(06/05/20) 処女のはらわた(1986/日本/監督:ガイラ)
(06/05/19) 実録 阿部定(1975/日本/監督:田中登)
(06/05/12) 世界の終り(2005/アメリカ/ジョン・カーペンター)
(06/04/29) 女囚さそり祭 #2
(06/04/20) 女囚さそり祭 #1
(06/04/01) 送還日記(2003/韓国/監督:キム・ドンウォン)
(06/03/29) サウンド・オブ・サンダー(2004/アメリカ=独/監督:ピーター・ハイアムズ)
(06/03/22) 真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章(2006/日本/監督:今村隆寛)
(06/03/14) 死者の書(2005/日本/監督:川本喜八郎)
(06/03/04) 刺青 SI-SEI(2005/日本/監督:佐藤寿保)
(06/03/04) シリアナ(2005/アメリカ/監督:スティーヴン・ギャガン)
(06/03/01) スティーヴィー(2002/アメリカ/監督:スティーヴ・ジェームズ)
(06/02/11) サイレン FORBIDDEN SIREN(2006/日本/監督:堤幸彦)
(06/02/01) 白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々(2005/ドイツ/監督:マルク・ローテムント)
(06/01/21) スクールデイズ(2005/日本/監督:守屋健太郎)
(06/01/14) スタンドアップ(2005/アメリカ/監督:ニキ・カーロ)
(06/01/14) THE 有頂天ホテル(2005/日本/監督:三谷幸喜)
(05/12/21) ザスーラ(2005/アメリカ/監督:ジョン・ファブロー)
(05/12/10) スチームボーイ(2004/日本/監督:大友克洋)
(05/12/05) ジュマンジ(1995/アメリカ/監督:ジョー・ジョンストン)
(05/11/15) SAW2(2005/アメリカ/監督:ダーレン・リン・バウズマン)
(05/11/13) 親切なクムジャさん(2005/韓国/監督:パク・チャヌク)
(05/10/27) 世界(2004/日本=仏=中/監督:ジャ・ジャンクー)
(05/10/19) そして、ひと粒のひかり(2004/アメリカ=コロンビア/監督:ジョシュア・マーストン)
(05/10/17) 12人の優しい日本人(1991/日本/監督:中原俊)
(05/10/08) セブンソード(2005/香港/監督:ツイ・ハーク)
(05/09/07) サマータイムマシン・ブルース(2005/日本/監督:本広克行)
(05/09/02) 10億分の1の男(2001/スペイン/監督:ファン・カルロス・フレスナディージョ)
(05/08/26) スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー(2004/アメリカ=英/監督:ケリー・コンラン)
(05/08/11) 青春の殺人者(1976/日本/監督:長谷川和彦)

2006年05月20日

処女のはらわた(1986/日本/監督:ガイラ)


harawata1.jpg日本初のスプラッター・エロスムービーと銘打たれた作品。人里離れた山奥でポスター撮影を続けていたモデルやカメラマンが道に迷い、不気味な廃屋にたどり着く。男女6人での無軌道な夜が始まるが、そこに殺人鬼の影が迫る…! 末期のにっかつポルノが目ざとくスプラッター・ホラーを取り入れたのはいいが、レンタルビデオ普及前であり若干早すぎた映画ともいえる。

廃屋でヤリまくる男女6人の前に、人を殺すのに理由も理屈ももたないジェイソンタイプの殺人鬼があらわれる。しいて理由らしきものを語っているとすれば、「嫌いだから」。うーん、やっぱり理由になっていない。本人は語らないが、たぶん童貞だったからだと思う。
男どもは金槌で頭をかち割られたり鉤フックに吊り上げられたり槍で刺し貫かれたりと容赦なく惨殺されるが、川島めぐみ演じるモデルは、魔人に犯され足腰立たなくなったところに上から看板が落ちてきて首チョンパって単なる事故だ。最後に犯される木築沙絵子も結局生き残っているし、魔人は基本的に男が嫌いなようである。

狂えるスタイリスト(萩尾なおみ)の顛末は6人中最も強烈。
下着姿にむかれ、プロレス技をかけられて失禁&失神という悲惨な余興の後、眼が醒めるとカメラマンの恋人が他の女とヤッている。その衝撃で発狂してしまい、生首とたわむれたり死体の腕を使うという独創的なオナニーを披露したあげく、やっぱり魔人に犯される。というか自ら求める。
しまいにゃフィストファックで内臓を引きずり出されて昇天。ワーオ!

やや頭のネジがゆるんでしまったようだが、唯一生き残った木築沙絵子は、魔人の子どもを身ごもり、なぜか岸壁で大きくなった腹を抱えてたたずんでいる。「どんな子が産まれるのかしら〜」って、産む気マンマンですかい。エンディングロールの後に映るフリークスな赤ん坊に将来が偲ばれる。

エロとスプラッターは親和性が高いということを証明している極カルト映画。
“ため”とか“引っ張り”などいっさい感じられずサクサク殺されていく残酷シーン比べ、エロ描写のねちっこさがやっぱりにっかつポルノなんだよねぇ。

評価:★★★☆☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(2) | LOG #さ-そ

2006年05月19日

実録 阿部定(1975/日本/監督:田中登)


“田中登の官能美学”にて。
これよりしばらく、えろくてぐろいえいががつづくので、よいこのみんなはおとなになってからみてね。

あまりにも有名な昭和の猟奇犯罪、“阿部定事件”を映画化。四畳半という空間で繰り広げられる愛欲のさまと、愛憎の果ての男根切除までを描く日活ロマンポルノの名作。昭和11年。料理屋“吉田屋”の主人・石田吉蔵(江角英明)と女中の阿部定(宮下順子)。二人は定が吉蔵の店で働くようになって知り合い、間もなく互いに惹かれ、関係を持つようになる。やがて、吉蔵の妻に知られてしまった二人は、荒川・尾久の宿にこもり何日もひたすら情事にふけるのだったが…。

本編中、約8割はひたすら情事にふけっている吉蔵と定。マムシみたいな人たちである。
「外の光が邪魔なのよ」と外の世界に背を向け、吉蔵の匂いが逃げるからと雨戸も開けさせない。待合の小さな一室は、過去も未来もないふたりきりの小宇宙と化した。
昼も夜もなくまぐわい続けるふたりの姿からは、スクリーン越しにもすえた匂いが漂ってくるようで、あまりの濃密さに頭がクラクラしてくる。

石井輝男の「明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史」に晩年の阿部定の貴重なインタビューシーンがおさめられているが、かわいらしい雰囲気をもった品の良い老婆で、若いころはさぞかし男好きのする容姿であっただろうと思わせる。(※事件当時の写真はこちら
天真爛漫な宮下順子の演技は、男に溺れ、溺れさせる魅力に満ちている。事件があまりに猟奇的で衝撃的であるために妖婦と呼ばれるが、吉蔵への強い情愛を思うとき、誰よりも情が深く寂しがりやのあわれな女の姿がみえてくるのである。

評価:★★★★☆

阿部定事件・予審調書(全文)

実録 阿部定

宮下順子 田中登 江角英明 坂本長利 花柳幻舟 ジェネオン エンタテインメント

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(1) | LOG #さ-そ

2006年05月12日

世界の終り(2005/アメリカ/ジョン・カーペンター)

Perfect Choice 【 パーフェクトチョイス「プレミア!」マスターズ・オブ・ホラー/恐-1 GP チャンネル 】にて。

sekainoowari.jpg

赤字経営の映画館をかかえるジミー(ノーマン・リーダス)は副業で希少フィルムを発掘した。ジミーが今回謎めいた大富豪から依頼されたのは70年代に撮影された幻の映画のプリントを探す仕事。唯一の上映時には多数の死者を出す暴動が発生、2度目に上映が予定された時には劇場が火事で焼失。手がかりを追うジミーは次第に自分の周囲の現実が変容していくのを感じる。これは呪いなのか狂気なのか…。

幻の映画のプリントを追い求めるという、映画好きには興味深い設定。それは、誰も多くを語りたがらないが、底知れぬ狂気を秘めたいわくつきのプリントだという。この設定でのっけから引き込まれてしまった。

「世界の終り」というタイトルの、観ただけで精神に異常をきたし観客同士が殺し合いに発展する映画。一体どんなものなのか、想像はふくらむばかりである。
ジミーが幻のプリントに少しずつ迫っていく過程がスリリング。まぁ、尺が短いこともあり、意外とあっさりたどりついちゃうんだけど。

「世界の終り」の全容はよくわからないままだが、映画の出演者の驚くべき正体と少しだけ映った数カットをみるだけでも、相当狂気的で異様な世界観のようだ。まさに世界の終焉をイメージさせる衝撃的なシーンがめまぐるしくカットバックする。うーん、こんなのが1時間も続いたら確かに精神が壊れそうだよ…。

映画の呪いに触れた人びとが繰り広げる血みどろの惨劇もガツンとくる。
映画に対する愛情と狂気がないまぜとなったゴアムービー。

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(4) | TrackBack(0) | LOG #さ-そ

2006年04月29日

女囚さそり祭 #2


新女囚さそり 701号(1976/監督:小平裕)

新・さそり(松島ナミ)は多岐川裕美。
前半のナミは婚約者もいるごく普通の女性で、どこが“さそり”なんだろうか…と不安になるが、代議士の秘書だった姉が政界の陰謀に巻き込まれて殺され、ナミも婚約者に裏切られて姉殺しの容疑で刑務所にぶち込まれ、ここに至って“さそり”の誕生である。
多岐川裕美の松島ナミは、刑務所にぶち込まれてからは眼は鋭くなり口もきかなくなり、さそりらしい雰囲気につとめているが、やっぱり難あり。美人はいいとして、啖呵をきる声に迫力がないのよね。
ストーリーも、レイプあり集団リンチあり吊るし責めありで、女囚もののフォーマットに則ってはいるが、伊藤俊也・梶芽衣子版の魅力であるけれんみは一切感じられず、真っ当すぎてあんまり面白くはない。
ただ、復讐時の“ニューさそりルック”の奇抜さは特筆もの。マジシャンのような大仰なマントの中は全面豹柄。昼日中に堂々と、怪人二十面相かルパンかというような怪しすぎる風体で、復讐を遂げる前に警察に職質されなかったのは運が良かったというほかない。


