感じられず、今となっては、ハリポタやLOTRを超えることはむずかしいだろう。
このジャンルで、別の視点からインパクトあるものにするには、やっぱアレしかない。

ミ ュ ー ジ カ ル。

史上初(たぶん…)、ファンタジーミュージカル連作。
ミュージカルて、ファンタジーよりもさらに好き嫌いが激しいが、うまくハマればライトファンからコアなファンまで、さまざまな層が見込めると思う。
ディズニーならミュージカル映画のノウハウもばっちり。
キモとなる楽曲に力をそそげば、それだけで語り継がれるものになるはずだ。
ハリポタ、LOTRに比べても、シンプルなストーリーと牧歌的な世界観がミュージカルに向いてると思うんだけどなぁ。

どうですかディズニーさん。そういうのやってくれませんか。

評価:★★★☆☆
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2005年10月03日

NOTHING(2003/カナダ=日/監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ)


nothing.jpgCUBE」の鬼才、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の最新作ということで、前売券まで買って公開を楽しみにしてた作品。
カンパニー・マン」で首を傾げた人も、これは観るべし!

幼いころから親友同士、嫌われ者のデイブ(デビッド・ヒューレット)と引きこもりのアンドリュー(アンドリュー・ミラー)。社会にうまく順応できないふたりは、互いの欠点を補いながらアンドリューの家で共同生活を送っていた。ある日、アンドリューの家が取り壊されることになり、パニックに陥ったふたりは同時に叫ぶ。「放っといてくれ!」。気がつくと、家の周囲には恐ろしい異変が起こっていた……。

ジャンルも映像も奇妙極まりない。まったく観たことがないタイプの映画。
CUBEは人工的に造られた不条理な空間だったが、こちらは人知を超えた不条理世界。
一見バカバカしくて誰でも思いつきそうだが、誰も考えが及ばなかったアイデアを映像化してしまった手腕には恐れ入る。

主役のふたりはどっちも稀に見るダメキャラ。発狂しそうな不条理世界を生き抜くには、こんなマヌケなキャラでないとダメなのかもしれないw
誰も体験したことのない世界をエンジョイするふたりのアホに、イライラしたりちょっと共感してみたり。これが男女じゃなくてよかった。タイプの異なるダメ男ふたりだからこそ、独特のおかしみや哀愁が感じられるのではないだろうか。

登場人物はほぼふたりのみで、ほとんど何もないバック。単調な映像になりがちなところを、想像のつかない展開と独創的な特殊効果で飽きずに楽しめる。

難を言えば、やや字幕が読みづらいこと。
そのわけは、観た人にはすぐわかりますね。

【★★★★★】
NOTHINGNOTHING

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2005年08月06日

ナイン・ソウルズ(2003/日本/監督:豊田利晃)

10年間の引きこもりの末、父親を殺した金子未散(松田龍平)は刑務所に送られるが、ある日、同室の受刑者8人とともに脱走に成功。
古びたバンで逃走を続ける9人は、やり残したことへの決着や自らの居場所を求め、それぞれの道を進んでいくが……。

9人は多すぎるだろと思っていたが、個性豊かなキャスティングと、それぞれのエピソードを描きすぎないバランスがとても良かった。
メンツは、原田芳雄、松田龍平、千原浩史、鬼丸、板尾創路、KEE、マメ山田、鈴木卓爾、大楽源太。私はもちろん千原浩史と板尾創路が見たかったのだが、今まであまりチェックしてなかった松田龍平はいい役者だなぁと思った。狂気と血しぶきがよく似合う。

9人ともかなり壮絶な殺人を犯しているのだけれど、少しずつ彼らなりの事情が明かされるにつれ、なんとも複雑な心持ちに。9人とも、どこか社会と相容れられない、大事なネジが足りない人たちなのだが、私たちと同じように大切な人がいて、ささやかな夢がある。世間では殺人鬼と呼ばれるであろう彼らを応援したい気持ちになってしまうが、大きな罪を背負い、贖罪も済んでいない9人を受け入れるほど社会は甘くない。
そんなことは誰よりもよく分かっていたはずの彼らに訪れる、容赦のない結末がせつない。

救いのない最期が続くなかで、突如ファンタジー入ってる松田龍平のラストはどうかなぁ。9人のうち、誰も救いは求めていない気がするんだけど。あのラストで救われるのは観客か?

