(06/05/22) 亀も空を飛ぶ(2004/イラク/監督:バフマン・ゴバディ)
(06/05/14) けっこう仮面 MASK OF KEKKOU(2003/日本/監督:長嶺高文)
(06/05/06) 隠された記憶(2005/フランス=オーストリア=独=伊/監督:ミヒャエル・ハネケ)
(06/05/03) 君とボクの虹色の世界(2005/アメリカ/監督:ミランダ・ジュライ)
(06/03/25) ククーシュカ ラップランドの妖精(2002/ロシア/監督:アレクサンドル・ロゴシュキン)
(06/03/05) 彼のオートバイ、彼女の島(1986/日本/監督:大林宣彦)
(06/02/19) 転がれ!たま子(2005/日本/監督:新藤風)
(06/02/15) クラッシュ(2004/アメリカ/監督:ポール・ハギス)
(06/01/29) コアラ課長(2005/日本/監督:河崎実)
(06/01/25) グレート・ビギン(2004/フランス/監督:クロード・ニュリザニー&マリー・プレンヌー)
(06/01/20) かえるのうた(2005/日本/監督:いまおかしんじ)
(06/01/08) 銀色の髪のアギト(2005/日本/監督:杉山慶一)
(06/01/08) キング・コング(2005/ニュージーランド=米/監督:ピーター・ジャクソン)
(05/12/30) 50回目のファースト・キス(2004/アメリカ/監督:ピーター・シーガル)
(05/12/24) 奇妙なサーカス(2005/日本/監督:園子温)
(05/12/12) 逆境ナイン(2005/日本/監督:羽住英一郎)
(05/12/03) 怪談かさねが渕(1957/日本/監督:中川信夫)
(05/11/21) CUBE ZERO(2004/カナダ/監督:アーニー・バーバラッシュ)
(05/11/20) 奇談(2005/日本/監督:小松隆志)
(05/11/18) コープス・ブライド(2005/イギリス/監督:ティム・バートン)
(05/11/13) カーテンコール(2004/日本/監督:佐々部清)
(05/10/12) 空中庭園(2005/日本/監督:豊田利晃)
(05/09/25) 奇跡の海(1996/デンマーク/監督:ラース・フォン・トリアー)
(05/09/21) 銀河ヒッチハイク・ガイド(2005/アメリカ=英/監督:ガース・ジェニングス)
(05/08/29) 小人の饗宴(1969/西ドイツ/監督:ヴェルナー・ヘルツォーク)
(05/08/28) ガンマー第3号 宇宙大作戦(1968/日本/監督:深作欣二)
(05/08/06) グーニーズ(1985/アメリカ/監督:リチャード・ドナー)
(05/07/21) ガーゴイル(2001/フランス/監督:クレール・ドゥニ)
(05/07/19) ゴーストワールド(2001/アメリカ/監督:テリー・ズウィゴフ)
(05/07/16) コニー&カーラ(2004/アメリカ/監督:マイケル・レンベック)

2006年05月22日

亀も空を飛ぶ(2004/イラク/監督:バフマン・ゴバディ)

ユーロスペース@渋谷】

“バフマン・ゴバディ監督全3作品連続上映”にて。
「わが故郷の歌」を観ることができなかったのは残念だ。

turtlescanfly.jpgアメリカ軍のイラク侵攻が目前に迫る2003年春。幾多の戦争で荒廃したイラク北部クルディスタン地方の小さな村。ここに、サテライトと呼ばれる戦争孤児の利発な少年がいた。機械類に詳しい彼は便利屋として大人たちに重宝にされていた。また、こどもたちを使って地雷除去のアルバイトを取り仕切るなど持ち前の才覚を発揮して抜け目なく立ち回っていた。そんなある日、サテライトは目の見えない赤ちゃんを連れた難民の少女アグリンに出会い一目惚れする。少女には両腕のない兄ヘンゴウがいた。やがてサテライトはヘンゴウに不思議な予知能力があることを知るのだった…。

地雷原に入り、無数の地雷を掘り返して生活の糧を得るこどもたち。地雷にやられ手足のない子もたくさんいる。それでもみんな明るくたくましく、せいいっぱい生きている。クルディスタンの青い空よりもまぶしいこどもたちの笑顔。

ずる賢いところもあるけれど、利発で目端がきき、こどもたちに慕われているサテライトのリーダーシップぶりが頼もしい。
彼はアメリカ軍がフセイン政権から解放してくれることを切望している。
フセインが倒れた後も、つねに宗教・人種問題や内紛の絶えないイラクがよくなるかどうかわからない。パラボラアンテナが拾った女性の水着姿などの映像を“穢れた番組”といって眼を背ける大人たちのなかには変化を嫌う者も多いだろうが、きっとサテライトのようなこどもたちが次の時代を牽引していくのだろうと明るい希望を抱かせる存在である。

だが、戦争でむしばまれた現実は我々の想像をはるかに超え、言葉に尽くしがたい重さで迫る。
ヘンゴウとアグリンのきょうだいは、サテライトがどんなに親切にしても、決して心を開こうとしない。それに、アグリンはいつも連れている赤ん坊をあまり可愛がっていないようにみえる。
その理由が明らかになったとき、頭が真っ白になるほどの衝撃に襲われた。
赤ん坊はアグリンの弟ではなく、村を襲ったイラク兵士に乱暴され彼女の産んだ子だったのである。
こんなことって…。
「あたしの子じゃない。家族を殺したフセインの兵士の子だ」と忌み嫌い、何度も赤ん坊を捨て、自ら命を絶とうとするアグリンを誰が責められるだろう。とても、幼い少女が背負えるような枷ではない。ここまでだって本当によくやってきたと思う。
赤ん坊に罪はないけれど、それにしたってアグリンが何をしたって言うのだろう。家族は殺され、身も心も傷つけられ、両腕を失っている兄と難民になるしかなかった。その小さな胸で、どれだけ世の中を呪い、絶望してきたのだろうか。

哀しい予言ばかりするヘンゴウ。一度も笑うことのなかったアグリン。
こどもが明るくのびのびと生きることのできない哀しい現実が、重く心にのしかかる。

帰り道、何かの啓示であるかのように電光掲示板に流れた“イラク本格政府発足”のニュース。今もテロが頻繁に起き、情勢は不安定なようだけれども、クルド人のこどもたちは露天の学校に通えているのだろうか。
サテライトのようなこどもたちが、今後のイラクの光になることを願ってやまない。

評価:★★★★★

バフマン・ゴバディ DVD-BOX


バフマン・ゴバディ シャハブ・エブラヒミ ソラン・エブラヒム 紀伊國屋書店

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 21:17 | Comment(6) | TrackBack(6) | LOG #か-こ

2006年05月14日

けっこう仮面 MASK OF KEKKOU(2003/日本/監督:長嶺高文)


アナウンサー養成の超名門校マングリフォンアナウンス学院。教育方針は極めて厳しく、落ちこぼれには容赦のないお仕置きが待っていた。そんな学院に入学してきた美少女・高橋真弓(稲原樹莉)。帰国子女だった彼女は漢字が大の苦手で、授業についていけず講師たちの仕打ちに耐えながら、それでもアナウンサーを夢見て健気にがんばっていた。そんなある日、真弓は鬼講師に地下室へ呼び出されると、下着姿で木馬に縛られ厳しいお仕置きに晒される。と、その時突然、真紅の仮面で素顔を隠した全裸の女が参上、自ら“けっこう仮面”と名乗り講師たちを次々と退治していくのだった。

健全な女子は知らない人が多いと思うが、原作は30年ほど前に少年ジャンプに連載され、当時の少年の股間を熱くした永井豪の傑作ナンセンスエッチマンガ。姉妹作品に「まぼろしパンティ」というのもある(個人的にはこちらの方が思い入れがあるのだが…)。
けっこう仮面は顔を隠してからだ隠さず。顔面こそ真紅のマスクで覆われているが、それより下はすっぽんぽんのダイナマイトボディで、武器はヌンチャク。必殺技は“おっぴろげジャ〜ンプ”。両足大開きの股間アタックに立ち向かえる男はいない。もちろんパンツなんか履いてないからね。
けっこうのお姉さまは、顔を隠しているからこそ、正義のためには恥も外聞もなく大股開きで戦えるのである。
永井先生作詞のテーマ曲がまたケッサクなので紹介しよう。メロディはもちろん「月光仮面」で(ややアレンジされているが)。

♪顔はだれだかしらないけれど カラダはみんなしっている
 けっこう仮面のねえさんは 正義の味方だ いい人よ〜
 はやてのようにあらわれて タップリ見せて去っていく
 けっこう仮面は誰でしょう