新・女囚さそり 特殊房X(エックス)(1977/監督:小平裕)

多岐川裕美の続投はなく、さそりには夏樹陽子。
このさそりは最初っから復讐に燃える女囚として登場。ほぼ浸水状態の特殊房や、地井武男のチンピラ看守VS舘ひろしの常にグラサン&マシンガンのあぶない看守の抗争など、刑務所の描写や全体の雰囲気は悪くない。
夏樹陽子の裸体も眩しいよう。
さそりシリーズの囚人服は青いストライプのワンピースと決まっているが(たまにこの上にマントをはおる)、初めてそれ以外のファッションが登場。作業時には、裾結びのシャツにホットパンツという、ちょっとしたリゾート時のようなカッコしている女囚たち。別に若い女囚ばっかりじゃないと思うが、このさわやかファッションは所長の趣味か?
後半は、職務を追われたやりすぎ看守・地井武男とさそりの逃走劇。2人は鎖で繋がれているので切っても切れない仲に。いつしかさそりに惹かれる地井武男のキャラがいい味出している。
ちなみに、本作のさそりルックは白のジャンプスーツに黒のロングコート。なかなかスタイリッシュではあるが、やっぱりさそりは黒ずくめがいいと思うよ。


女囚さそり 殺人予告(1991/監督:池田敏春)

時をおいて、Vシネマでよみがえったさそり。
岡本夏生(懐かしい…)のさそりはどうなんじゃろ…と不安だったが、監督のオリジナルシリーズへのリスペクト魂が伝わってきて、リメイク作品中では最も面白い。
岡本夏生は壮絶な過去をもつ殺し屋。さそりが囚われている刑務所の前所長に、20年間地下の独房に閉じ込められたままのさそりの暗殺を依頼され、刑務所に潜入する。すでにさそりの存在は女囚たちの間で神格化されていたが、実は前所長の陰謀で、地下のさそりはダミーだった。ダミーを殺した岡本夏生もそのまま囚われ、女囚の数合わせに利用されることになっていたが、本物のさそりの怨念が宿って復讐を果たす。
リミックスバージョンの“怨み節”(『キル・ビル』のエンディングに使われていたアレである)の曲もいいし、シナリオも良い。岡本夏生の演技はどうしようもないが、あんまり喋らせないことでなんとか乗り切った。
何よりも、神格化されたさそりの絶大な存在感や、回想シーンにオリジナルのシーンが使われているのがファンには嬉しいかぎり。
二代目(?)襲名したラストからは、いかにも新さそりとしてシリーズ化する気マンマンと思われたが、岡本夏生が続編を蹴ったために1作かぎりである。


▼関連エントリ
女囚さそり祭 #1 (06/4/20)

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(1) | LOG #さ-そ

2006年04月20日

女囚さそり祭 #1


今月はこのために東映チャンネル(スカパー)を契約。
東映チャンネル、高いんだよねぇ(´・ω・)


女囚701号 さそり(1972/監督:伊藤俊也)

女囚701号 さそりあぁ、梶芽衣子(ため息)。とりつくシマのない冷たい視線と修羅のごとき非情さ。主役のくせにあんまり喋らないのだが、眼ですべてを語ります。
復讐時の定番ファッション、全身黒ずくめの“さそりルック”がかっこいい。これほど黒が映える女は、メーテルとさそりくらいだろう。
クールビューティ梶芽衣子の圧倒的な存在感と、リアリティ無視の過剰演出が冴えわたる傑作。
ところで、刑務所でナミ(さそり)に力を貸す女って、石井輝男監督「昇り竜」の扇ひろ子だね。
扇姐は、「不良少女と呼ばれて」の伊藤かずえ(モナリザ…)、「セーラー服反逆同盟」の中山美穂(ほとんど出てこなかった)のような役どころで、戦隊ヒーローものでいえば担当だろうか。ときには担当よりかっこよかったりするおいしいポジションなのだが、伝説のさそりシリーズともなると、やはり梶芽衣子にはかなわない。
「昇り竜」では2作めまで扇姐が主役をつとめているが、その後スキャンダルで飛んでしまい、3作め(『怪談 昇り竜』)は主役が梶芽衣子に交代しているという、浅からぬ因縁のふたりなのであった。


女囚さそり 第41雑居房(1972/監督:伊藤俊也)

さそりはますます喋らなくなり(セリフは2,3語くらいか)、過剰演出はさらに前衛的なものへ。
歌舞伎的というか、舞台調の不条理演出が絶大なインパクト。
舞台になるのも徹底的にシュールで不思議な場所が多い。さそりが刑務官たちに陵辱されるのは、刑務所の敷地内とは思えない、岩だらけの断崖(石切場?)のようなところ。その後女囚仲間と脱走し、集団で疾走するのは荒涼たる砂漠、たどり着くのは呪いを吐き続ける老婆のみが生息する過疎化した村。
女囚たちはおなじみの囚人服(青いストライプのワンピース)にマントという不思議なスタイル。マントをなびかせ荒野を疾走する姿はかっこいいんだけど、およそ女囚ものとは思えない。
もうなんだか、いろんなものを超越してしまっている映画だ。
本作でのさそりは、ともに脱走する女囚たちの無茶苦茶っぷりの傍観者。なかでも白石加代子の演じる、リーダー格の子殺し女の存在感はすごい。顔も性格も怖すぎて、夢に見そうである。
いろんな意味でやりすぎてしまっている本作だが、圧倒的に面白いことは言うまでもない。


女囚さそり けもの部屋(1973/監督:伊藤俊也)

女囚さそり けもの部屋のっけから、手錠で繋がれた刑事の腕をぶった切って逃げるさそり。ヒ、ヒドイ。
腕をブラ下げたままではさすがに不便だったとみえ、なぜか夜の墓場で手錠を削っているさそりの怖さといったらない。こんなシーンを目撃してなおもさそりを助ける売春婦は肝がすわりすぎていると思う。
早々に都会に放たれ、売春婦やヤクザといった社会の底部に関わることになるさそり。
ヤクザに蹂躪され死んでいった女の怨みを背負い、都会の闇を暗躍する。本作でのさそりは不屈の女囚というより、孤高の殺し屋なのである。
さそりを助けた売春婦・ユキ(渡辺やよい)の境遇も凄まじい。事故で頭がおかしくなった兄貴の面倒をみているのだが、あろうことか性欲の面倒までみちゃってるのである。ついには兄貴の子どもを身ごもってしまう。タイトルの“けもの部屋”とは、非情な都会のことであり、この兄妹の暮らす部屋のことでもあるのだろう。
ユキは兄貴のためにさそりを警察を売ってしまうが、さそりは決してユキを恨まない。前作では女囚仲間への「アタシを売ったね…」というセリフで観る者を震えあがらせたさそりだったが、社会の底辺で、虐げられ傷つけられながらも懸命に生きる弱者へそそぐ眼は優しかったのである。


女囚さそり 701号怨み節(1973/監督:長谷部安春)

女囚さそり 701号怨み節監督が変わってしまったせいか、前3作に比べるとさそりの迫力がややトーンダウン。
脱走のプロフェッショナルであるさそりはまたまた護送中に逃走。元左翼だったが、公安警察の拷問で転向させられ、現在はストリップ劇場で働いている青年・工藤(田村正和)に出会う。自然と恋に落ちるふたり。要するに、さそりが惚れた男に裏切られ、復讐するというなんだかメロドラマ的な展開。こんなヘナチョコ男に翻弄されてしまうとは、さそりのクールさが薄れてしまった気がするなぁ。そりゃさそりも人並みに恋もしたいだろうけどさ。
田村正和は拷問された際に股間に熱湯を浴びせられ、「アンタのここ、とろけてるぅ〜」らしい。と、とろけてる!? 一体どうなっているのであろうか…。
なのに平然とさそりとセックスしているので、一応機能は果たせるらしいのだが…。
“とろけたイチモツ”という設定だけが印象に残る、梶芽衣子版さそりシリーズの最終章。


▼関連エントリ
女囚さそり祭 #2 (06/4/29)

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(2) | TrackBack(1) | LOG #さ-そ

2006年04月01日

送還日記(2003/韓国/監督:キム・ドンウォン)


soukannikki.jpg朝鮮半島の南北分断後、韓国側には北から数多くのスパイが送り込まれた。韓国では逮捕した“北のスパイ”に対し、共産主義思想を放棄するよう転向を強制する工作が行なわれていた。そして転向を拒否し続ける者はいつまでも収監され続け、中には30年以上も囚われていた人々もいた。やがて、韓国政府の太陽政策への転換を機に多くの長期囚が非転向のまま釈放、北朝鮮へと送還されることになる。本作はそんな非転向長期囚の老人たちを中心に、歴史に翻弄された元北朝鮮スパイの人々の姿を12年にもわたって撮り続けた珠玉のドキュメンタリー映画。

まだまだ続く韓流ブームの中、南北問題の現実を描いたこのドキュメントフィルムを観る意義は計り知れない。
北のスパイとして南(韓国)に送り込まれ、逮捕された彼らは、過酷な拷問を受け思想の転向を強制された。拷問に耐えかねて転向した人もいるが、頑なに拒否し続け長期にわたり囚われていた人も多い。2、30年は当たり前、中には40年以上も独房で過ごした者もおり、祖国に帰ることもできないままに老人となってしまった。
韓国の行った転向工作の結果はどうだろうか。さまざまな人の支援や好意を受けながらもなお、祖国への忠誠を忘れず、ときには語気強く共産主義を主張する。老人となってますます頑迷さを増しているように思えるが、それも当然であろう。拷問のすえ長期収監するような体制の思想を受け入れられるわけがない。
拷問の結果転向した人たちも、決して幸せな生活を送っていない。忸怩たる思いを抱えたまま、どこか疲れたような表情の老人がいるばかりだ。
“北風と太陽”の教訓どおり、彼らは強風の前にますますコートをしっかりかき合わせただけだったのである。

北の深刻な食糧不足や財政難が報道されても信じなかったり、彼らを訪れた拉北被害者家族の会と向き合うことなく一方的にはねつけたりする場面もある。
観ていて彼らの頑迷さに苛立つが、これが韓国の政策のまねいた結果なのかもしれない。