脚本も良かったが、それ以上にキャスティングが光っている映画で、主役の9人のほか、やけに豪華な女優陣(伊東美咲、松たか子、京野ことみなど)と脇役(井上順、北村一輝、瑛太など)も印象に残る。
気付く人はあまり多くないだろうが、チラリと吉本興業の若手も出ていて、ガソリンスタンドの従業員に線香花火(解散しますた)、携帯電話を貸すコンマニセンチには気付いたが、他にもいたのかな?
こうなると、松田龍平がライセンスの藤原に見えてきてしまう。ファンの人ごめんなさい。(でも、ライセンス藤原もかなりの男前)

【★★★★☆】

ナイン・ソウルズ
B00012T1R0原田芳雄 豊田利晃 松田龍平 千原浩史

ポニーキャニオン 2004-01-21
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2005年07月11日

南極物語(1983/日本/監督:蔵原惟繕)

おそらく、生まれて初めてスクリーンで観た映画がコレ。
今も果たして感動できるだろうかと、ずっと観たいなぁと思っていたのだが、日本映画専門チャンネルで放映されたのを好機に20年ぶりに観てみた。

南極第1次越冬隊と2次越冬隊の交替時、かつてない悪天候に見舞われ2次隊の昭和基地派遣は断念を余儀なくされる。だが、1次隊犬ぞり係の潮田(高倉健)と越知(渡瀬恒彦)は15頭のカラフト犬を基地の外に鎖で繋ぎっぱなしにしてきており、犬たちを助けに戻ることを懇願するが、すでにそこまでの燃料もなく、やむなく犬たちを置き去りに帰国する。
残された犬たちの半数は自力で鎖を切り、首輪を抜け、過酷な南極の地で生き抜くための戦いが始まった。

美化されすぎとか、犬本当に殺してんじゃないのとか、犬置き去りの意味がワカランとか、いろいろと批判も多い映画であるが、犬置いてくるなんて非人道的って批判はどうなんだろう。
結果的に繋ぎっぱなしで置き去りにしてしまったことは人間のエゴではあるが、なにも置いてきたくて置いてきたわけじゃないんだし。
越冬隊を非難する人たちは、新潟地震でやむなく飼っていた牛を放置して人間だけ退避した山古志村の人々も非難するのか? 村に残された牛が液状化した地盤に沈み込んでいる映像はかなり衝撃的だったが、村人への非難はとくに聞かなかったなぁ。
非難するのは、タロ・ジロがお犬様だから? そこんとこの意識の差もまた人間のエゴに思えるのだが。

私は子どものころ犬に噛まれて頬に穴が開いたことがあるが、まったく犬嫌いではないし、むしろ犬も含めどんな動物でも好きなほうだが、機会があれば犬鍋を食べてみたいとも思っている。これって愛犬家の人びとには噴飯もの? 牛肉や豚肉食べるのとどう違うのかわからないのだが。

余談はさておき、空前の大ヒットを記録した本作だが、今観ると演出もストーリーも大味で粗いねぇ。もう少しコンパクトに編集できなかったものか。
20年後の感想としては、犬たちのがんばりによる鬼気せまる演技と南極ロケ(実際は北極ロケがほとんどだそう)と壮大な音楽だけが観るべきものがある映画でした。
実話は確かに感動的ではあるけれど、映画にする必要があったのかなぁ。犬たちにあそこまでさせる意味が。
映画の収益が動物のために何か使われたという話も聞かないし。何だかいろいろ腑に落ちない点も多い感動大作だが、動物映画に金を落とすのはやめようと改めて思ったことは観た甲斐あったかもしれない。

素朴な疑問として、実際のところ、タロ・ジロは生き抜くために仲間の死体を食べたりしなかったのだろうか。たとえそうだったとしても、そこは誰も非難しませんよ、タロさんジロさん。

【★★★☆☆】

南極物語
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2005年06月26日

NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE(2004/日本/監督:鈴木雅之)