原作はスパルタ学園という中学校だったのだが、本作ではなぜかアナウンサー養成学校に設定が変わっている。女子アナブームなんてはるか昔の話だと思うのだが、何を狙ったんだろう?
たしか15年くらい前の青木クリス主演「けっこう仮面」は、比較的原作の設定に忠実だった気がするのだが(これも観てたりして…)、まぁくだらなさは大同小異なので、女子校だろうがアナウンサー学校だろうがどっちでもイイ。
テンポはダラダラ、女子生徒へのエッチなお仕置きも中途半端で、ある意味観るに耐えない作品ではあるが、けっこうのお姉さまのおみ足と肢体はまことにけっこうでございます。

評価:★★☆☆☆

けっこう仮面

カテゴリ: ジャンル別 > 日本映画 > アクション > 総合

長嶺高文 斎藤志乃 久保恵子 鈴木ヒロミツ

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

けっこう仮面

カテゴリ: ジャンル別 > アダルト

青木クリス 後藤宙美 ポール牧 関根勤 プリティ長嶋 モロ師岡 早川光 永井豪 ビデオメーカー

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

けっこう仮面 (第1巻)

カテゴリ: ジャンル別 > コミック・アニメ・BL > クリエイター別 > な行 > 永井豪 > けっこう仮面

永井 豪 角川書店

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 22:11 | Comment(2) | TrackBack(1) | LOG #か-こ

2006年05月06日

隠された記憶(2005/フランス=オーストリア=独=伊/監督:ミヒャエル・ハネケ)

ユーロスペース@渋谷】

kioku.jpgテレビ局の人気キャスター、ジョルジュ(ダニエル・オートゥイユ)は美しい妻アン(ジュリエット・ビノシュ)と一人息子のピエロ(レスター・マクドンスキ)と幸せな日々を送っていた。そんなある日、彼のもとに送り主不明のビデオテープが届く。そこにはジョルジュの家を正面から隠し撮りした映像が映っていた。テープは何度も送られてきて、内容も回を追うごとにプライベートな領域へとエスカレートしていく。次第に恐怖が高まり、家族の間に亀裂が生じ始める。そんな中、やがてジョルジュの中で、少年時代のある記憶が呼び起こされていく…。

いやー、凄い。極上のスリラー。
ビデオを送りつけていた犯人は誰なのか? 私は途中から「○○○かなぁ…?」とぼんやり思っていたのだが、不覚にもラストシーンは気づかなかった…。だけど、いろんな方のレビューを読むと、だいたい私の考えていた犯人像がオーソドックスな推理みたい。とある人物が共犯(かも?)というのは意外だったけれども。

それにしても、全編に漂う緊張感はただごとではない。
ジョルジュの隠された少年時代の記憶が、薄皮を剥くように少しずつ明らかになっていく過程が、研ぎ澄まされたナイフのような鋭さで迫る。ジョルジュ同様、不快感と不安感がないまぜになった感情に支配され、観終わればグッタリである。

ラストカット以前に、客席から悲鳴があがるほど衝撃のシーンがあるのだが、個人的にそれ以上に怖かったのが、ジョルジュの会社のエレベーターのシーン。いかにも何か起こりそうで、結局何も起こらないのだが、なんとも言えぬ緊迫感のみなぎる長廻しで、心臓がバクバクしてしまった。
ジョルジュの姿はカメラから外れており、エレベーターの鏡に映る表情しかわからないのだが、彼を見据える人物の刺すような視線に、次第に落ち着きをなくすジョルジュ。ハネケは「ベニーズビデオ」しか観ていない浅学の私だが、かの作品で映像と実際の視点を巧みに操っていた監督らしい、計算しつくされた構図に唸ってしまった。

結局、ビデオ映像は何だったんだろう?
ジョルジュの自宅の正面映像はいいとして、マジッドのアパート内のシーンは、撮影できる者が限られているので、そこをポイントに考えればラストカットは納得である。ただ、いくらなんでもビデオが廻っていれば気づかないものだろうか? という疑問もわく。
実際に撮影されたビデオ映像なのか、あるいは誰かの妄想か夢なのか、判断に苦しむ映像もあり、そう考えると全ての映像が現実の風景なのかということすら怪しくなってくる。
解釈すればするほど、謎めく映画である。

個人的には犯人探しよりも、ジョルジュの内面に非常に興味がわいた。穏やかで理想的な父親と思いきや、妻や母親にすら心をさらけ出すことができず、ヒステリックに他者を罵るシーンも多い。そんなジョルジュを見て、マジッドの息子は「やましさというものが分かった」と。
ジョルジュはずっとやましさを抱えて生きてきたのだろうか? マジッドのことは忘れたようなふりをしていたけれど、ニュースキャスターとしてリベラルな視野が広がった現在、マジッドへの仕打ちは、ずっと心のどこかに刺さり、ちくちくと痛むトゲのような記憶だったに違いない。「たいしたことじゃない、俺は悪くない」…現実にその結果が返ってきて、家族の絆もゆらごうとしている。
私自身、過去にやましさがまったくないとは言い切れない。それが現在の自分に甚大な影響をもたらしてくることがあったら、ベストな対処法なんてあるのだろうか。
本作の本当の恐ろしさは、まさにここにある。

関係ないけど、ジョルジュの自宅のインテリアがステキだ。あんなふうに書物に囲まれた空間で暮らしたい。掃除が大変そうだけど。

評価:★★★★☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:58 | Comment(11) | TrackBack(22) | LOG #か-こ

2006年05月03日

君とボクの虹色の世界(2005/アメリカ/監督:ミランダ・ジュライ)

アミューズCQN@渋谷】

kimiboku.jpgアーティストになることを夢みる高齢者タクシーの運転手、クリスティーン(ミランダ・ジュライ)。ある日彼女は、ショッピングモールの靴売り場で働くリチャード(ジョン・ホークス)に恋をする。最近離婚したばかりのリチャードも、クリスティーンに惹かれるが、2人とも一歩を踏み出せずにいた。そんなリチャードには2人の息子、14歳の兄ピーターと6歳の弟ロビーがいる。ロビーはいまチャットに夢中。隣家には嫁入り道具をコレクションする小学生シルヴィー。一方、リチャードの同僚アンドリューはロリコン気味で、ピーターの同級生にちょっかいを出していた…。

本作で監督・脚本・主演とこなしているミランダ・ジュライ。ポスト ソフィア・コッポラなんて言われているようだけれど、このシニカルな視点と登場人物のネジのゆるみっぷりは、驚いたことにトッド・ソロンズの作風に近い。女性というだけでソフィア・コッポラなんぞと同列に語るべきではない。ソロンズ監督のような鬼才はオンリーワンだと思っていただけに、嬉しい収穫である。

ちょっと不思議なタイトルどおり、映像はポップでスイート、かつクリアで鮮やか。カラフルなビタミンカラーで彩られた画面を観ているだけで、なんだかウキウキしてくる。
しかし、不思議ちゃん系の甘ったるいガーリームービーと侮るなかれ、人間描写は相当シニカルで、ナイフのように鋭い。
両親が離婚してもたいして動揺もせず、エロチャットにいそしむ子どもたちがいい。大人と接しているときの無表情ぶり、エロチャットでのえげつないメッセージのやりとりなど、子どものピュアな不気味さを、エグすぎない可愛らしさで留めている監督はタダモノではないな。

監督自身の演じるクリスティーン嬢の強引なアタックぶりにも、呆れるやらほほえましいやら。美人ではないけれど、いかにもアーティストらしい予測不能な言動で、ばつぐんにキュートなキャラクター。

各エピソードのつながりがちょっと散漫ではあるけれど、まぁ第一作だしね。将来性を買います。

評価:★★★★☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:58 | Comment(3) | TrackBack(13) | LOG #か-こ

2006年03月25日

ククーシュカ ラップランドの妖精(2002/ロシア/監督:アレクサンドル・ロゴシュキン)

シネアミューズ@渋谷】

kukushka.jpg1944年、第二次世界大戦末期のラップランド地方。フィンランド軍はかつて奪われた土地を奪還するためドイツ軍と同盟を組みロシア軍と戦っていた。フィンランド軍の狙撃兵ヴェイッコ(ヴィッレ・ハーパサロ)は反戦的態度が問題とされ、ロシア軍の標的となりやすいドイツの軍服を着せられ岩に鎖で繋がれ置き去りにされてしまう。一方、反体制という濡れ衣で秘密警察に逮捕されたロシア軍大尉イワン(ヴィクトル・ブィチコフ)は、護送中に味方の誤爆に遭い、重傷を負ってしまう。近くを通りかかったサーミ人のアンニ(アンニ=クリスティーナ・ユーソ)は、イワンを自分の小屋へ連れ帰り手当てする。やがて、その小屋に、岩から自力で脱出したヴェイッコもやって来た。こうして、3人の奇妙な共同生活が始まるが、それぞれロシア語、フィンランド語、サーミ語しか話せない彼らの会話はまるで噛みあわない。おまけに、戦争未亡人のアンニは4年もごぶさたで、突然現われた2人の男にすっかり欲情してしまい…。