そんな彼らと人間として向き合い、交流を重ねた監督。彼らを支える支援団体。こういう心の触れ合いこそ、彼らの核の部分を融かすことができるのではないかと思った。
彼らは祖国への思いを捨てることなく北へ送還されたけれど、あたたかい南の人々のことは決して忘れることはないだろう。同じ人間なのだから。

彼らとの別れを惜しむ人々の連日の歓送会の様子にはじんわりとするが、北側の大仰な歓迎ぶりはどこか嘘くさくて白々しい。北では英雄となった彼らは、手厚く保護され贅沢な暮らしを送っているようだけれど、今後も体制の喧伝に利用され消費されていくことは避けられないだろう。彼らは、自分たちが信念を捧げた北朝鮮全体主義の矛盾に気づくことはあるのだろうか。
国家に利用され翻弄され続けた彼らの人生から読み取るべきメッセージは重い。

評価:★★★★☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(2) | TrackBack(5) | LOG #さ-そ

2006年03月29日

サウンド・オブ・サンダー(2004/アメリカ=独/監督:ピーター・ハイアムズ)


sot.jpg西暦2055年、人類はタイムトラベルを可能にしていた。シカゴの大手旅行代理店タイム・サファリ社では、6500年前にタイムトラベルして恐竜狩りを楽しむという人気ツアーを主催していた。地球の歴史が変わらぬよう、ツアーは厳格に管理されていたが、ある時、ツアー客の一人が気づかぬうちにごく小さな何かを過去から持ち帰ってしまったため、地球上の進化が大きく狂ってしまう。それはタイム・ウェイブ(進化の波)として地球に押し寄せる。最初に異常気象が引き起こされ、続く波で巨大植物の異常繁殖、さらには未知の巨大生物まで出現する。そして最後の波が来たとき、人類は滅亡してしまう。それまでに残された時間はあと僅か。はたして、人類はこの未曾有の危機を乗り越えることができるのか?

なぜ今ブラッドベリの古典の映画化? という疑問はさておき、タイムトラベルものとしてのスケールのデカさは、昨年のベスト10にも入れたサマータイムマシン・ブルース(2005/日本/監督:本広克行)と対極ですね。
何しろタイムパラドックスが地球規模なので、細かいつじつま合わせなど知ったことかと言わんばかりの大味さ。矛盾点を突き詰めるとよくわからなくなってくるので、とりあえず脳みそは明日の献立のことにでも使おう。
BTTF、ターミネーター以降、過去を少しくらい変えても無問題ってことになっていたのに、こんなスケールでタイムパラドックスの恐ろしさを描かれると、タイムトラベルへの夢も希望もしぼむ〜。

進化の環が狂ってしまったため、通常とは異なる進化を遂げた生物がわらわら出てくる。
マントヒヒと恐竜の合いの子みたいなのとか、巨大肉食コウモリとか、バカっぽくて面白いのだけど、どうもクリーチャー造形のセンスは今ひとつ。フィギュア出しても売れそうにない気が。
センスといえば、CGの酷さは想像を絶するものがあった。ホントに2004年製作なのかと眼を疑ってしまう出来。どうも、製作過程で紆余曲折あって制作費も大幅に削られたらしいので、映像の専門学校生にでも頼んだのかもしれない。

ボロクソに書いたけど、決して嫌いじゃありません。
期待しなければそれなりに楽しめるし、ブラッドベリの映像化という心意気も買いたい。
しかし、ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005/アメリカ=加/監督:デヴィッド・クローネンバーグ)と同じ評価つけてていいのか、私。何かが間違ってるような気がするが、まぁいいか。

評価:★★★☆☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(4) | TrackBack(28) | LOG #さ-そ

2006年03月22日

真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章(2006/日本/監督:今村隆寛)


レディースデイの本日。新宿でも上映が始まった「ブロークバック・マウンテン」を観るつもりだったのだが、強敵と書いて“とも”と呼ぶ同僚に「そんなホモの映画やめて、ケンシロウ観に行こうよ〜」と誘われ急遽変更。
ちなみに、私のケンシロウ体験は、以前同棲していた彼氏が揃えていた原作を何度か読んではいるが、リアルタイムでTVアニメは観ていない。記憶はかなりうっすら。

hokutonoken.jpg核戦争後の近未来。暴力が支配する混沌の世界。究極の暗殺拳・北斗神拳は一子相伝の厳格な掟の下、長兄ラオウ(声:宇梶剛士)、次兄トキ(声:堀内賢雄)、末弟ケンシロウ(声:阿部寛)の中から、正統伝承者としてケンシロウが選ばれる。民衆と共に闘い続け、いつしか救世主と呼ばれるようになるケンシロウ。一方ラオウは、師父リュウケンと決別、自ら拳王を名乗り、戦乱の世の覇者となる野望を抱き突き進んでいた。そんなラオウの胸に秘められた哀しき真実を、彼の親衛隊を率いる美しき猛将レイナ(声:柴咲コウ)だけは知っていた…。

コアな原作ファンには評判よくないようだが、私のようなライトファンは充分楽しめた。
前半と後半でややバランスを欠いている感はあるが、原作のエピソードをそつなくまとめ、初心者も入りやすい入門編になっていたと思う。
私などは適度に記憶があいまいで、こまかいところはぜんぜん覚えてなかったり、「あー、こんなシーンあった」って鮮明に思い出したり。
ラオウとレイナ(キャラデザインは北条司)の関係性が原作にはないエッセンスとなっているが、完成度の高い原作に無理やりオリジナルキャラをぶち込んだせいか、レイナの存在はかなりビミョウ。ラオウの内面を描くための触媒としたかったのは分かるが、複雑なはずのラオウ像への踏み込みがやや安易な印象になってしまって残念である。

聖帝サウザーと仁星のシュウのエピソードは、サウザーのバックグラウンドが完全にスポイルされて非情な極悪人として描かれているため、シュウの漢っぷりが際立つ。自己犠牲が服を着て歩いているシュウの最期は涙なくして観れない。
サウザーの過去を描かなかった点については、映画という手段においては、壮大な原作をある程度取捨選択せざるを得ないし、テーマ(子どもたちの未来を守る)がより明瞭になっているので、これはこれで成功しているのではないか。
いまわの際の「愛ゆえに人は苦しむ…」というセリフで、充分「このヒトはただの権力バカではなかったのか」って窺わせるしね。

聖帝さまの名セリフ、

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!

は一言ごとにアングルが異なるというこだわりの演出。カッコよすぎてぞくぞくしちゃうよ。

キャストについては、あちこちで語られているとおりの感想。宇梶ラオウの「むーーーーー」にはちょっと笑った。阿部ケンシロウは悪くなかったね。
サウザーとシュウは、新スタートレックのライカー副長(大塚明夫)とデータ少佐(大塚芳忠)ということで、コンビネーションもバッチリ。安心して観られた。

評価:★★★☆☆
北斗の拳 DVDスーパープレミアムBOX北斗の拳 DVDスーパープレミアムBOX
武論尊 原哲夫

ユニバーサルミュージック 2006-03-29
売り上げランキング : 10,117
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(2) | TrackBack(19) | LOG #さ-そ

2006年03月14日

死者の書(2005/日本/監督:川本喜八郎)

岩波ホール@神保町】

sishanosho.jpg8世紀半ば、奈良の都。平城京の大貴族、藤原南家の姫、郎女(声:宮沢りえ)は“称讃浄土経”を一心に写経し、仏の教えに帰依していた。春分の日、郎女は二上山の上に荘厳な俤びとの姿を見て、千部写経を発願する。1年後の春分の日、郎女は、千部目の最後の文字を書き終えると、激しい雨の中、俤びとに導かれるように、ひとり西へ西へと歩き、二上山のふもとの當麻寺にたどりつく。
そこで郎女は、當麻の語り部の媼(声:黒柳徹子)から、50年前に処刑された悲劇の人、大津皇子(声:観世銕之丞)の話を聞かされる。皇子は死の直前に一目見た女性、耳面刀自への執心から亡霊となってこの世に甦った。皇子の霊にとっては、郎女が耳面刀自と映ったのだ。やがて郎女には、夜更けに現れる皇子の亡霊と俤びとが重なり、その寒々とした身を被う衣を作ろうと、ひたむきに祈りながら蓮の糸で布を織りはじめる。

かなり難解な作品。川本喜八郎および奈良時代に興味のない人は観ないほうがよろしい。
伝奇小説好きな私は、この時代わりと好きなので、バックグラウンドは無問題。
ストーリーは充分ついていけたし、人形アニメの美しさもあり最後まで引き込まれて観たが、解釈は難しかった。そもそも折口信夫の原作が相当難解なもので、川本喜八郎も読み解くのに10年かかっているそうだ。

アチラの映画や小説をみると、つくづく欧米社会はキリスト教という大前提のもとに成り立っているんだなぁと感じる。すべてにおいて、宗教観が基盤となっている。
日本人にはいまひとつ実感しにくい価値観だ。この作品が難しく感じるのは、時代背景よりもそっちのせいかもしれない。自国の宗教観や死生観についての理解が難しいと思うなんて、ちょっぴり寂しくなってしまったのは私だけだろうか。

人形アニメの表現、心理描写は素晴らしいの一言につきる。
ナチュラルに風に舞う衣装や髪の繊細な表現にはっと息をのみ、眼を奪われる。
表情のない人形たちから伝わってくるひたむきさ、優しさ、“おもい”の激しさ。どうしてこんな表現が可能なんだろう。
…私はすっかり、川本喜八郎の人形たちから発せられる生々しい情操に魅入られてしまったようである。

岩波ホールって初めて行ったのだが、すごい独特な劇場だね。
雰囲気も客層もレトロ。年配の女性の多いこと。いつもこんな感じなのかしら。
それと、スタッフの対応がとてもよかったです。好印象。

評価:★★★★☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:58 | Comment(1) | TrackBack(4) | LOG #さ-そ

2006年03月04日

刺青 SI-SEI(2005/日本/監督:佐藤寿保)


si-sei.jpg来栖精像(弓削智久)は、芸術作品として後世に伝えられる刺青を残したいと考えていた。ある日、彼は大学院で錦絵の研究に携わる女性・雨宮美妙(吉井怜)と出会う。精像は美妙を誘拐監禁して刺青を彫らせるよう迫るが、やがて錦絵の魅力と刺青の持つ魔性に取りつかれた美妙は、逆に最高の刺青を彫ることを要求するのだった。そして遂に、見事な“八重垣姫”の刺青が完成する…。

とりあえず、ビデオ画像が哀しいほどに安っぽい。
刺青をほどこされる吉井怜の苦悶の表情と喘ぎ声はなかなかそそられるが、それ以外の演技が鼻につく。観念的なセリフ廻しがまったくおぼついてないしね。これは弓削智久も同様。

谷崎潤一郎の原作は読んだことがないが、監禁する男とされる女の関係性が次第に逆転していくという、乱歩の“盲獣”を彷彿とさせるプロットには期待していた。しかし、たいして心理的プロセスも描かれないまま、女は早々にそちらの魅力に目覚めてしまう。
ここらへんの心理描写が本作のキモになるはずなのだが、肝心なところが粗く、説得力にとぼしい。

ふたりの関係の設定も唐突だし、刺青コレクションのくだりもよくわからない。
結局、何が言いたかったんだろう?