伊賀忍者・服部カンゾウ(香取慎吾)は、師匠である父(伊東四郎)に命じられ、最後の修業として現代の江戸(東京)へ。最初に会った人を主とし、決して主以外に姿を見せることなく守り抜くという忍びの掟を課せられた。
東京へやってきたハットリくんが最初に会ったのは小学3年生のケンイチ。ケンイチの家にこっそり住み込み、奇妙な共同生活が始まった。

私はモロ藤子不二雄世代。子どものころ、周囲も男女問わず藤子不二雄作品はよく観てたなぁ。
そういうわけでハットリくん。香取慎吾がまさか子どものハットリくんをやるわけではあるまいなと思っていたが、やっぱりそれなりに大人だった。主が小学生とは無理がありすぎる設定。
ライバルのケムマキ(ガレッジセール・ゴリ)は教職に就いちゃったりしてるし。
香取慎吾もそろそろこういうポジションは辛いのではないかな。イメージ合ってるとは思うけど、なにやら痛々しい気がしないでもない。

それほど期待して観たわけでもないが、悪くない。悪くはないが、これといって良いところも見当たらず……。バカっぷりがいまひとつ突き抜けていない。
しいて言うならキャスティング。ハットリくんもさることながら、ゴリのケムマキが意外とクールでカッコ良い。ケムマキってこんなキャラだったか。
ケンイチ氏(けんいちうじ)の子役はちょっと演技ぎこちないかな。
そして、犬のシシ丸(ちくわ大好き)をもっと出して欲しかった。

VFXによる忍法は、あまりに子どもだましで正直見ごたえはあまりない。
せっかくの素材なので、わけのわからないオリジナル忍法出すくらいでも良かったのになぁ。

シリアスな展開や感動的なシーンも、ハットリくんの頬のうずまきが全てぶち壊している怪作。

【★★★☆☆】

NIN × NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE プレミアム・エディション
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starちょっと、違うかなぁ…
starヤッパリ香取慎吾ゎヵヮィィデス☆

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2005年06月12日

日本沈没(1973/日本/監督:森谷司郎)

脳裏に焼きつく強烈なタイトルがすばらしいパニックスペクタクル。

深海探査艇“わだつみ”による調査で、日本海溝に異常現象が観測された。調査を続行した田所博士(小林桂樹)の「近いうちに日本が沈む」という予測を受け、政府による海底調査と民族脱出の極秘プロジェクトが発足。やがて日本列島は大地震や火山噴火など次々と異変に見舞われる。

TVドラマやノーカットなどいろんなバージョンがあるようだが、私が観たのはどれなんだろう? 2時間半で、ややエピソードが散漫な印象を受けたのでディレクターズカット版かな。
当時それほど大ヒットし、日本人に底知れぬ恐怖を植え付けた映画なのだ。

人物ドラマの部分も、災害対策・救援活動がメインなので騒然としており決して“静”ではないのだが、何しろ間に挟まれるのが地震や噴火といった大災害の描写なので、激しい“動”との対比で最後まで一気に見せてくれる感じ。
とくに関東大地震の描写はこの世の地獄といった様相で、恐ろしいことこの上ない。私もきっと、パニックのあまり皇居に詰めかける人びとの一人になりそう。

日本沈没が机上の理論ではなくなった後半からは、「国土を失って日本人はどう生きるか」という民族論に重きが置かれる。
首相(丹波哲郎)がオフィサーに「このまま何もしないという選択肢もある。日本人は国土もろとも沈むのもいいのではないか」と言われ涙を流すシーンは、ウェットな日本人の民族特性に痛烈に訴えかけてくる。おそらく、一国をあずかる首相としてはとてもそんな選択の余地はないが、一人の日本人としてはそれもまた良しと感じたのではないか。
ここらへんの民族論的脚本がハリウッドの乾いた演出のパニック映画とは趣が異なるところで、日本人にしか造れなかった映画と思う。

東大教授による「マントル対流」のレクチャーも勉強になります。

「戦国自衛隊1549」6・11公開記念 前夜祭 時代が福井晴敏に追いついた!@日本映画専門チャンネル

【★★★★☆】

日本沈没
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star地震列島のほうがよくできています
star日本映画界、不変の名作。
star本気で創った(金出した)映画