スクリーンから濃密な空気が漂ってくるラップランドの自然からは、神秘さと過酷さが感じられ、じわじわと引き込まれた。

言葉の壁を超えて絆が生まれる3人…というようなありきたりの展開になるのかと思いきや、3人とも最後まで好き勝手に振る舞い、ちぐはぐな会話を交わし、意思の疎通がとれているのかいないのか、不思議な関係が続く。
まったく言葉の通じない3人の会話は、いわゆる無理問答を聞いているようでとてもおかしい。すれ違いや自己解釈による誤解で大変なことになりそうな状況であるが、開放的な性格であっけらかんとしたアンニの存在が緩衝材となり、三角関係もコミカルでほほえましい。

言葉は通じなくても、ラップランドの大地と自然とともにたくましく生きている女性に出会って、身も心も疲弊した2人の元兵士が癒され、活力を得ていくのが、静かにゆっくりと描かれる。
夫を戦争に取られ4年もごぶさたのアンニが、久しぶりの男性に対する欲情を隠すことなく、本能のまま2人と寝て燃えちゃうところなんてとてもチャーミング。素朴な小屋から響き渡る交歓の声は、いやらしさよりも、原始的な生の営みというような力強さがある。

誤解からイワンに撃たれ、生死の境をさまようヴェイッコの魂を呼び戻すため、アンニの行う不思議な呪術の儀式はとても興味深い。
サーミ人とはラップランドの先住民のこと。詳しい文化的背景などはまったくわからないのだが、「おばあさんも(儀式を)やっていた」と言っていたし、アンニはそういう能力を持つ一族なのかもしれない。呪術師といえど、人の魂を呼び戻すなんて相当ポテンシャルが高い。だとすれば、“ククーシュカ”(ロシア語で鳥のカッコーのこと。“狙撃兵”という意味がある)のもう一つの意味とは、その能力と関係があるとも考えられる。超人的な能力ってのは、何かとひきかえに得られるものであり、アンニはやや頭が弱いという設定なのかも。

まぁ、私の穿った推測はさておき、とても素晴らしい映画であった。北欧に興味のある人は是非。

評価:★★★★★

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:48 | Comment(4) | TrackBack(12) | LOG #か-こ

2006年03月05日

彼のオートバイ、彼女の島(1986/日本/監督:大林宣彦)


橋本巧(竹内力)は、音楽大学に通うかたわら、プレスライダーのバイトをしている。ある日、先輩から妹・冬美(渡辺典子)との責任を取れと迫られ、心の整理をつけるため、信州にバイクで一人旅に出る。そんな彼の前に、不思議な透明感を漂わせるミーヨこと白石美代子(原田喜和子)が現れる。

バイク乗りのバイブルと言われる片岡義男の原作。映画も絶大な人気があるらしい。
私はバイクとも片岡義男とも無縁なのだが、原作の“彼女の島”とは、私にとっては“彼の島”であり、常々映画を観てみたいと思っていた。“彼女の島”こと、白石島(ミーヨの苗字はここから来てるんだね)は、穏やかな瀬戸内海に浮かぶ、風光明媚な小さな島である。
残念ながら、映画のロケで使われているのは別の島(尾道の向島)だったんだけれど。

若き日の竹内力、そして原田喜和子の初々しく弾けるような存在感がまぶしい。
原田喜和子のみずみずしいオールヌードには眼を奪われたが、なぜか竹内力もやたら脱いでいる。
リーゼントではない竹内力なんて初めて見た気がするが、ナイーブな青年像が意外とはまってるね。

雰囲気はなんていうか、とても80年代ぽい。なんとなくわたせせいぞうとか思い出してみたり。
軽やかでほろ苦い青春映画に仕上がっているが、セリフのこっ恥ずかしさは悶絶もの。

「これからどうするの?」 「風を探して、昼寝!」

うひょー、たまらん。風を探しますか。そうですか。

とにかく、この映画の真の主役はなんといってもバイクであろう。
私はバイク乗りではないけれど、“風と一体化する”感覚が伝わってきて、とても心地よい。
ツーリングを通して出会う男女、ヘルメットからなびく長い髪。多くのバイク乗りを生み出したという本作は、今観てもなかなか魅力的な秀作であった。

評価:★★★☆☆

“彼女の島”(白石島)について
彼のオートバイ、彼女の島
彼のオートバイ、彼女の島彼のオートバイ、彼女の島
原田貴和子 竹内力 渡辺典子

PI,ASM/角川書店 2001-10-25
売り上げランキング : 6,404
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 21:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | LOG #か-こ

2006年02月19日

転がれ!たま子(2005/日本/監督:新藤風)

シネアミューズ@渋谷】

tamako.jpg美容室を経営する母(岸本加世子)と高校三年生になる弟(松澤傑)と暮らしている24歳の桜井たま子(山田麻衣子)。用心深いたま子はどこへ行くにも父お手製の鉄かぶとを欠かさない。そんなたま子のシアワセは、日進月歩堂のジイチャン(ミッキー・カーチス)が作る甘食(あましょく)。ところがある日、そのジイチャンが入院、日進月歩堂は突然の休業に。おまけに母はたま子の幼なじみ(与座嘉秋)と恋に落ち、弟や近所に住む父(竹中直人)も自分の夢に没頭してしまい、たま子は完全に一人取り残されてしまう。もはや誰もアテにはならず、追い詰められたたま子は甘食を求めて、ついに外の世界へと踏み出す一大決心をするのだが…。

イメージ的に、和製アメリ(2001/フランス/監督:ジャン=ピエール・ジュネ)だったらどうしようと思っていたのだが、しっかり主人公の成長物語になっていたのは好感が持てた。

確信犯的にこじんまりとまとまったストーリーは悪くないけれど、コメディとしては致命的なことに、全体的にテンポがよくない。そもそもゆる系コメディを目指したのかもしれないが、そういうことではなく、間が悪いのである。冗長な長廻しを多用しすぎで、だらだらした印象なんだよね。
風情のある下町の風景や、つかみどころのないキャラクターなど、素材はいい感じなので、いっそ別の監督にやってもらいたかった。

後からオフィシャルサイトの解説を読んで仰天したのだが、たま子24歳?!
…この設定はどうなんでしょ。
この歳でこのキャラは相当きびしい。不思議ちゃんではなく、ただのイタイ女である。
別に10代後半くらいの設定でも良かった気がするなぁ。24歳では、決して“女の子”とは呼べないと思うのだが…。

ところで、時々たま子の前に現われてアドバイスらしきことを言う少年は何だったんでしょう?
無事に外の世界になじんだたま子の、未来の子どもかなぁと思ったんだけど、結局よくわからないまま。少しくらいヒントくれ。

評価:★★★☆☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(9) | LOG #か-こ

2006年02月15日

クラッシュ(2004/アメリカ/監督:ポール・ハギス)


crash.jpgクリスマスを間近に控えたロサンジェルス。黒人刑事グラハム(ドン・チードル)とその同僚でヒスパニックの恋人リア(ジェニファー・エスポジート)。銃砲店で不当な差別に憤慨するペルシャ人の雑貨店経営者ファハド(ショーン・トーブ)。白人に敵意を抱く黒人青年アンソニー(クリス・“ルダクリス”・ブリッジス)とピーター(ラレンズ・テイト)。地方検事のリック(ブレンダン・フレイザー)とその妻ジーン(サンドラ・ブロック)。差別主義者の白人警官ライアン(マット・ディロン)と同僚のハンセン(ライアン・フィリップ)。裕福な黒人夫婦キャメロン(テレンス・ハワード)とクリスティン(タンディ・ニュートン)。やがて彼らの人生は思いがけない形で交錯、大きく狂い始める…。

階層も人種も思想も異なるさまざまな登場人物が、ときにぶつかり合ったりすれ違ったりしながら、それぞれの人生が交錯していく群像劇。
同種の作品ではマグノリア(1999/アメリカ/監督:ポール・トーマス・アンダーソン)が有名だが、私のオールタイムベストに入るハピネス(1998/アメリカ/監督:トッド・ソロンズ)もこのスタイル。
私は強烈な毒のある映画が好みなので、心情的にはハピネスに軍配があがってしまうのだが、本作もまた素晴らしい脚本。
人種差別というわかりやすくてインパクトの強い要素がベースにあるため、ストレートに訴えかけてくるものがある。
といっても、単純に差別イクナイ! というシナリオにはなっていないのが本作の素晴らしいところ。
過激な差別主義者のバックグランド、差別される側の階層差から生じる意識の差、一見リベラルな青年の心の奥にひそむ偏見など、人間像の側面までしっかりと描かれており、鑑賞後はさまざまな思いが交錯する。
完全な善人はいないし、完璧な悪人もいない。清濁あわせのんで生きていく人間像がリアルで、ときに歯痒く哀しく、そしてあたたかい。

印象に残ったのは、ペルシャ人雑貨店経営者と鍵の修理屋一家のシークエンス。撃たれそうになった父親をかばった子どもを天使だと思い込んだオヤジ、救われたような穏やかなとってもイイ顔してます。