吉井怜がそちらの魅力に目覚めるアイテムとして、月岡(大蘇)芳年・落合芳幾、そして丸尾末広・花輪和一の“血みどろ絵”が使われているのには興味を引かれた。
幕末の浮世絵師、芳年と芳幾は“英名二十八衆句”をはじめ、凄惨なシーンを描いた血なまぐさい絵を数多く残している。これらは血糊の質感を出すために絵具に膠を混ぜているという凝りようで、後年の“その筋の人々”に多大な影響を与えている。
丸尾末広・花輪和一は嫌いじゃないけれど、彼らの“新英名二十八衆句”を同列に扱っているのは違和感をぬぐえない。観客は何にも分からないと思っているのかね。

新英名二十八衆句”、復刊されないかなぁ。

評価:★★☆☆☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(2) | LOG #さ-そ

2006年03月04日

シリアナ(2005/アメリカ/監督:スティーヴン・ギャガン)


syriana.jpg改革に意欲的な王子ナシール(アレクサンダー・シディグ)が王位継承権を持つ中東のとある小国。長年危険な諜報活動に従事してきたCIA工作員のボブ・バーンズ(ジョージ・クルーニー)は息子の大学進学を機に引退を決意する。そんなボブに最後の極秘指令が下される…。ワシントンの大手事務所で働く野心溢れる弁護士ベネット(ジェフリー・ライト)は、アメリカの巨大石油企業コネックス社が絡んだ大型合併を巡る調査を任される…。ジュネーブに暮らすエネルギーアナリストのブライアン(マット・デイモン)は、ある出来事をきっかけに、ナシール王子の相談役に抜擢される…。ナシールの国に出稼ぎに来てコネックス社の油田で働いていたパキスタン人青年ワシーム(マザール・ムニール)は、突然の解雇に遭い、路頭に迷う…。まるで繋がりを持たないはずの彼らの運命は、容易に見通すことのできない一つの巨大なシステムの中に深く組み込まれていく。

そうか、こういう話だったのね…。
例によって、まったく予習ナシで観に行った私は、なにやらシリアスなテーマと、とんでもなく複雑な構成に、初っ端から思考停止状態。ついていけんかったとです…。
一見バラバラのエピソードが並行して進み、ラストで収束する。こういう脚本好きなんだけれども、本作はあまりにも不親切だと思う。とくに前半は場面転換が早すぎて、誰が誰だか、何が何やら。

「理解できないのは私だけか? みんなついていけているのかぁ?!」と池袋の中心で叫びたくなった。
疾走するバイクに乗ってはみたものの、早々に振り落とされて、呆然としている私がいましたよ…。

とりあえず、アメリカは無茶苦茶するなぁと。おまいらこそテロ国家じゃないのかと。

…頭が悪くてスミマセン。

評価:★★☆☆☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:58 | Comment(13) | TrackBack(49) | LOG #さ-そ

2006年03月01日

スティーヴィー(2002/アメリカ/監督:スティーヴ・ジェームズ)


stevie.jpg大学生時代に11歳の少年スティーヴィー・フィールディングの更生を助ける“ビッグ・ブラザー(兄役の制度)”になったジェームズ監督は、10年ぶりに故郷へ戻り、スティーヴィーの現在の姿をカメラに収めようと考えた。ところが、スティーヴィーが重大な犯罪の容疑者に問われたことで、ジェームズ監督は図らずも犯罪の加害者と向き合うことになってしまう。本作はそうした状況で様々な苦悩を抱えながらもカメラを手放さず映画を撮り続ける選択をしたジェームズ監督による4年半におよぶ魂の記録。

児童虐待・ネグレストの被害者であり、いとこの少女への性的虐待の加害者でもあるスティーヴィー。彼の母親とその妹(被害者の母親)もまた、貧しい地区の生まれでアル中の父親から虐待を受けて育ったと語る。スティーヴィーの母は、自分が育てられたように子どもを育て、ついには捨てた。
やりきれない虐待の連鎖の中で、必死で絆を繋ごうとする家族のありようが、観ていてとてもつらかった。
スティーヴィーは母親を憎んでいる。彼の妹(兄のように虐待はされていない)夫婦は、誠意を裏切り続ける兄をもてあましている。母親も悩んではいるけれど、彼女の罪は、犯罪をくりかえす息子を見れば一目瞭然。けっして心安らかなときはないだろう。

個人的なことだが、私自身、恵まれた家庭環境ではなかったし、10年近く帰省もしていない。家族という閉塞した集団への拒否反応はいまだに根深くて、なぜお互い憎みあい疎みあっていても家族というだけで寄り添って生きているのか、理解も共感もしづらかった。
どうしても、“共依存”という言葉が胸をよぎってしまうが、家族のありようは千差万別。スティーヴィーたち家族の関係は、息苦しく澱んでいるように見えるけれど、傷つけあいながらも寄り添っていることは、欠けたものを埋め、細い絆を縒り合わせながら生きていくことなのかもしれない。
家族としてどのように乗り越え、支えあっていくのがベストなのか、100の家族があれば100の答えが出るだろう。
子どもの産まれた妹夫婦や、婚約者の待つスティーヴィー自身の身をもって、負の連鎖が断ち切られることを祈らずにはいられない。

ジェームズ監督とスティーヴィーの関係も、擬似家族と呼ぶには程遠い、とても危うい距離感が伝わってきて、時折ひやりとさせられる。
自分の行為に、ときには意義を感じたり疑問を抱いたりする監督の葛藤がストレートに映し出され、一進一退をくりかえしてなかなか変わらないスティーヴィーに、監督同様、苛立ちを覚える。
一人の人生を見守ることは、とてつもなく重いことだ。
監督の真摯な思いを綴ったこのドキュメンタリーを観るには、それなりの覚悟が必要なのである。

評価:★★★★☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | LOG #さ-そ

2006年02月11日

サイレン FORBIDDEN SIREN(2006/日本/監督:堤幸彦)


siren.jpg29年前、謎のサイレンの音と共に一夜にして全島民が消失するという未曾有の怪事件が起きた夜美島(やみじま)。事件は未解決のまま、いつしか闇に葬り去られた――。すっかり平穏を取り戻した現在の夜美島に、病弱な弟の転地療養のためフリーライターの父と共に引っ越してきた天本由貴(市川由衣)。弟の担当医・南田豊(田中直樹)の案内で島を巡る由貴たちに粘り着くような視線を送る島の人々。引っ越しを手伝ってくれた隣家の里美(西田尚美)は、帰りぎわに“サイレンが鳴ったら外に出てはならない”と不可解な警告を由貴に残していく。しかしそれは、由貴が直面する数々の謎と恐怖のはじまりにすぎなかった…。

最後まで観ると分かるのだが、これ、結局ホラーではないんだよね。“サウンド・サイコ・スリラー”以上のものではなかった。
途中の演出はさておいても、このオチには愕然。やってはいけない禁じ手です。
今どきこんな安易なシナリオを見せられるとは思わず、映像や音響の良さなど消し飛んでしまった。

隔絶された離島、島民たちの奇妙な風習、人魚伝説など、ディティールはそそられるものが揃っているが、ストーリーに何も活かされていないため、コケオドシにすぎない。真に怖がらせたいのなら、余分なものは削ぎ落とさないと焦点がぼやけてしまう。
結局、消化不良な要素が多く、演出としては失敗していると思う。

ここから激しくネタバレ。

禁じ手のオチをさらにひとひねりし、実際は不死となっている由貴の父親や南田医師を含む島民ぐるみの真相隠しなのかと思ったが(これもよくあるオチだけど)、そういう含みもないみたい。
できれば、そうあってほしかったけどなぁ。

評価:★★☆☆☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 21:06 | Comment(2) | TrackBack(33) | LOG #さ-そ

2006年02月01日

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々(2005/ドイツ/監督:マルク・ローテムント)

シャンテ シネ@日比谷】

shirobara.jpg1943年のドイツ・ミュンヘン。“打倒・ヒトラー”を訴え、ビラ配りなどのレジスタンス活動を繰り返す“白バラ”と呼ばれる地下組織が存在した。2月18日、メンバーの一人、ミュンヘン大学の女学生ゾフィー・ショル(ユリア・イェンチ)は、兄ハンス(ファビアン・ヒンリヒス)とともに危険な大学構内でのビラまきを敢行し、運悪くゲシュタポに逮捕されてしまう。すぐさま、ベテラン尋問官のモーア(アレクサンダー・ヘルト)により厳しい取り調べが開始される。ゾフィーは恐怖を押し殺しつつ、毅然とした態度で理路整然と自らの無実を訴え続けるのだったが…。

ゾフィー・ショルについて、「ヒトラー〜最期の12日間〜」で、ヒトラーの秘書となった女性トラウドゥル・ユンゲが生前のインタビューで言及している。
「アウシュビッツやユダヤ人虐殺は自分の知らないところで起こったことで、関係がないと思っていた。しかし、後に自分と同年のゾフィー・ショルという女性の存在を知り、自分の罪を知った。知らなかっただけでは済まされない。目を見開けば気づくはず」

ユンゲがヒトラーに忠誠を尽くす一方、ゾフィーはゲシュタポの取り調べで、ナチスの行っているユダヤ人および精神障害児の虐殺を批判し、良心に反すると主張している。
人は、自分の帰属している社会が間違っているとは、理由もなく他者を虐げているとは考えたくない。知りたくないことに目をつむり、周囲から与えられる耳触りの良い情報だけで判断して生きていくのは楽なことだ。
後からナチスを批判することはいくらでもできるけれど、渦中にあって自分の良心と信念に従い行動することができるのだろうか。
大多数の人は、ヒトラーの秘書ユンゲや、ゲシュタポの取調官モーアのような思想で事態を見ることになるのではと思う。
だからこそ、ゾフィーの精神性に圧倒され、言葉を失う。