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2005年06月05日

肉体女優殺し 五人の犯罪者(1957/日本/監督:石井輝男)

浅草フランス座のストリップ公演の最中、小道具の拳銃が本物とすりかえられており、スター女優が撃たれて死ぬ。日ごろ夫婦仲のよくなかった夫が逮捕されるが、毎朝新聞の記者(宇津井健)は不審に思い、独自に事件を捜査していくと、そこには麻薬組織の影が……。

タイトルは扇情的だがそれほどお色気映画でもなく、サスペンス色が強い。
モノクロなのでアレだが、この時代の浅草の猥雑な感じとか、三原葉子の肉感的なダンスなど充分楽しめるし、筋立てもしっかりしていて面白かった。
ストリップ公演のシーンが多いが、なかでも非常に高度な踊りを披露しているのは、おそらく当時の本物のストリッパーだと思われる。

故・三ツ矢歌子は逮捕された男の妹役で、やはりストリッパー。このころは清純派で推していたはずだが、ストリッパーとはこれいかに。ただ、きわどい舞台衣装はあるが脱ぎはないし、その美貌からいろんな男に襲われたりもするが、アワヤというところで宇津井健が颯爽と現われる。これがギリギリの線だったのだろうが、やはり最後まで清純派ストリッパーには違和感ぬぐえないなぁ。

【★★★☆☆】

新東宝映画傑作選 肉体女優殺し五人の犯罪者
B00005TOR1宇津井健

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2005年06月04日

のら猫の日記(1996/アメリカ/監督:リサ・クルーガー)

母親の形見のステーションワゴンで、姉のロー(アレクサ・パラディノ)と気ままな旅を続けるマニー(スカーレット・ヨハンソン)。
お腹がすいたらスーパーで万引きし、他人の家の庭先やモデルハウスで勝手に寝泊まり、ガソリンはローが男とセックスして分けてもらう。
そんな奔放な生活を続けているうちに、思いがけなくローが妊娠。仕方なく、オフシーズンで使われていない別荘を隠れ家にし、マタニティショップに勤めるエレーンを誘拐して手助けさせることに。

スカーレット・ヨハンソンの魅力にはまり、彼女の出演作を追っかけているこの頃。
これが初主演作で、まだ少女のころのヨハンソンが初々しく、演技も素晴らしい。
他人の下心を探ることで安心する姉。そんな姉のことが大好きで、賢くて生きることに積極的だが、ときどき母親が恋しくなる少女。
誰にも頼ることなく生きてきた孤児姉妹と、やたらと皆から必要とされていることを主張することで不安と孤独感をまぎらわせている中年女性が出会い、奇妙な擬似家族的つながりを形成していく過程がじんわりと温かい。
希望に満ちたラストも心に残る一本。

監督・脚本のリサ・クルーガーはジム・ジャームッシュのスクリプトスーパーバイザーをやっていたそうで、どうりでそこはかとなく「ストレンジャー・ザン・パラダイス」の影響が感じられる。個人的には、実験的手法や登場人物に共感できない「ストレンジャー…」があまり好きではないのだが、こんないい映画を作れる人材を育てていたことに敬意を表したい。

【★★★★☆】

のら猫の日記
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2003年10月29日

昇り竜 鉄火肌(1969/日本/監督:石井輝男)

 石井輝男監督作品としては凡作。ヤクザの跡目を継いだ姐さんが主役という、オーソドックスなかんじの任侠映画。
 主演の扇ひろ子は、スゲェ美人というわけではないのだが、ぞくぞくするような婀娜な色気のある姐さんですな。こーゆう人を「小股の切れあがった女」と呼ぶのでしょうか。
 この姐さんは背中に昇り竜の頭部の刺青を入れているのだが、子分たちにもそれぞれ姐さんの背中の絵につながる竜のパーツの刺青が入っているのが面白い。全員並ぶと、ドラゴンボールのコミックスの背表紙みたいになるわけである。クライマックスは敵対する組の殴り込みを受け、大乱闘になるのだが、全員揃って昇り竜の絵を作ってじりじりと移動する姿はカッコイイんだかマヌケなんだか微妙。子分たちが一人死に二人死に、だんだんと竜の胴体が短くなっていく(頭部担当の姐さんと、尻尾担当の子分さえいれば絵はつながる)演出がちょっと可笑しい。
 共演の高橋英樹と小林旭が華を添えている……が二人とも死ぬ。続編には出ないのね。
----------
 昇り竜の続編「昇り竜 やわ肌開帳」を見た。小林旭出てました(^^ゞ。出演者のメンツはほとんど変わらず、微妙に設定が違っているのだった。例の昇り竜勢揃いシーンがなかったのがもったいない。この後さらに続編(怪談 昇り竜)を見る予定。扇ひろ子がスキャンダルで飛んでしまったので、主役は梶芽衣子に変わっているらしいが。