評価:★★★★☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(15) | TrackBack(87) | LOG #か-こ

2006年01月29日

コアラ課長(2005/日本/監督:河崎実)


“誰も知らない「コアラ課長」元ネタ暴露オールナイト”にて。
本作自体、観る予定はまるでなかったんだけど、元ネタとして江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間(監督・石井輝男/1969)が挙がっていたので俄然興味がわいた。
かの名作がリスペクトされているのであれば、多少は期待できるはずだ。
上映前に、河崎実×江口寿史(漫画家)×久住昌之(漫画家)のトークショーあり。
トークはそれなりに盛り上がっていたが、河崎監督はネタバレしまくりでアホちゃうかと思った。自作はまだしも、併映作品までネタバレするのはどうなのよ。

koala.jpgコアラの風貌で女性社員にも人気の敏腕課長、田村。漬け物会社に勤める彼は、韓国のキムチメーカー、ペ農産との業務提携に尽力していた。その矢先、恋人の洋子が何者かによって惨殺されてしまう。事件を担当した小野刑事(野村宏伸)は、かつて田村の妻、由香梨(エリローズ)が謎の失踪を遂げている事実を知り、田村を事件の容疑者として取り調べを行なうのだが…。

…最悪です。金返せ。
このやるせなさ、「恐怖奇形人間」を観に行ったと思って自分を慰めるしかないが、これも劇場で観ること3度目だしなぁ。

ストーリーは支離滅裂だし(期待してなかったけど)、とにかく“狙って創った”バカ映画ほど寒いものはない。
最初から最後まで、製作側の“バカ映画を創っている”という自己満足を見せられただけ。
“ほらほら、こんな展開、あんな演出、くだらないでしょー?”っていちいち観客の反応を予想して創ってる。姑息な思惑がミエミエで、果てしなくうんざりだ。
こういうのは“真面目に作ったバカ映画”とは言いません。

本編がさっぱり面白くないんだから、せめて着ぐるみは可愛くしてほしいよ。
コアラ課長もうさぎ社長もかえる店長も造形が雑。
というか、コアラってよく見りゃそれほど可愛くないからねぇ。目なんてコワイよ。
まぁ、そういうところも考慮してコアラとしたのかもしれないけど。

もちろん、稀代のカルト映画「恐怖奇形人間」とは比べるべくもない。格が違いますよ。
3本目の谷啓主演「空想天国」(1968)は、ほとんど気を失っていたのでパス。

評価:★☆☆☆☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 11:10 | Comment(3) | TrackBack(8) | LOG #か-こ

2006年01月25日

グレート・ビギン(2004/フランス/監督:クロード・ニュリザニー&マリー・プレンヌー)


greatbegin.jpg“ヒトはどこから来たのか”というシンプルな疑問をスタートラインに、地球誕生から何十億年という時間を経て今日に至る壮大な進化の道のりを、自然界で繰り広げられる驚異の映像とともに綴ってゆく。

脅威の映像、ねぇ。
CSでナショナルジオグラフィックやディスカバリーチャンネル、アニマルプラネットなど良質のドキュメンタリーを見慣れた目には、どこかで見たような映像ばかりで、正直物足りない。
何年もかけて撮影された映像もあるそうで、製作側の“莫大な労力”は認めるが、“全く新しい映像体験”は吹きすぎじゃあるまいか。
ネタとしても安易だし、目新しさはまるでない。

原始地球から生命が誕生しヒトへの進化をなぞる過程で、さまざまな生物の営みの映像を期待していたが、魚類〜鳥類どまりで、哺乳類の映像がまったく登場しないのはどういう意図なんだろう…。
出てくるのは両棲類・爬虫類ばかり。ちょっと偏りすぎである。
植物や虫や哺乳類も見たいよ。

わざわざ映画として観る必要性は感じられず、ちょっと期待はずれだね。

評価:★★☆☆☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(4) | TrackBack(4) | LOG #か-こ

2006年01月20日

かえるのうた(2005/日本/監督:いまおかしんじ)


kerunouta.jpg

裁縫工場に勤める朱美(向夏)は同居する良男(吉岡睦雄)の女癖の悪さに喧嘩が絶えない。良男をワインボトルで殴り漫画喫茶へ逃げ込んだ朱美は深夜のマンガ喫茶で同じ本の取り合いになったキョウコ(平沢里菜子)と何となく意気投合し、彼女の部屋に転がり込み、奇妙な共同生活が始まった。キョウコは漫画家志望で体を売って生活していた。やがてキョウコに促され、誘われるまま援助交際の相手寺田と会うホテルへ行った。だが朱美は寺田の求めに応じず、ホテルを出るとキョウコは怒って朱美に掴みかかった。その後、朱美はキョウコのアパートへ行った。キョウコは出かけ、ホテルでSMマニアの兄弟の相手をした。彼女が戻ると、カエルの着ぐるみを着た朱美が眠っていた…。

女の子の友情物語として、下妻物語(2004/日本/監督:中島哲也)を比較対象に挙げられることが多いようだが、私はリンダリンダリンダ(2005/日本/監督:山下敦弘)に近いテイストを感じた。
距離感があるようなないような、微妙な友情。他人にガツガツ近づいていけない人間同士だと、こんな感じになるんだよなぁ。なんだかちょっと身につまされる。

主役のふたりも、登場人物も、先のことは考えず明るくダラダラと生きているように見えるけど、都会で生きる人びとの寂寞感がしんみり感じられた。
深夜のマンガ喫茶に集う面々なんかとくにさびしい。すぐ近くで女の子がケンカしてても、かえるの着ぐるみで入ってきた客にも無関心でマンガ読み続けていたり。
他者と関わることなく、自分の世界に没頭できる場所(マンガ喫茶)で出会い、衝突したり不器用な心のふれあいを重ねながら、少しずつ友情を深めていくふたりがほほえましくてくすぐったい。

援助交際で生計を立てているキョウコの影響で、朱美もたいして抵抗感もないまま、男たちに身体を売る。
SMマニアに縛られてドライヤーの熱風責め(何だこのプレイw)されるキョウコ、寝なくていいから殴らせてくれという客に当たり、次のシーンでは顔が腫れ上がっている朱美。
そしてキョウコは自堕落な生活が原因で身体を壊し、故郷に帰ることになる。
孤独な人びとの闇をユーモラスな演出で描き出しており、ゴミのような存在ながらもしたたかに生きる女の子たちの姿がせつなくも力強い。

濡れ場の多いピンク映画なのに清清しさも感じられ、大胆不敵なラストシーンにほろり。

朱美はかえるマニアという設定で、部屋にはかえるグッズが溢れているのだが、私もなかなかのかえる館に住んでいたりする…。朱美の部屋が映ると、「あっ、あれウチにもあるなぁ」って楽しみ方もできました。

上映後、いまおか監督×中原昌也×柳下毅一郎のトークショー。
このときひっそり場内に入ってきた女の子、主演の平沢里菜子だぁと思っていたら、向夏も来ていたようである。トーク後にふたりとも壇上に迎えられ、挨拶があった。
見た目から正反対のふたりで、バランスの良い主演コンビだね。

評価:★★★☆☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(4) | TrackBack(5) | LOG #か-こ

2006年01月08日

銀色の髪のアギト(2005/日本/監督:杉山慶一)

シネマミラノ@新宿】

agito.jpg遺伝子操作の失敗によって“森”が意思をもち、人を襲うようになってしまった300年後の地球。そんな環境にもめげずに、たくましくも愉快に暮らす少年アギト(声:勝地涼)はある日、300年の眠りから覚め、文明社会を復活させる鍵を握る少女トゥーラ(声:宮崎あおい)と出会う。荒れ果てた地球で運命的に出逢ったふたりは、互いに惹かれあいながらも、育った環境の違いにとまどい、葛藤しながら成長していく…。

うーーむむむむ、これはちょっと…。
ストーリーはもうあれですね、宮崎駿にインスパイアされすぎです。
ナウシカ、ラピュタ、もののけ姫。これらを2回ずつ観る方がよっぽど感動できます。1回でもいいけど。
ちょっとスチームボーイ(2004/日本/監督:大友克洋)も入ってるかな。

アギトが自然の力を借りてスーパーマンになるくだりは、和田慎二の超少女明日香かと思いました。

オリジナリティってなんですか。

キャラクターも魅力なし。アギトは毒にも薬にもならない優等生だし、トゥーラは可憐で清楚に見せかけた主体性のないワガママ娘だし、ミンカに至っては痛すぎる…。

映像と音楽が良けりゃイイってもんでもないような。
もう、何も書くことはありません。
トホホです。

評価:★★☆☆☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(4) | TrackBack(10) | LOG #か-こ

2006年01月08日

キング・コング(2005/ニュージーランド=米/監督:ピーター・ジャクソン)


遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

年末年始は本来の趣味であるお笑いモードになるため、映画鑑賞はゼロ。
ブログのエントリもだいぶ間が開いてしまいましたよ。

…というわけで、今年の初映画。
私はあまりこの手の大作映画はリアルタイムで観ないのだが、予告編があまりに素晴らしく、ジュラシック・パーク大好きな私は、大猿vsT-REXという構図にやられてしまった。
なんとか昨年中に観ておきたかったのだが、2年越しとなってしまった1本。

kingkong.jpg1930年代初頭のニューヨーク。野心家で大胆不敵な映画監督カール・デナム(ジャック・ブラック)は、かつてない冒険映画を撮ろうと、誠実な脚本家ジャック・ドリスコル(エイドリアン・ブロディ)と美しい女優アン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)を加えた撮影クルーを率い危険な航海に乗り出す。そして、ついに幻の孤島“髑髏島(スカル・アイランド)”へと辿り着いた一行。カールはさっそく撮影を開始するが、やがてアンが原住民にさらわれてしまう。救出に向かったクルーたちだったが、彼らはそこで想像を絶する世界を目の当たりにするのだった…。

ハリウッドの大作には必ず冠せられる“愛と感動の超大作”というおなじみのフレーズが、これほどしっくり感じられたことはない。
3時間、よくも飽きさせずに引きずり込んでくれたと思う。緩急のある展開、息をのむCG、獣性と哀愁のアンバランスがせつないコングのキャラクター、どれも素晴らしかった。
30年代ニューヨークのレトロな雰囲気も良いが、圧巻はやはり髑髏島。
大迫力の恐竜たちの暴走シーンや、エイリアンを彷彿とさせる気味の悪い虫の大群に息をのみ、原住民のおどろおどろしさに背筋が寒くなる。
それにしても、オリジナルの製作された時代はいざ知らず、今どき思い切った“土人”像を描いたものである。
槍を手に、白人の首を狩り、ドロドロと太鼓を鳴らして生贄を捧げる。やはり“未開の地の土人”はこうあって欲しいものだ。

髑髏島では王者として君臨していたコングが、ニューヨークで見世物にされる姿には胸を締め付けられ、鎖を千切って大都会で暴れる姿はどこかせつなく、いたたまれない。
CGで造られたありえない大猿に、ほとんどの観客が感情移入している。その迫力と臨場感、細やかな感情表現に魅了されてしまう。
私は年に1,2回、上野動物園でゴリラを見るのが好きなのだが、コングの造形はリアルだね。毛なんか硬そうで、あの腕での寝心地はどうなんだろうと思ったりして。

一点だけ難を言えば、髑髏島からコングを連れ帰るシーンがなかったこと。
一体どうやって船で運んだのかも興味あるが、その間ヒロインのアンは何を思ったのか、心理描写がほしかったところ。
髑髏島でコングが倒れて、次のシーンではもうニューヨークだったのはやや唐突な気がした。
もしかして、ここは未公開シーンがあるのかもね。

総合的にはもちろん大満足。
本来はコングとヒロインの純愛映画として観るのが正しいのだろうが、個人的にはわりと二の次かも。
土人映画であり(?)、恐竜映画であり、動物パニック映画であるところの本作、2005年ベスト10を変えたいくらいの素晴らしいエンタテイメント映画でした。

評価:★★★★★

キング・コング プレミアム・エディション / ¥ 3,416キング・コング プレミアム・エディション

カテゴリ: ジャンル別 > 外国映画 > ドラマ > ヒューマン

ナオミ・ワッツ ピーター・ジャクソン ジャック・ブラック エイドリアン・ブロディ トーマス・クレッチマン フラン・ウォルシュ ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

キング・コング 通常版 / ¥ 2,284キング・コング 通常版

カテゴリ: ジャンル別 > 外国映画 > ドラマ > ヒューマン

ナオミ・ワッツ ピーター・ジャクソン ジャック・ブラック エイドリアン・ブロディ トーマス・クレッチマン フラン・ウォルシュ ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:58 | Comment(17) | TrackBack(82) | LOG #か-こ

2005年12月30日

50回目のファースト・キス(2004/アメリカ/監督:ピーター・シーガル)

新文芸坐@池袋】

シネマ・カーテンコール2005 「当館選出 2005年のハリウッド映画ベスト1&2」にて。

常夏のハワイで旅行者を次々とひっかけるプレイボーイ・ヘンリー(アダム・サンドラー)は、ある朝カフェで地元の女の子ルーシー(ドリュー・バリモア)に声をかける。その場で二人はすっかり打ち解けたのに、翌日ヘンリーがルーシーに近づくと、彼女はなぜか冷たい態度。混乱するヘンリーに、カフェの店員が教えてくれる。彼女は一年前にあった交通事故の後遺症で、一晩寝ると前日起きたことをすべて忘れてしまう記憶障害なのだ、と。しかし彼女を本気で好きになったヘンリーは、翌日忘れられるのを覚悟の上で、毎日彼女を口説きはじめるのだが…。

美しいハワイの風景をバックに、記憶障害をからめたロマンチックなラブコメ。
恋愛映画、とくにラブコメは通常なら避けて通るジャンルだが、文芸坐のベストなら間違いなかろうと安心して観たところ、いや素晴らしい映画でした。

一定時間以上の記憶が保てないという、メメント(2000/アメリカ/監督:クリストファー・ノーラン)のようなプロット。メメントの記憶時間は10分だったが、ルーシーは寝てしまうとその日の記憶が定着せずに朝にはリセットされ、1年前の交通事故の日を繰り返している。
ルーシーの記憶がつながるのが1日ってところがミソかなぁ。本編内に出てくる10秒トムはかなり極端だが、起きてる間に記憶がブツブツと途切れたら本人も自覚せざるを得ないだろうが、寝てる間にリセットされちゃうとなると、これまた周囲の対応が難しい。
ルーシーの父や弟も試行錯誤のうえに、何事もなかったかのように交通事故の日を再現するという毎日にたどり着いたんだろうね。
先のことは不安でも、この対応はベストではないがベターだろうし、全面的に支えているルーシーの家族や周囲の人々の深い愛が感じられる。

まったく先に進まないルーシーの日常に、ヘンリーというプレイボーイでも優しくて懐の広い男が変化をもたらす。動物や友人に対する態度を見ても、やっぱ優しい男だよね、ヘンリーは。
ヘンリーはすっかりルーシーにほれ込んでしまい、あの手この手で猛アタックをかけるのだ。毎日出会いと別れを繰り返すふたり。
最初のうちは、ルーシーの家族がやってる方法と何ら変わりないように思えるが、惚れた弱みのヘンリーの涙ぐましい努力によって、少しずつ進展していく様子がほほえましく、あったかい気持ちになる。
そのうちルーシーの記憶障害が治って、朝になってもヘンリーのことを覚えているときがくるんじゃないかと思ってしまう。そうなりそうでならないところが絶妙なバランスで、ラストは完全に予想を上回っている。よかったね、ルーシー。

ベタベタの感動作にももっていけるテーマを、ライトなノリのコメディに仕上げたところが、ハリウッド映画の懐の深いところである。
ハワイの明るい空気に、愛にあふれるさわやかな登場人物たち。
とても素敵な映画でしたよ。

評価:★★★★☆
50回目のファースト・キス コレクターズ・エディション
50回目のファースト・キス コレクターズ・エディションドリュー・バリモア ピーター・シーガル アダム・サンドラー

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2005-10-26
売り上げランキング : 317

おすすめ平均 star
starラブコメの傑作
starくじけそうなときに観よう。
starおすすめ!!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:58 | Comment(6) | TrackBack(35) | LOG #か-こ

2005年12月24日

奇妙なサーカス(2005/日本/監督:園子温)


strange.jpg小学生の美津子(桑名里瑛)は実の父親・剛三(大口広司)に犯され続けていた。しかし、それが忌むべき近親相姦と自覚することはなく、ただ心だけが壊れていく。妻・小百合(宮崎ますみ)は、そんな夫と娘の関係に激しい嫉妬を覚え、娘への虐待を繰り返す。
一方、倒錯したエロスの世界を描く車イスの人気女流作家・三ッ沢妙子。新たに担当となった編集者・田宮雄二(いしだ壱成)はそんな妙子に気に入られる。しかし雄二のほうは、謎に包まれた妙子の素性を探るよう編集長から命じられ、秘かに妙子の私生活を調べ始めるのだが…。

ネタバレありよ。

エロいのはいいとして、やたらと血なまぐさい描写が多く、これほどグロい映画だとは、正直、予想もしていなかった。
血が象徴的に使われているが、それも鮮血ではなく、鼻血のように赤黒い粘度をもつ液体が全編に滴り、壊れた精神の深淵を覗き見しているようで、不快感や不安感を増幅させる。