物語はほぼ、モーアによるゾフィーの取り調べと、狂気の法廷シーンのみ。モーアの取り調べが静かな緊張に満たされたものであれば、法廷シーンではダイナミックな高揚を感じる。実にスリリングな演出。
ゾフィーやハンスの命を賭けて信念を貫く姿勢は、モーアに強い感銘を与え、法廷では裁判官や傍聴人に恐れを抱かせている。
製作者の思惑とははずれてしまうだろうが、私にはとても“21歳の等身大の女子学生”には見えなかった。まるで預言者か神が憑依しているかのような気高さ、神々しさ。
ゾフィーのように生きることは難しい。何事も、良心に照らし合わせて考え、行動することは簡単ではないけれど、“目を見開いていれば気づく”ことすら気づかないでいることは、罪でしかないことを思い知った。

時を越え、現代の我々に強く訴えかけ、真の勇気について考えさせられる白バラの活動は、決してナチスの前にはかなく散ったのではなく、力強い花弁の一片を残してくれたのである。

評価:★★★★☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(8) | TrackBack(30) | LOG #さ-そ

2006年01月21日

スクールデイズ(2005/日本/監督:守屋健太郎)


school_daze.jpgわずか0歳で芸能界デビューし、天才子役と騒がれたもののさまざまな問題を抱え8歳で惜しまれつつ引退した相沢晴生(森山未來)。以来8年間、自分の思いとは裏腹にロクなこともないまま、今は冴えない高校生となっていた。そんな晴生は再起をかけて、人気学園ドラマ「はみだし! スクール☆デイズ」のオーディションに挑み、みごと合格する。そして、ドラマの現場で出会った熱血教師・鴻ノ池先生役の赤井(田辺誠一)に強い感銘を受けた晴生は、少しずつ影響されていく。ところがやがて、晴生の中でドラマと現実世界のバランスが崩れ始め、ついには鴻ノ池先生が現実の世界に登場してしまう…。

晴れたらポップなボクの生活」初日舞台挨拶までの時間調整に鑑賞。
観終わっての感想は、正規料金で観るにはキツイなぁという感じ。

金八先生を始め、往年の学園ドラマを徹底的にパロった劇中劇と、いじめられっ子の実生活がシンクロしていくプロットは悪くないが、コメディとしてはかなり中途半端で、笑えない。
タイトルを“school days”ではなく“daze”(当惑)としてるところはウマイけどねぇ。

全編コメディ路線かと思いきや、実生活での晴生に対するいじめはどんどんエスカレートし、中盤からはだいぶシリアスな展開に。
果たしてどのように落としどころを持ってくるのか予想もつかなくなってくるが、救いのない展開にあんまり後味がよくない。
ラストはそれなりに希望が見えるが、スッキリさわやかとか、はちゃめちゃな青春ドラマを期待していると面食らう。
田辺誠一や山本太郎、田口トモロヲなど役者はなかなか良い感じではあるが、良い意味で予想を裏切ってくれたとは言い難い消化不良感が残り、全体的に残念な作品。

評価:★★☆☆☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:58 | Comment(2) | TrackBack(14) | LOG #さ-そ

2006年01月14日

スタンドアップ(2005/アメリカ/監督:ニキ・カーロ)


standup.jpg暴力夫と別れ、2人の子どもを連れて故郷の北ミネソタの町に戻ってきたジョージー・エイムズ(シャーリーズ・セロン)。シングルマザーでなおかつ2人の子どもの父親が違うということで周囲は彼女に冷たい視線を投げかける。そんなジョージーが自分一人の手で子どもたちを養うために選んだ仕事は鉱山労働者。決して楽な仕事ではないと覚悟していたジョージーではあったが、何より彼女を困惑させたのは、同僚のほとんどを占める男性たちからの露骨で悪質な嫌がらせの数々だった…。

すっかり社会派女優となったシャーリーズ・セロン。本作でも、迫害や偏見を受けながらも品位を見失わない女性という難しい役をこなしている。

男社会の鉱山で、マイノリティである女性が受けるセクハラ・イジメの数々は想像を絶する。
男たちは、“オレたちの仕事を奪う”女性に対して明らかに脅威を抱いており、ビビッていることを悟られないために、女を見下し、最も嫌がるであろうジャンルの嫌がらせをぶつけることで、“男の優位”を保とうとする。
真に開放されなければならないのは女性よりも、むしろ男性であろう。
家族の食い扶持を稼がなければならないのは、2人の子どもを抱えるジョージーや、病気らしき母親の面倒を見ているジョージーの若い同僚も同じことなのだが、“男はこうあるべき”という男のプライドから、ハナからそんなことを考えもしない。

男の同僚や会社からの報復をおそれて足並みの揃わない女性たちの中、ジョージーだけが立ち上がり、訴訟を起こす。
話の展開がだいたい読めてしまうのは、現代の私たちはこのような状況が許されるはずのないことを知っているからだ。しかし、当時、少なくともこの鉱山ではそれがまかり通っていた。従来の慣習や常識を打破するために立ち上がることは、とてつもない勇気と信念のいることだ。鉱山の全員の男たち、そして事を荒立てたくない女たちまで向こうに廻して戦ったジョージーの強靭な精神力は、賞賛に値する。
堂々と、こんな職場おかしいと、鉱山の男たちに嫌悪を抱くことができるのは、ジョージーたちのような先人の行動の賜物である。
誰も立ち上がらなければ、この映画のような状況を知っても、“男ばっかりの職場に入ったんだから、こんなもんでしょ”と納得してしまうような恐ろしいことになっていたかもしれないのである。

セクハラや性差別という重いテーマもさることながら、“人としてどう生きるか”ということを問いかけられた気がする。
初日だというのに観客は少なかったが、骨太で心にずしんと響く映画。女性はもちろん、男性も観てほしい。

評価:★★★★☆

スタンドアップ 特別版 / ¥ 3,184スタンドアップ 特別版


シャーリーズ・セロン ニキ・カーロ フランシス・マクドーマンド ショーン・ビーン シシー・スペイセク ウディ・ハレルソン ジェレミー・レナー マイケル・サイツマン ワーナー・ホーム・ビデオ グスターボ・サンタオラヤ

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(16) | TrackBack(66) | LOG #さ-そ

2006年01月14日

THE 有頂天ホテル(2005/日本/監督:三谷幸喜)


ucyoten.jpg都内の高級ホテル“ホテルアバンティ”。新年のカウントダウンパーティーまであと2時間あまり。その成否はホテルの威信に関わり、これを無事終えることが副支配人の新堂平吉(役所広司)に課せられた責務。ところが、そんな新堂をあざ笑うかのように、思いも掛けないトラブルが次々と発生する。刻一刻と新年のカウントダウンが迫る中、従業員と“訳あり”宿泊たちを襲う数々のハプニング。はたして彼らは無事に新年を迎えることができるのか?

超豪華キャストによる群像劇。
三谷監督らしい抜群の構成力で、巨大なホテルを舞台に、モザイクのように散りばめられたいくつものエピソードが同時進行し、さまざまな人間ドラマが交錯する。
大晦日のせわしくなく浮ついた雰囲気のなか、次々と仕掛けられた笑いの要素がきっちりツボをおさえており、初日で満員御礼の劇場は爆笑の連続だった。まぁ、私は映画くらいでは笑わないので、周囲の笑い声でセリフが聞き取れない箇所もあり鬱陶しくもあったのだが。
どちらかというと、DVDでじっくり観るのに向いた作品かもしれない。

笑いとは“構図のずれ”であり、常識とか定番の構図から乖離していると感じることで起こるものである。
そのずらし具合のさじ加減が難しく、万人にウケる笑い、マニアックな笑い、“お寒い”コメディのどれにでもなり得る。
人を笑わせることは、泣かせることよりもよほど難しいのである。
そういう意味では、“自分のホテルで迷う”総支配人とか、高級ホテルにいるはずのないコールガールやあひるのダブダブにいかに説得力を持たせるか、緻密に計算されていることがよくわかる。

コメディなので、メッセージ性などは考えるのも野暮というものだが、「自分のやりたいことをやればいい」「叶わない夢はない」なんて安易なセリフにはちょっとシラけた。
不倫や汚職政治家を肯定してどうすんだろ。言いたいやつには言わせておけばいいって、それだけのことをしてるんだから言われて当然だし、開き直られても困る。
良くも悪くも、コメディ映画から抜け出していない要因はここらへんの薄っぺらさにあると思う。
大いに楽しめる作品ではあるが、これといって心に響くものがない。

余談。篠原涼子とYOUが一瞬だけ接触するシーンで、妙に懐かしい気持ちになり不思議に思ったが、そっか、「ごっつええ感じ」のふたりだね。このふたりはコメディエンヌとして、全体を通して目立つ存在だった。さすがダウンタウンにシゴかれただけのことはあります。

評価:★★★★☆

THE 有頂天ホテル スペシャル・エディション / ¥ 4,914THE 有頂天ホテル スペシャル・エディション


役所広司 三谷幸喜 松たか子 佐藤浩市 香取慎吾 篠原涼子 戸田恵子 生瀬勝久 麻生久美子 東宝

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

THE 有頂天ホテル スタンダード・エディション / ¥ 3,112THE 有頂天ホテル スタンダード・エディション


役所広司 三谷幸喜 松たか子 佐藤浩市 香取慎吾 篠原涼子 戸田恵子 生瀬勝久 麻生久美子 東宝

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:58 | Comment(11) | TrackBack(116) | LOG #さ-そ

2005年12月21日

ザスーラ(2005/アメリカ/監督:ジョン・ファブロー)


zathura.jpg弟ダニー(ジョナ・ボボ)は、兄ウォルター(ジョシュ・ハッチャーソン)のことが大好き。でもウォルターはダニーのことを疎ましく思っていた。その日も、ダニーはウォルターと一緒に遊ぼうとしたが、逆に怒らせてしまう。地下室に入れられ、そして見つけたボード・ゲーム“ザスーラ”をリビングに持ち帰り、何気なくボタンを押したダニー。禁断のゲームだとは知らずに。ゲームから飛び出したカードには、なにやら指示が。いつの間にか、彼らは家ごと宇宙へと飛び出していた。