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2003年06月26日

ニュー・シネマ・パラダイス [完全オリジナル編](1988/フランス=イタリア/監督:ジュゼッペ・トルナトーレ)

 名作中の名作と名高い作品。10年以上前に劇場公開版(ディレクターズカット)を一度見てるのだが、半分寝ながらでも見ていたのかほとんど内容覚えてなかった。
 小さな町の唯一の娯楽施設、パラダイス座。映画好きの少年トトはここに入り浸り、いつしか老いた映写技師のアルフレードと心を通わせていく。映写室から出た火事(昔のセルロイドフィルムは非常に発火しやすかったらしい…by.探偵ナイトスクープ)で盲目となったアルフレードに代わり、新生ニュー・シネマ・パラダイスで映写技師として働くようになり、やがて青年へと成長したトトだが、初恋や別れを経験し、町を離れることを決意。アルフレード死亡の知らせを聞き、30年ぶりに故郷に戻ると、すでに映画館は閉館され廃墟と化していた。そしてアルフレードがトトに残したものは……。
 トトとアルフレードの年齢を超えた友情が描かれる、温かくほのぼとした少年時代は本当に素晴らしい10点。美しい少女と恋に落ち、やがて離ればなれになる青年時代はやや中だるみ気味5点。すでに結婚している初恋の女性と再会し、別れの真相を知る壮年時代はお腹いっぱい-3点。アルフレードの形見に驚くラストは号泣手前10点プラスα。総合して、一連の恋愛エピソードがうざすぎます。とくに壮年時代の初恋再燃編にはげんなり。「男は初恋を引きずる」のはわかるけど、それを地でやるなよ。そこらへんがばっさりカットされ、じじぃとガキの馴れ合いに焦点を絞ったディレクターズカット版のほうが断然良いです。

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posted by bambi at 14:30 | LOG #な-の

2002年03月11日

人間椅子(1997/日本/監督:水谷俊之)

 清水美砂主演。椅子に入り込み、それに座った女たちの感触のトリコになったという変態男から原稿が送られてくるくだりは原作どおりなのだが、なぜかその男にすっかりイカレてしまい、「私はもう日向の世界に興味がありません。触覚の世界で生きてゆきたい」とのたまう後半は「盲獣」入ってます。病的な潔癖症だったはずの女がだんだんと触覚の快楽に溺れ、生きた鯉に平気でキスするシーンは気持ち悪いとしか言いようがない。
 エロ度は原作に負けているが、ラストのオチにいたる伏線の張り方はなかなかうまい。このシークエンスは、ちょっと「陰獣」を思い出した。

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posted by bambi at 10:31 | LOG #な-の

2002年02月26日

ナイト・オン・ザ・プラネット(1991/アメリカ/監督:ジム・ジャームッシュ)

 同じ夜に、地球上の5つの都市(ロサンゼルス・ニューヨーク・パリ・ローマ・ヘルシンキ)を走る5人のタクシー運転手と、たまたまそれに乗り合わせた客が織りなす5編のショートストーリー。
 私は地味な映画は嫌いではないが、こ、これは地味だ……(^^;)。どの話も、別に奇妙なことが起こったりエキセントリックな人が出てくるわけではないが、なんとなーく後を引く小粋な映画。これは真夜中に一人で観るのが似合うだろう。
 ロサンゼルス編には、大女優になる前のウィノナ・ライダーが出ているが、一見はすっぱに見えて、素直で自分というものをしっかり持っている若い女性タクシードライバー役が印象に残る。

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posted by bambi at 10:08 | LOG #な-の

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