近親相姦というテーマを真っ向から扱い、グロテスクな親娘関係が生々しく鮮烈に描かれる。壊れていく母と娘。
妻子を代わるがわる犯す父親の変態度は想像を絶する。このおっさんには性のタブーは存在せず、歩く生殖器といった体で不快極まりない。

近親相姦や児童虐待が、人格形成においてどれほどの歪みをもたらすのか、説得力をもって描かれていたと思う。
感情がなく、ロボットのように無機質で、人格が遊離しているような印象を受ける雄二。
私はあまり詳しくないが、これらは典型的な離人症の症状と思われる。
なぜ美津子が乳房を切り落とし(すごい傷跡だけど、まさか自分でやったんじゃあるまいな)、雄二になったのかは説明不足でよくわからない。父親に犯され続け、母親のあさましい愛欲の姿を眼にし続けたことで、女性性を嫌悪し、自己のアニマを完全否定したのだろうか。
非常に複雑で狂気的な役だが、中性的でどこか危うげないしだ壱成はベストキャスティングだろう。

美津子の心象風景であるかのような、非現実的なサーカスの光景。
奇妙で耽美なサーカスのメンバーや観客の面々は、どのようなメタファーを含んでいるのだろう。
残念ながら、美津子の現実の世界の異常さのほうに翻弄されてしまい、そこまで考えながら観ることができなかった。
あまりもう一度観たいと思う作品ではないが、血の味と猟奇性と、哀しさが残る異色映画だった。

評価:★★★★☆
奇妙なサーカス Strange Circus
奇妙なサーカス Strange Circus宮崎ますみ 園子温 いしだ壱成

東宝 2006-02-24
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(4) | TrackBack(9) | LOG #か-こ

2005年12月12日

逆境ナイン(2005/日本/監督:羽住英一郎)


gk9.jpg島本和彦マンガといえば、「燃えよペン」「炎の転校生」くらいしか読んだことがないが、果たしてあの暑苦しい世界観がどこまで再現されているのか?

突然、校長より廃部を言い渡された全力学園野球部は万年勝ち知らず。何事にも全力を好む校長(藤岡弘、)は、生半可な活動しかできない野球部を不要と決めた。キャプテンの不屈闘志(玉山鉄二)は、廃部を阻止すべく甲子園行きを宣言した。この無謀発言に、野球部ナインと月田マネージャー(堀北真希)は大騒ぎ。不屈の屁理屈に丸め込まれ猛練習を開始した。春の甲子園優勝校“日の出商”との試合は間近に迫っていた。だが何と不戦勝!?

メゾン・ド・ヒミコ(2005/日本/監督:犬童一心)と2本立て上映。ヒミコのエントリで、「最近の邦画って“淡々としたゆるい空気感”ばっかり。もっと熱い映画撮ってくれる監督はいないのかなぁ」と書いたのは、実はこのエントリへの伏線だったのですよ。

おかゆのようなユルユル系淡白邦画全盛の昨今においては、胸焼けしそうなこってり牛丼的本作が光り輝いてみえる。こういう邦画が観たかった!
どちらかというと、男ごころをガッチリ掴む作品というあたりも牛丼的味わいだ。場内は男性客の野太い笑い声が響き渡ることたびたびで、映画館のこういう空気は珍しい気がする。

くだらなさもここまでたたみ掛けられたら笑うしかなく、意外やジーンとさせられたりもして、出演者・スタッフ一同マジメにバカ映画を作っている姿勢が垣間見え、こちらまでわけもなく熱くなった。
私は「少林サッカー」(レビュー未掲載)などチャウ・シンチーものはたいして面白いと思わなかったのだが、さすがにこちらは本家本元。総合的なレベルはともかく、バカっぷりはチャウ・シンチーをしのぐ。
この調子で「炎の転校生」あたりの映画化もお願いしたいです。

個人的に最もツボだったのは、次々と試合不可能になる全力ナインの代わりに、月田マネージャーがかき集めてきたという“クラスの暇な人たち”。存在ではなく、このフレーズ自体が連呼されるのがおかしかったんだよね。
妙に説得力のある格言(『自業自得』『それはそれ、これはこれ!』『恋に恋して恋気分!』)がモノリスとなって降ってきたり、エフェクトで表現されたりするのはちょっとくどいかなという気がしたが、映像表現はわりとどうでも良い。的確かつシンプルなフレーズがぴたりとはまる感じで、こういう言葉選びは外すと痛いが、説得力のある笑いにもっていけてるところはセンスを感じた。ま、これは原作が良いのだろうけど。

本気でバカバカしい本作だが、テーマ曲が岡村孝子の「夢をあきらめないで」というのはステキすぎだ。
一服の清涼剤のごとき名曲がばっちりハマってしまっているという時点で、ただのバカ映画ではないのである。

ところで、試合解説者の“炎尾燃”って、「燃えよペン」=島本先生だよね?

評価:★★★★☆
逆境ナイン 全力版逆境ナイン 全力版
玉山鉄二 島本和彦 羽住英一郎

バップ 2006-01-25
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

逆境ナイン かけがえのない通常版逆境ナイン かけがえのない通常版
玉山鉄二 島本和彦 羽住英一郎

バップ 2006-01-25
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

逆境ナイン 1 (1)逆境ナイン 1 (1)
島本 和彦

逆境ナイン 2 (2) 逆境ナイン 3 (3) 逆境ナイン 4 (4) 逆境ナイン 5 (5) 逆境ナイン 6 (6)

by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 01:00 | Comment(2) | TrackBack(28) | LOG #か-こ

2005年12月03日

怪談かさねが渕(1957/日本/監督:中川信夫)


金貸しの宗悦は、借金の取り立てに行った旗本の屋敷で惨殺されるが、怨霊となりその旗本を累が渕で溺死させる。20年後、双方の遺児である息子と娘は、親の代の遺恨を知らずに情を交すが…。

日本三大怪談といえば「東海道四谷怪談」「番町皿屋敷」「真景累ヶ渕」(「牡丹灯籠」が入る場合もあるが)。
前2作や牡丹灯籠に比べ、累ヶ渕は名前は知っているがストーリーは良くわからん人が多いのではないか。だが、お岩さん同様、今でもこれに手を出すと祟りがあることは有名で、歌舞伎や芝居などにかける前には東京祐天寺の“累塚”にお参りするのが通例となっている。

それにしても、累ヶ渕って2バージョンあるのだろうか。
私の知っている累ヶ渕は、助(すけ)→累(かさね)→菊(きく)と続く因縁話だったのだが、この映画はストーリーが相当異なっていた。
“累”がくりかえされる因縁を象徴し、“渕”はほとんど関係がないと思っていたが、この映画では“累ヶ渕”という沼そのものが係累の人々を呼び寄せる惨劇の場となっていた。
元来、幽霊は水と関係が深い。お岩さんは戸板にくくりつけられて川に流され、お菊さんは井戸に身を投げた。そういえば因縁話の助と累も川で殺されている。水には怨念を増幅させる力があると聞く。
そういう意味では、“累が渕”から祟りが始まり、最後は“累が渕”に係累者がみな呼び寄せられ、全ての祟りが成就するこちらのプロットは、より洗練された怨念話といえるかもしれない。

東海道四谷怪談(1959/日本/監督:中川信夫)でもお岩役を演じた、若杉嘉津子の美しさにはうっとり。顔の崩れっぷりもすさまじく、後の四谷怪談にも続く、女の怨念の怖ろしさ、哀しさを堪能できる。

評価:★★★☆☆

怪談かさねが渕
B00005G0EM丹波哲郎 北沢典子 若杉嘉津子

ハピネット・ピクチャーズ 2000-09-25
売り上げランキング :

おすすめ平均 star
starやっぱり白黒

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(2) | TrackBack(0) | LOG #か-こ

2005年11月21日

CUBE ZERO(2004/カナダ/監督:アーニー・バーバラッシュ)


cubezero.jpg殺人トラップが仕掛けられた立方体“CUBE”の管理と被験者の観察を行う職員のウィン(ザカリー・ベネット)は、ある日被験者の女性レインズ(ステファニー・ムーア)に興味を抱く。CUBE内部。レインズが目覚めると、そこには同じく囚われの身となっていた男女がいた。そのうちの1人が自分を襲った部隊の一員だったことから彼女は憎悪をあらわにするが、全員で脱出を試みる。一方、罪の意識に耐えかねたウィンは、レインズを救出するため自らもCUBEに侵入するが…。

さんざんな評価だった前作「CUBE2」に比べ、わりに前評判が良いようなので期待して観に行ったのだが…。
結論から言うと、劇場に足を運んだことを激しく後悔。DVDで充分。というか「CUBE」を10回観たほうが良い。
さんざん宣伝で謳われていた“CUBE起動の瞬間”って何だったのか。
プロトタイプ的ではあるが、とっくに稼動してるじゃん。その前段階が知りたいっての!
そういえばCUBEの目的は明らかになっていたような気がするが、そんな誰でも思いつくようなことを言われても、はぁそうですかとしか言いようがない。