ジュマンジ(1995/アメリカ/監督:ジョー・ジョンストン)面白かったんで、期待してたんだけど。
これほど何でもアリのオイシイ設定はそうないはずだが、何だかびっみょ〜な出来。
ジュマンジはウチのちっこいテレビ、ザスーラは大スクリーンという、えらい条件差があったにもかかわらず、ジュマンジほどハラハラドキドキ感が味わえなかった…。むしろジュマンジ未見のほうが楽しめたのかもしれないと思うほど。
なんでかなぁ。
凶悪なエイリアン、隕石、ブラックホール…。んー、宇宙で起こりそうなハプニングってあらかた予想がついちゃうかも。
何でもアリなプロットのわりに、いまひとつ予定調和から抜け出していない印象だったかな。

ジュマンジは地球上のアフリカとは似て非なる世界のようだったし、ザスーラの宇宙もおそらくは別次元あるいは(何者かによる)作りものの世界と思われる。なので、宇宙空間で呼吸可能だったり、ソファが勢いよく燃えてたり、重力があったりするのはオッケイだろう。野暮なツッコミなしね。
…しかし! やっぱり、あの宇宙飛行士の正体は強引すぎていただけない。
果たしてあの設定が必要だったのかと。

…映画館のこと。
シネマイレージカードを作りっぱなしだったので、たまにはと来てみたけど、あいかわらずここは客質悪いね。
エンドロールになったとたん、あちこちで携帯パカパカ開きだす。ゴミ、ペットボトル、食べかけのポップコーンを座席や床に放置。
自分の出したゴミや食べ残しの始末もしないとは、おまいら動物ですか?

評価:★★☆☆☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(11) | TrackBack(38) | LOG #さ-そ

2005年12月10日

スチームボーイ(2004/日本/監督:大友克洋)


時は19世紀半ば、舞台は世界初の万国博覧会を控えたイギリス。少年レイは、祖父ロイドと父エディが発明した謎の球体・スチームボールを手にしたことから、アメリカのオハラ財団の手の者に捕われる。連れて行かれたのは、巨大な機械の要塞・スチーム城。そこで財団は、超高圧の蒸気を封じ込めたスチームボールの力を武器として売りさばこうとしていた。レイはそれを阻止しようとするが…。

ネームバリューのわりに、あんまり評価良くないみたい。
私は好きだなぁ、こういうメカメカしいの。
それも硬質なサイバー感ではなく、スチームというところにアナログ的な味わいがある。
19世紀ロンドンの暗く湿っぽく煤けた雰囲気に、蒸気機械はよく似合う。

テーマやストーリーはわかりやすく最後まで飽きなかったが、どうしてもラピュタが頭をよぎる。
しかしラピュタほど壮大な設定ではなく、世界観はわりとこじんまり。
いくらなんでもスチームボール3個で国家にケンカ売るのは無茶すぎるよ。
スチームって、未知の技術ではないところが脅威を抱かせるには弱い。

科学は諸刃の剣というテーマに目新しさはないが、ストレートで共感しやすいので悪くはないと思う。科学による未来は明るいのか絶望的なのか。各キャラクターのスタンスにも物語の展開にも答えを用意せず、ニュートラルに徹しているのが、焦点をぼやけさせてしまっている点でもある。観る者の心にインパクトを残すためには、もう少し強烈なメッセージ性がほしいところだ。

アニメーションとしては、偏執的な描きこみ具合が美しくもあり、うるさくもあり。
ターゲットの年齢層の設定が低すぎたのと、公開時期が遅すぎた(構想9年)のが評価につながらなかったのだと思うが、それもまた監督の実力のうちか。

評価:★★★☆☆

B0001X9D3Gスチームボーイ 通常版
大友克洋 鈴木杏 小西真奈美

バンダイビジュアル 2005-04-14
売り上げランキング :
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

B000232BSEスチームボーイ スターターキット
大友克洋 りんたろう

バンダイビジュアル 2004-06-25
売り上げランキング : 21,962
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(2) | LOG #さ-そ

2005年12月05日

ジュマンジ(1995/アメリカ/監督:ジョー・ジョンストン)


来週公開の「ザスーラ」が面白げなので、まずは前作を観てみることに。

100年前に封印された奇妙なボードゲームを手に入れた少年アランは友だちのサリーとゲームを始める。だが、ボードのメッセージ通りの事が起きた上、アランはどこかに消えてしまった。それから26年後、売りに出されていた屋敷に移り住んできた幼い姉弟ジョディとピーターは屋根裏部屋でそのゲーム“ジュマンジ”を発見。実は26年前のゲームはまだ続いていたのだ。そしてゲームから出現した猛獣たちによって静かな町はとんでもないパニックに襲われる。ルールに従って今や大人となったアランも復活、事態を収拾するにはゲームを終わらせるしかないことを知った3人は、残ったメンバーであるサリーの元を訪れる…。

んー、こういう映画はいいね。いかにもハリウッドの娯楽作という感じで、正しいお金の使いみちだと思う。
ただ、私はロビン・ウィリアムズが大嫌いなので、彼が登場した瞬間、ギョエッと唸ってしまったのだが…。こういうキショい役をよくやってましたね、この頃は。
そんでもって、おやまぁ、先週、エリザベスタウン(2005/アメリカ/監督:キャメロン・クロウ)で10年後の姿を見たばかりのキルスティンたんが。偶然にも、なぜか靴屋つながりなのがちょっとおかしい。

さすがに当時のCG技術にはムラを感じないでもないが、ストーリーは今観てもハラハラドキドキ。よくできてます。
ジュマンジゲームのつながる先が、中世ヨーロッパでもSF的な未来でもなく、アフリカな世界というのが面白い。ドンドコドコドコ…って太鼓の重低音も雰囲気を盛り上げてくれるし。

これはこれで、充分ファミリーで楽しめるアドベンチャー映画の佳作に仕上がっているんだけど、設定を大人向けにしても面白いだろうな。「ザスーラ」はそこんとこどうなんでしょ。期待していいんでしょうか。

評価:★★★☆☆

ジュマンジ コレクターズ・エディション
B000BX4C3M
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2005-12-21
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(5) | TrackBack(8) | LOG #さ-そ

2005年11月15日

SAW2(2005/アメリカ/監督:ダーレン・リン・バウズマン)


イカン、ぼけっとしてたら今週で上映が終わってしまう!
というわけで遅ればせながら観てきたよ。ソリッド・シチュエーション・スリラーという、わかったようなわからないようなジャンルを打ち立てた「SAW/ソウ」の続編。
ネタバレありぽ。

saw2.jpg刑事エリックのもとに殺人事件発声の報が来る。現場には惨殺死体が転がっていた。その手口は残虐極まりなく、頭部が半分欠如していた。刑事の頭に、世の中を騒がせた連続殺人犯ジグソウの影がちらつく。果たして、あの連続殺人事件の時のように、またしてもジグソウの犯行なのか?

Jigsawは嘘は言わないが本当のことも言わないので、彼の言葉の裏を読みつつ、半ばゲームに参加しているような気で観るのが正しいのだろうが、冒頭からいきなりのショッキングシーンにこちらのテンションもあがりっぱなし。30秒でSAWワールドに引きずり込まれ、あとは翻弄されるがまま。
あとから考えれば、Jigsawはかなり慎重に言葉を選んで最大限のヒントを与えてくれているのがわかるのだが、というか前作観てたらそういう映画だと心していたはずなのだが…、またやられちゃった( ゚Д゚)

私としては、8人の屋敷脱出ゲームは手の込んだトラップのひとつでしかないところを大いに評価したい。
この脱出ゲームだけを取れば、偶発的な要素も多くJigsawにしてはやや杜撰だなぁと思ってしまうのだが、本当のターゲットであるエリック刑事とのゲーム、これはもう完璧にJigsawのすじがき通りであることに舌を巻く。結局、8人はゲームの駒というか装置にすぎないので、Jigsaw的には着地点(ダニエルが生き残る)さえ狂わなければどう展開してもかまわなかったんじゃないだろうか。8人のなかに、いかにも暴走しそうな筋肉バカが放りこまれていて、案の定進行を引っかきまわすのも、逆上しやすいエリック刑事へのハンディの一つと思われる。
前作のような斬新さは薄れたが、緻密さにおいては勝るとも劣らない。

前作を観てない人は観ないだろうが、予想以上に前作を踏襲しており、シリーズものとして成功しているという奇跡のような続編である。
前作に残った謎をああいう形で見せるセンスの良さには脱帽。あの惨劇のバスルームが映った瞬間、隣のカップルの女の子が「あっ!」って声あげてました。大げさでなく、扉が開いたあの一瞬のためにこの映画を観る価値は十二分にある。

それにしても、あの一軒家は何なんだろ。地下に異常に広いバスルームがあるというふしぎなつくり(でもバスタブは普通)。
寒そうでイヤですね。

評価:★★★★☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(9) | TrackBack(48) | LOG #さ-そ

2005年11月13日

親切なクムジャさん(2005/韓国/監督:パク・チャヌク)


正直、韓国映画はあまり好きではないのだが、「オールド・ボーイ」には衝撃を受けた一人です。
復讐をテーマに3部作作っちゃうとは、やはりあちらの人は業が深い。

kumuja.jpg天使のような美貌と残忍な手口で世間を騒然とさせた幼児誘拐事件の犯人クムジャ(イ・ヨンエ)は、服役中、誰に対しても優しい微笑を絶やさなかったことから“親切なクムジャさん”と呼ばれるようになる。13年間の服役を終えて出所した彼女は、自分を陥れたペク先生(チェ・ミンシク)に復讐するため、かつての囚人仲間に協力を依頼する。ペク先生により引き離された娘と再会を果たし、ついに彼を手中にいれた彼女だったが、本当の復讐はそこからが始まりだった…。

クムジャさんが復讐に至る経緯と復讐へのプロセスが、時間軸をずらし、パッチワークのように散りばめられているため、全体像を把握しづらい。
伏線となるセリフやシーンが細部まで把握しきれなかったのだが、パズルのように頭の中で組み立てていくと、綿密で周到な復讐劇が浮かび上がる。