賛否両論ありそうだが、個人的にこのプロトタイプCUBEのデザインは好きになれない。制御システムやトラップは超ハイテクなのに、CUBEの内部は、まるで鉄サビ浮いてるかのようなクラシカルなイメージ。どんな効果を狙ったのか知らないが、アンバランスすぎないか。

「CUBE」へと繋がるラストは、それまでのプロセス次第ではインパクトあるものになっていたはずだが、全体的に雑なつくりのためにせっかくのプロットも無理やりな印象しか持てなかった。
残念な内容で残念です。

評価:★★☆☆☆
CUBE ZEROCUBE ZERO
ザカリー・ベネット アーニー・バーバラッシュ ステファニー・ムーア

ハピネット・ピクチャーズ 2006-04-28
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 21:43 | Comment(0) | TrackBack(15) | LOG #か-こ

2005年11月20日

奇談(2005/日本/監督:小松隆志)


原作は諸星大二郎の“生命の木”。これが映画化されるとは、コアな監督がいるもんだとビックリである。

kidan.jpg里美(藤澤恵麻)は最近、しばしば奇妙な夢を見る。大学院生として民俗学を研究する彼女は、幼いころに神隠しに遭った。隠れキリシタンの里として知られる東北の村に預けられ、村の少年と遊んでいた時のことだ。少年はそのまま消え、里美はひとり助かった。しかし当時の記憶を失っている彼女は、村の“はなれ”がダムに沈むと聞き、真実を求めて村へと向かう。そして異端の考古学者、稗田礼二郎(阿部寛)と出会う。2人が目にする、もうひとつの聖書に秘められた事実とは?

いや、想像以上によかったです。
伝奇好き、諸星大二郎ファンとしては会心の一撃を喰らわされた感。
残念ながら、原作ファン以外に対してはいっさいかまわないつくりなので、決して一般ウケしないことは断言しよう。
原作つきの映像化って、ここまでばっさり大衆性を切り捨てると良いものになるんだなぁと感心しきりである。

勘違いする人も多そうだが、これは決してホラー映画ではない(一箇所、心臓が跳ね上がるシーンがあるが)。
裏の神話、闇の一族を描いた映画で、そういうジャンルにビビッとくる人には強力におすすめしたい。
常人の想像の及ばない、しっかりした骨格の設定に驚嘆するはずだ。

原作にはとくに厳密な時代設定はなかったように思うが、1972年という具体的な年代に素晴らしくこだわって作られている。細部まできっちりと時代の空気のようなものが感じられ、とっぷり浸かることができた。

藤澤恵麻はこれが初めての映画のようだが、初主演とは思えない自然な演技。
阿部寛のシリアスな演技も、原作の稗田礼二郎の雰囲気がよく出ている(ロン毛じゃなかったけど)。そもそも稗田は狂言回しのようなポジションなので、目立ちすぎず希薄すぎず、奥の深いストーリーによいバランスでなじんでいたと思う。

ちなみに、妖怪ハンターシリーズの映像化には、塚本晋也監督の「ヒルコ 妖怪ハンター」もある。こちらの稗田礼二郎は沢田研二。原作の稗田とは似ても似つかないコミカルなキャラなのだが(やはりロン毛でない)、こちらもよくできており、大好きな映画だ。

評価:★★★★☆

奇談 プレミアム・エディション / ¥ 3,948奇談 プレミアム・エディション


藤澤恵麻 諸星大二郎 小松隆志 阿部寛 ちすん 柳ユーレイ 神戸浩 菅原大吉 土屋嘉男 ジェネオン エンタテインメント

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 22:42 | Comment(7) | TrackBack(16) | LOG #か-こ

2005年11月18日

コープス・ブライド(2005/イギリス/監督:ティム・バートン)


cb.jpgナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(レビュー未掲載)以来の、ティム・バートンのストップモーション・パペットアニメ。

パペットアニメといえば、ヤン・シュヴァンクマイエルを始めチェコ産が好きな私は、ティム・バートンのパペットアニメ(ナイトメアはバートン監督ではない罠)は物足りないものがある。やっぱパペットやセットがキレイすぎるからか。
しかし、ナイトメア同様、キャラクターデザインは非常に魅力的。キャラクター主体で作っているところはハリウッド的というか、商業的だなぁと思う。ナイトメアのように、山ほどキャラクターグッズが出るんだろうね。

19世紀のヨーロッパ。小さな村で、ある結婚式が迫っていた。新郎はビクター(声:ジョニー・デップ)。成金夫婦の気弱な一人息子だ。新婦のビクトリア(エミリー・ワトソン)は、落ちぶれた貴族の娘。つまり、この結婚は政略結婚。でも若い2人は出会った途端、互いに好意を抱く。が、内気なビクターはリハーサルをこなすことができず、暗い森でひとり練習することに。そして誓いの言葉とともに、小枝(と思われたもの)に指輪をはめた。それが、コープスブライド(死体の花嫁)のエミリー(ヘレナ・ボナム=カーター)の細い指だとは知らずに!

ストーリーはシンプルでわかりやすく、緻密なアニメとダークでポップな世界観が美しい。
生者の世界はモノクロで湿っぽく、俗物的な住人ばかりで、心やさしいビクターやビクトリアのような人間が利用され虐げられている。対する死者の世界はカラッと明るく、住人は陽気に暮らしているという逆転した価値観は、バートン節ともいうべき独自の世界観。

印象に残ったのは、無数の蝶に変わるエミリーの昇天シーン。こだわりの監督だけに、あそこだけCGとは思えないが、どうやって撮影したんだろう?

評価:★★★☆☆

コレクションドール/コープスブライド Y-230

B000AUEMI6
コレクションドール/ビクター Y-231 ジオラマフィギュア/ビクターとブライド Y-228 コープスブライド ぬいぐるみ/スクラップ Y-227 5インチセレクション/コープスブライド Y-207 5インチセレクション/ビクター Y-208
by G-Tools

ティム・バートンのコープスブライド 特別版ティム・バートンのコープスブライド 特別版
ティム・バートン

ワーナー・ホーム・ビデオ 2006-03-03
売り上げランキング :
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:58 | Comment(14) | TrackBack(51) | LOG #か-こ

2005年11月13日

カーテンコール(2004/日本/監督:佐々部清)

シネマミラノ@新宿】

curtaincall.jpg東京の出版社で働く香織(伊藤歩)は、初めてものにしたスクープ記事が原因で、しばらく福岡のタウン誌の編集部へ異動することに。そこで、下関の映画館・みなと劇場にいたある芸人のことが書かれた読者からのハガキに興味を覚え、取材に行く。
みなと劇場で昭和33年から働いているという宮部絹代(藤村志保)という女性から、幕間芸人として人気のあった安川修平(藤井隆)の話を聞き、足取りを追ううちに、修平の娘である美里(鶴田真由)にたどり着く。

シネマミラノではハングル語字幕つきというのが不思議で、歌舞伎町という場所柄かなぁと思っていたのだが、映画を観て納得。昭和30年代の映画館が舞台の物語というだけではなく、在日朝鮮人というテーマも含まれていたのである。
下関に縁のある方ならばなじみやすい問題なのかもしれないが、私のようにほのぼの人情劇を予想していると面食らう。
修平が下関で幕間芸人だったのは短い期間で、韓国人としての人生のほうが長いということもあり、香織が修平の足跡を追いかけていくほど在日朝鮮人がはらむ悲劇や問題提起的な色合いが強くなっていく。
父への葛藤や民族的マイノリティを抱える美里役の鶴田真由が良い演技をしており見ごたえがあるが、前半と後半ではだいぶトーンが変わってくるので、最初からそういう映画だと思って観たほうが良いかもね。

みなと劇場は実在の映画館だそうだが、現在のシネコンとはまとう空気が違う。東京にもまだこういう雰囲気の映画館が多少は残っているが(三軒茶屋中央劇場とか)、意外と地方のほうが淘汰は早いのかも。やっぱり若い人やカップルで映画観るならシネコン行っちゃうしねぇ。
現在のみなと劇場のさびれた光景が、ひと昔前の熱気あふれる映画館の光景に切り換わる演出が良い。プログラムピクチャー全盛のころは、幕間芸人が素朴な芸を披露したり劇場内に売店があったり売り子さんが廻っていたり、実に活気があって楽しそうである。現在の映画鑑賞スタンスとは一味違う、行楽という雰囲気があるね。
名前だけは知っている数々の懐かし映画のワンシーンが観られるのもお得。私が観たことあるのは石井輝男監督の「網走番外地」(レビュー未掲載)くらいだったけど。