伏線を追いきれなかったというのもあるだろうが、意図的に説明されていないと思われる設定も多く、最後までクムジャさんに感情移入することはなかった。このあたり決して復讐を美化しているわけではなく、むしろ復讐の虚しさとか意味のなさを感じさせるつくり。
クムジャさんの復讐の動機にちょいと逆恨み的なところがあったり、復讐を遂げた後も決して救われていないところも監督の意図するところだろう。さすがだ。

復讐シーンについては、直接的な描写はないものの、手段としてはかなり衝撃的。ストレートすぎて最も恐ろしい復讐方法といえる。いやぁ親切だなぁ、クムジャさんは。
これほど恐ろしい復讐劇でありながら、ブラックな笑いを誘うシーンのタイミングもよい。復讐コメディとまではいかないが、思わず苦笑してしまう。

こういう複雑な構成の映画で、隣がやたら落ち着きのないカップルの男性だったのは不運だった。上映中に3度も前を横切られるし常にゴソゴソしてるし、集中力途切れまくり。おそらく頭が悪くて映画の内容がまったく把握できなかったのだと思うけど、子どもじゃないんだから2時間くらい我慢しなさいね。

評価:★★★★☆

4043572123親切なクムジャさん SYMPATHY FOR LADY VENGEANCE
大石 圭
角川書店 2005-10-25

by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(3) | TrackBack(34) | LOG #さ-そ

2005年10月27日

世界(2004/日本=仏=中/監督:ジャ・ジャンクー)


北京郊外にあるテーマパーク“世界公園”。エッフェル塔やピラミッドなど、世界各地の建築物のミニチュアが集まったこの場所で働くダンサーのタオ(チャオ・タオ)は、仲間から“姐さん”と呼ばれ慕われている。恋人もいて、いつも観客に笑顔を振りまく彼女だが、その笑顔の裏には将来への漠然とした不安を抱えて暮らしていた。

world.jpg“一日で世界を廻れる”という壮大なコンセプトの施設が舞台だが、無限をイメージさせるその名前とは裏腹に、狭い世界からほとんど出ることもなく、同じメンツで同じ日々が繰り返されてゆくストーリーに閉塞感をおぼえる。
みんな友人や恋人も同僚ばかり、生活のほとんど全てが“世界公園”の中で完結しているのだ。
“世界”にあこがれているのに、実際は北京から出ることもかなわない若者たち。中国という国の現実がみごとに凝縮されているのではないだろうか。

だが世界はゆるやかだが確実に変貌していく。自ら変わっていこうとする者あり、変化のうねりに翻弄される者あり、流れに取り残される者ありで。
ここに描かれる若者たちの苛立ちや葛藤はとても身近で、生々しい。

それにしても、“世界公園”っておもしろい施設だなぁ。
壮大なコンセプトと、実物のチープさの絶妙なバランスで独特の世界観を確立している。タージ・マハールの隣に忽然とピサの斜塔が存在しているシュールさ。客足も微妙で、全体的に空虚な感じがする。
実際はすごく人気があってにぎやかなスポットなのかもしれないが、これが演出によっていかにも作り物めいた空虚な世界観をかもし出しているのなら、この監督の力量は相当なものだ。

評価:★★★☆☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(2) | TrackBack(14) | LOG #さ-そ

2005年10月19日

そして、ひと粒のひかり(2004/アメリカ=コロンビア/監督:ジョシュア・マーストン)

シネアミューズ@渋谷】

maria.jpg本日はサービスディということもあってか、シネアミューズは満席。例によってほとんど前知識ナシ、フィーリングで選んだ映画だが、これはアタリの予感。

コロンビアの片田舎で暮らす17歳のマリア(カタリーナ・サンディノ・モレノ)は、花農園のバラの刺を抜く仕事で一家の生計を支えていたが、主任と折り合いが悪く、衝動的に辞めてしまう。ボーイフレンドの子どもを身ごもっていたマリアは、愛のない結婚をする気になれず、また家族から仕事を辞めたことを責められるプレッシャーに耐え切れなくなり、家を出る。
町に住む知人を訪ねようとバスを待っているところに、パーティで知り合ったフランクリン(ジョン・アレックス・トロ)が偶然通りかかり、事情を話すと仕事を紹介してくれるという。それは“ミュール”と呼ばれる、麻薬を飲み込んでニューヨークに運ぶというものだった…。

前半は、人々がほとんど希望を持てずに暮らしている南米コロンビアの現実が、淡々としたドキュメンタリータッチで描かれる。寝不足もあって何度か意識が遠のきかけたが、マリアが運び屋を引き受けるあたりから徐々に引き込まれ、まるで不安定なマリアの行く道を追体験しているような感覚をおぼえる。

まだ17歳なのに、一家の生計を支え、愛のないセックスで妊娠し、高額の報酬につられて危険な運び屋という仕事を選ぶマリア。地球の裏側に、それほど絶望的で、病んでいる国が存在していることにまずショックを受ける。
なにしろヘロインを詰めたフィルム大のカプセルを62粒も飲み込むのだ。もしも胃の中でカプセルが破れたら死んでしまうという。ふつうの女の子にそんな命がけの仕事が持ちかけられ、気軽に引き受けてしまう南米社会の現実は頭をガーンと殴られたような衝撃だった。

だが、マリアは運命を自分で切り拓く才能を持っている。同じ運び屋として知り合ったルーシーの姉・カルラを訪ねたことによって、新しい世界をつかむ糸口をたぐりよせることができた。
友人のブランカもまったく同じ経験を経ているにもかかわらず、ふたりがそれぞれ正反対の道を歩き出すラストはとても力強く、美しい。マリアはこの先どんなに苦しいことがあっても、自分の選んだ道を後悔することはないだろうが、ブランカは少しは思うかもしれないね。

物語が進むにつれ、どんどんきれいになっていくマリアを演じたカタリーナ・サンディノ・モレノが鮮烈な印象を残す。
エンディングの訳詩もとてもよかったなぁ。

評価:★★★★☆

そして、ひと粒のひかり / ¥ 4,935そして、ひと粒のひかり


カタリーナ・サンディノ・モレノ ジョシュア・マーストン イェニー・パオラ・ヴェガ 日活

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

そして、ひと粒のひかり / ¥ 680そして、ひと粒のひかり

カテゴリ: ジャンル別 > 文学・評論 > 文芸作品 > 外国文学・著者別 > マ行の著者

高橋 美夕紀 英知出版

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(6) | TrackBack(38) | LOG #さ-そ

2005年10月17日

12人の優しい日本人(1991/日本/監督:中原俊)


もしも日本に陪審員制度があったら。
ある殺人事件の審議のために12人の陪審員が集められた。ここに来た12人は、職業も年齢もバラバラな無作為に選ばれた人々。審議は全員一致の“無罪”ですぐに終わるかにみえたが、一人の陪審員が疑問を投げかけたのをきっかけに、“無罪”派と“有罪”派で対立し、審議は紛糾していく。

お恥ずかしながら、元ネタである「十二人の怒れる男」は未見なのだが、安楽椅子探偵のひとつのバリエーションとして非常によくできており、とても楽しめた。
さすがミステリ好きの三谷幸喜脚本だけはある。推理ものとしても十二分に成立しており、きれいなどんでん返しには唸らされた。
12人が最終的に出した結論も、結局は机上の空論にすぎないのだが、そこに至るまで二転三転する脚本のおもしろさや人物描写の的確さもあり、ラストはスッキリさわやかな気持ちになる。

12人の陪審員は、ほとんどの日本人が誰かに分類されてしまうのではないかと思うほどよくできたキャラ設定。審議の行方同様、前半と後半で立場や役割が逆転しているのがとても面白い。前半の展開からは思いもよらない人物がリーダーシップをとり、思いもよらない人物が矛盾を突いて真相に近づいていく。みごとな逆転のシナリオによって、12人全員にスポットがあてられ、ひとりとして不可欠な要素となっている。

陪審員制度が実施されたら、日本人のことだから意外とまじめにやるんじゃないかなぁと思うけど、結果は怖いね…w
私はわりと意識して優柔不断にはならないようにしているが、それは自分のことだから責任が持てるのであって、誰かを裁くなんて考えただけで胃が痛くなる。だから12人必要なんだよねぇ。
しかし、この映画を観ると、陪審員制度も悪くないんじゃないかと思っちゃうほどの説得力があった。

元となった舞台が来月からパルコ劇場で再演されるようなので、運がよければ観に行きたいと思ってはいるが、たぶん無理だろうなぁ。チケット争奪戦ものすごいことになりそう(;´Д`)

評価:★★★★☆

12人の優しい日本人
B00005HNT4塩見三省 豊川悦司 中原俊

ジェネオン エンタテインメント 2000-10-25
売り上げランキング : 7,450

おすすめ平均 star
star笑える。役者がウマイ。
starやっぱり日本人には陪審制は無理なのか!!
star最高の和製コメディー!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(6) | TrackBack(8) | LOG #さ-そ

2005年10月08日

セブンソード(2005/香港/監督:ツイ・ハーク)


sevensword.jpgHERO」「LOVERS」に続く、中国武侠アクション大作第3弾! …って、あれれ、「グリーン・ディスティニー」は? 3部作というならこの3つのほうがしっくりくるような気がする。

時は1600年代の半ば。中国では明に取って代わった清王朝が建国されていた。新政府は反乱分子の息の根を止めようと“禁武令”を出す。政府に反乱できなくなるよう、武術の研究も実践も禁止するものだったが、実際には武術など使いこなせない者たちを含む無差別な虐殺が繰り返されていた。かつて処刑人として人を殺めてきた傅青主(ラウ・カーリョン)は、村を守るために遠方の神秘の山“天山”の大使に助けを求める。そしてそれぞれ異なる力を持つ7つの剣を授けられた7人の剣士が誕生した。

…また騙されたよ武侠映画というやつにヽ(`Д´)ノ
個人的に、「LOVERS」がもう徹底的にダメだったので、このジャンルはいいや…と思っていたのだが、監督が違うのと、プロットが面白そうだったので、ちょっと期待してたんだけどな。
コントラストのはっきりしない暗いトーンの映像と、キャラ描き分け不足のダブルパンチで、もうはっきりいって誰が誰だか。何が何やら。
前後のつながりも人物の相関関係もよく飲み込めないまま、気がつくと次の展開に進んでいる。この調子で2時間半! 長っ! 罰ゲームですかこれは。

7本の剣はそれぞれギミックに工夫が凝らしてあり、これが活かされていれば面白い映画になっていたと思う。人物だけでなく剣もまた説明不足。7人と7本は多すぎたな。

ワイヤーアクションを最小限に抑え、地に足のついた剣劇は良かったと思うのだが、見どころである後半のアクションシーンまで観客をひっぱりきれないのは致命的。
でも剣劇は今後もこういう地道な肉体路線で行って欲しいと思う。

【★★☆☆☆】
セブンソード 特別版 (初回限定豪華BOX仕様)セブンソード 特別版 (初回限定豪華BOX仕様)
レオン・ライ ツイ・ハーク ドニー・イェン

ワーナー・ホーム・ビデオ 2006-02-03
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

セブンソードセブンソード
レオン・ライ ツイ・ハーク ドニー・イェン

ワーナー・ホーム・ビデオ 2006-02-03
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:58 | Comment(4) | TrackBack(28) | LOG #さ-そ

2005年09月07日

サマータイムマシン・ブルース(2005/日本/監督:本広克行)


stmb.jpgレディースデーの本日。同僚の「メゾン・ド・ヒミコ」が観たいという誘いを振り切り、ポップな広告に惹かれていたSTMBを選択。
いやぁ大正解。期待以上に面白かった。

とある大学のSF研究会の部室。猛暑のさなか、部室のクーラーのリモコンが壊れてしまう。
暑さにグッタリしている部員たちの前に、忽然と、怪しげなタイムマシンが現われた。さっそく、昨日にタイムスリップしてクーラーのリモコンを取ってこようと画策するが、予測もつかない出来事が次々と起こり……。

SF研究会とは名前だけ、とりあえず気の合う仲間と集まってダラダラ過ごしたいだけの部員たちは、もちろんタイムパラドックスのことなんかまったく知らない。軽〜いノリで、「タイムマシン? リモコン取りに行けるじゃん!」と後先考えずに過去をいじくろうとしちゃったもんだから、さぁ大変。顧問にタイムパラドックスの恐ろしさを聞かされて青くなり、つじつま合わせのために昨日と今日を行ったり来たり。

展開はほとんど読めてしまうのだが、微妙なずらし具合が最高。話が進むにつれ、序盤の伏線がぴたぴたとはまっていき、最後の1ピースもぴたりとはまって、着地もお見事。

意外にシビアなタイムパラドックスの縛りによって、いっそう部員のバカっぷりが際立つというバランス感覚がとっても良い。
彼らのゆる〜い会話と、バカまるだしの行動がイイ感じの脱力感を味わえる。
彼らが時間に振り回されるのがリモコン1個のためというスケールの小ささは、SFにどっぷり浸かった人であればあるほど考えつかない、盲点を突く秀逸なプロットですね。

全体を通して無駄なシーンがなく、会話の間も絶妙。かなり複雑な時間軸の構成も、ノリとテンションで突っ走る。
クーラーのリモコンを持っていけば1,000円で観られるという面白い企画もあるが、たとえ正規の料金払っても損はしないと思うな。

【★★★★☆】
サマータイムマシン・ブルース スタンダード・エディション (初回生産限定価格)サマータイムマシン・ブルース スタンダード・エディション (初回生産限定価格)
瑛太 上田誠 本広克行

ポニーキャニオン 2006-02-24
売り上げランキング :
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

サマータイムマシン・ブルース コレクターズ・エディションサマータイムマシン・ブルース コレクターズ・エディション
瑛太 上田誠 本広克行

ポニーキャニオン 2006-02-24
売り上げランキング :
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

サマータイムマシン・ブルース 2005 舞台版サマータイムマシン・ブルース 2005 舞台版
瑛太 上田誠 本広克行

ポニーキャニオン 2006-02-24
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(5) | TrackBack(38) | LOG #さ-そ

2005年09月02日

10億分の1の男(2001/スペイン/監督:ファン・カルロス・フレスナディージョ)

カジノの地下で、秘密に行われている“運試しゲーム”。強運の持ち主がお互いに運を奪い合うこのゲームを主催しているのは、30年間無敗の男・サミュエル。
サミュエルの弟子ともいえるフェデリコは、サミュエルの元を去ったときに運を全て奪われてしまった。7年後、飛行機事故の唯一の生存者・トマスに出会い、サミュエルと対決させるべくゲームへの参加権を与える。

“運”を操る能力をもつ人間たちのゲームだなんて、プロットはすっごく面白そうなんだけどねぇ。
どういうわけか、ひどく退屈。誰の頭に虫が止まるか、目隠しで森の中を無事に走り抜けられるのは誰か、といったゲームの内容には“おっ”と思わせられるが、ドラマそのものが粗く、スピード感もなく、緊張感皆無。

必要以上に、ありきたりな人間ドラマに重点が置かれていることにより、運は強いけど不幸な人たちにしか見えないです。
女刑事の存在といい、サミュエルの過去といい、実に中途半端。
この題材には、無機質で淡白なドラマのほうがなじむのではないかな。あるいはコメディにしてしまうとか。
どちらにしても、もっとたくさんの奇抜なゲームをテンポ良く見せることが前提だけど。

素材は抜群だが料理のしかたがあんまりうまくない。もったいないオバケが出るね。

【★★☆☆☆】

10億分の1の男 デラックス版
B0001Z30TCレオナルド・スバラグリア ファン・カルロス・フレスナディージョ ユウセビオ・ポンセラ

ジェネオン エンタテインメント 2004-05-21
売り上げランキング : 28,766

おすすめ平均 star
star別のものを期待してしまいました。
star新進気鋭の映像作家ならではの作品
star濃厚な不条理ムービー

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

livedoorぽすれんで借りる≫10億分の1の男

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(4) | TrackBack(3) | LOG #さ-そ

2005年08月26日

スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー(2004/アメリカ=英/監督:ケリー・コンラン)

1939年ニューヨーク。科学者の連続失踪事件を追っていた女性新聞記者のポリー(グウィネス・パルトロウ)は、街に巨大ロボットが襲来した現場に居合わせ、危ういところを元恋人で空軍の天才パイロット・スカイキャプテン(ジュード・ロウ)に助けられる。
協力して事件を調査することになったポリーとスカイキャプテンは、謎の科学者・トーテンコフ博士の存在を知る。

さほど食いついて観たわけではないが、さらりと流し観てもなかなか面白かった。
背景のほとんどはセピア調で統一されたCG。最新のデジタル技術でレトロモダンな風景を表現するという遊び心が憎いじゃないですか。
ヒーローものとして王道をつらぬくストーリーに、期待以上のハラハラドキドキはなくても、どこか懐かしい、予定調和なワクワク感が心地よかった。空飛んで海潜って、世界を股にかけての冒険活劇なんてのが21世紀の新作で観られるとは。

レトロな雰囲気にしっくりなじむ、ジュード・ロウとグウィネス・パルトロウ。ウィットに富んだというべきか、しょーもないというべきか、微妙な会話のやりとりもそれなりに楽しめた。
鼻っ柱が強く、すっとぼけたポリーのキャラが愛らしくて良い感じだが、意外とスカイキャプテンのキャラに面白みがないね。正統派ヒーローといったらこんなものかな。

それにしても、あの光線銃を造った人は何気にすごいんじゃないだろうか。トーテンコフ博士のような天才が造った巨大ロボットも瞬殺。こういうありえない小道具のバカっぽさも、トータルで世界観を支えていて、丁寧に造られた映画という印象を受けました。

【★★★☆☆】

B0007Y9LAYスカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー 初回限定スペシャル・プライス版
ジュード・ロウ ケリー・コンラン グウィネス・パルトロウ

ジェネオン エンタテインメント 2005-05-25
売り上げランキング : 2,440
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

B00067HDYSスカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー プレミアム・エディション
ジュード・ロウ ケリー・コンラン グウィネス・パルトロウ

ジェネオン エンタテインメント 2005-05-25
売り上げランキング : 2,520
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

livedoorぽすれんで借りる≫スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(2) | TrackBack(12) | LOG #さ-そ

2005年08月11日

青春の殺人者(1976/日本/監督:長谷川和彦)

恋人との交際を反対され、はずみで両親を殺してしまった斉木順 (水谷豊)。恋人のケイコ(原田美枝子)とともに、両親の死体を海に沈め、逃避行を図るが……。

実在の事件をモチーフにしているそうで、とにかく重い。血のりもけっこうすごいことになっているし。
この監督は今までに2本しかメガホンを取っていない超寡作の人。「太陽を盗んだ男」はまったく古さを感じさせないかっこええ映画だったのに、こちらはどうも好みにあわなかった。全体的に、セリフや言い回しが芝居がかっていて古臭い。

父親(内田良平)を刺殺したことが発覚してからの水谷豊と母親(市原悦子)のやりとりなんか、大仰なセリフと演技により、凄絶を通り越してコントのようだ。
「淫乱におぼれて、蛇に身体をぐるぐるまきにされて……!」。すいませんこのセリフ笑ってしまいました。
こんなセリフを市原悦子が言うから迫力があるわけで、母親というより女をむき出しにして息子の恋人に嫉妬する悦ちゃんのエキセントリックぶりはスゴイ。怖いぃ。夢に見そう。

原田美枝子も美しいおっぱいを惜しげもなく放りだし、頑張ってはいるが、耳触りな声でやたらギャーギャーとうるさい。難聴という役のせいかもしれないが、この人声がよくないのであんまり大声でわめかないでほしいよ。疲れる女だ。

両親に与えられたものを享受するだけの主人公、独善的で頑迷な父親、息子を支配しようとする母親、バカな恋人。誰一人として共感できる登場人物がいない映画でした。
もっと若いころに観ていたら評価は違ったかもしれないなぁ。

【★★★☆☆】

青春の殺人者 デラックス版
B00005QYOY水谷豊 内田良平 市原悦子 原田美枝子

ジェネオン エンタテインメント 2001-11-22
売り上げランキング : 12,798

おすすめ平均 star
star大人になるための儀式
star母の気持ちが痛いほどわかります
star殺すことを厭わぬ私の鏡像

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

livedoorぽすれんで借りる≫青春の殺人者

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | LOG #さ-そ

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。