若き日の安川修平を演じる藤井隆は、歌がうまく穏やかな雰囲気があり、はまり役というほどではないが適役だと思った。新喜劇の舞台やテレビではだいぶはっちゃけているけれど、実際はすごく繊細で物静かな青年なのですよ、彼は。
でも、年老いた同人物が井上堯之ってのは面影なさすぎじゃないだろうか。いや、彼は彼で良い味を出してはいるけれど。
その他、何十年もみなと劇場で働いている品の良い藤村志保や、差別を受けてきた影を感じさせる鶴田真由など、達者な役者が揃っており安心して観られる。

修平が映画のフィルムをみなと二番館に運ぶところや、映写室のシーンなど、「ニュー・シネマ・パラダイス」を彷彿とさせるところがある。
まさに映画館で観ることに意義がある映画で、自宅のテレビで観ると魅力が半減しちゃうかもね。

評価:★★★☆☆

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:42 | Comment(6) | TrackBack(25) | LOG #か-こ

2005年10月12日

空中庭園(2005/日本/監督:豊田利晃)

ユーロスペース@渋谷]

1000379_01.jpg郊外の団地に住む京橋家には、家族に秘密は持たないというルールがあった。長女のマナ(鈴木杏)は、自分の“出生決定地”が近所のラブホテルだったことを聞かされ、朝から落ち込んでいた。最近マナは高校に行っていない。中学生の弟・コウ(広田雅裕)もさぼりがちのようだ。ラブホテルには窓がないと知って興味を持ったコウは、見学したいと不動産屋を訪ねる。そこでコウを接客した女性・ミナ(ソニン)と話が合い、彼女に家庭教師を頼むことに。母の絵里子(小泉今日子)は喜んでミナを家族の夕食に招待した。ミナを見て、父・貴史(板尾創路)は驚く。ミナは貴史の愛人だったのだ。

豊田監督の逮捕で、どうなっちゃうんだろうととても心配だった。
縮小公開とはなったが、観ることができて本当によかった。

秘密やタブーを持たないこと。
誰もいない家に帰らせたくないから、鍵は母親だけが持つこと。
誕生日は皆で祝うこと。

家族間に隠しごとはなく、性にも開放的で、風通しの良いフランクな家庭。
ニュータウンの団地で暮らす京橋家は理想の家庭である。そう、建前は。

本当の京橋家は、どうでもいいことは隠さないが、大事なことや都合の悪いことはおのおのの胸に秘めているからこそ、理想の家庭であり得たのだ。

以前、とある人に、自分が育った環境に対する愚痴をこぼしたところ、「問題のない家庭なんてない」と言われ、とても恥ずかしくなってしまったことがある。誰もが多かれ少なかれ、家族の絆に縛られ、家族の一員という役割を演じ、“家庭”という砂上の楼閣を築いている。少しの波で脆く崩れ去ることもあるから、守るのに必死なのだ。

しかし、これは嘘や欺瞞が露呈し崩壊していく家族のさまを描いた映画ではない。
京橋家の理想の家族像はそれほどやわではなかった。
あれほどの大噴出後にとてもそのまま“理想の家族ごっこ”が続けられるとは思えないが、何事もなかったかのように通常の生活を営まんとする京橋家。
おそらく、2年後も3年後も同じような日々が繰り返されているのだろう。
そう、家族ってこんな面もある。多少の傷は自然治癒してしまう。良くも悪くも。

家族って何なのか。
楽しかったり安らげたり、ときにはグロテスクだったりする。
そんなリアルな家族像に心を揺さぶられる。間違いなく今年のベストに入る映画だ。

キャストについて。
小泉今日子が予想以上に良かった。
劇場に置いてあったフライヤーの監督インタビューによると、豊田監督と映画がやりたいと言ってきたのは小泉今日子のほうからなんだとか。自らのラブコールということもあってか、完璧なまでに恵理子という人間になりきっている。
その他の出演者もそれぞれ存在感があり、あいかわらず豊田監督のキャスティングはお見事なり。

あっ、元チャイルドマシーンの山本吉貴が出ております!(カップルの男役)
そういや以前、髪をアフロにしていたときに「映画のため」と言っていたが、この映画のことだったんだなぁ。
また、エンドロールで千原靖史の名前を見てビックリしたのだが、お兄ちゃん一体どこに出てたの?? もしや恵理子のバイト先の店長かな。うーん気づかなかった(´・ω・`)

【★★★★★】

劇場用パンフに「空中庭園」続編 - goo 映画
そんな…パンフ買い損ねましたorz。また観に行っちゃおうかなぁ。

空中庭園 特別初回限定版 / ¥ 4,820空中庭園 特別初回限定版


小泉今日子 角田光代 豊田利晃 板尾創路 鈴木杏 広田雅裕 國村隼 瑛太 今宿麻美 ポニーキャニオン

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

空中庭園 通常版 / ¥ 3,157空中庭園 通常版


小泉今日子 角田光代 豊田利晃 板尾創路 鈴木杏 広田雅裕 國村隼 瑛太 今宿麻美 ポニーキャニオン

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

空中庭園 / ¥ 500空中庭園


角田 光代 文藝春秋

amazonで詳細を見る | 大きい画像を見る

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(7) | TrackBack(38) | LOG #か-こ

2005年09月25日

奇跡の海(1996/デンマーク/監督:ラース・フォン・トリアー)

[DVD; TSUTAYA DISCAS

プロテスタント信仰の強い村に住む、精神薄弱者のベス(エミリー・ワトソン)は、流れ者のヤン(ステラン・スカルスガルド)と結婚し、幸せな日々を送っていた。油田工場で働くヤンは仕事のため家に戻れず、彼を返して欲しいと神に祈るベス。すると、ヤンが工場で事故に遭ったという知らせが。半身不随で不能となってしまったヤンは、ベスに他の男と寝るよう強要する。夫を愛するがゆえ、他の男を誘惑し娼婦まがいの行為に走るベスを、村人は容赦しなかった。

無知で純粋ゆえに、極端な行動に走るベス。献身的とも愚かともいえる言動に感情移入するのはむずかしい。
宗教色の強い話なので、なかなか日本人には腑に落ちないところだが、彼女こそ神の教えを体現しているともとれるし、自己解釈の信仰で背徳的ともとれる。その答えはラストシーンに示唆されているのだが……。
きわめてあざといラストは評価の別れるところだが、私はぴんとこなかった。ベスが起こした奇跡は、ヤンが自分で動けるようになってることだけで充分だと思うよ。

しかし、このふたりはヤンの事故がなくても、いつか似たような境遇に陥ってたんじゃないのかね。愛のためなら何をも厭わないベスを見ているとそう思ってしまう。
キャスティングと演技の妙により、どこか危うげで、たとえ事故がなかったとしても添い遂げられるタイプの夫婦には見えないところが、刹那的で濃厚な愛を切り取った寓話として成功している一因じゃなかろうか。

【★★★☆☆】

奇跡の海 プレミアム・エディション
B0002B59S0エミリー・ワトソン ラース・フォン・トリアー ステラン・スカルスゲールド

ジェネオン エンタテインメント 2004-07-23
売り上げランキング : 13,142

おすすめ平均 star
star死と性と信仰の狭間に
star結婚の真意を問う映画
star唯神ろん

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 19:28 | Comment(2) | TrackBack(4) | LOG #か-こ

2005年09月21日

銀河ヒッチハイク・ガイド(2005/アメリカ=英/監督:ガース・ジェニングス)


hitchhikers.jpgいやーん、面白いっ。
哲学的・衒学的な雰囲気を漂わせつつも、ものすごくくだらない設定と台詞に、ゆるゆるとハマってしまった。

物語の主人公は平凡な英国人アーサー。親友フォードが実は異星人であり、宇宙最大のベストセラー“銀河ヒッチハイク・ガイド”の記者だったために、宇宙船のヒッチハイクに成功。地球爆破の危機から脱出する。しかしその船からも放り出されたふたりは、銀河系の大統領ゼイフォードが強奪した“黄金の心”号に拾われるのだった……。

タイトルから連想されるイメージとして、たまたま出遭った宇宙船を次々とヒッチハイクして宇宙を旅する話かと思っていたのだけど。
中盤あたりから、ヒッチハイクなど忘れたかのように、“宇宙の真理を求める”という、テーマは壮大だが実にくだらない展開にシフトしていく。
やや中だるみはあるが、序盤の地球壊滅と、終盤の地球創生には目を見張る。CGの出来とセンスは素晴らしく、これだけでも観る価値はある。が、万人におすすめはしづらい……。
もちろん、不条理なキャラクター造形も相当イカシテルのだが、これまた好き嫌いありそう。

カルト映画と括る向きもあるようだが、そうなんだろうか。よくわからない。
たしかに相当くせのある映画で、観客の笑いどころがバラバラなのがちょっと興味深かった。映画同様、シアター全体がまとまりのつかない空気に満たされていたように思う。好きなとこで笑いたきゃ笑え、という突き放したつくりにノレるかノレないか。“ハイここで笑ってね”ってなわかりやすーいコメディよりぜんぜんこっちの方が良いけどなぁ。

というわけで、個人的には、直前に観た「ファンタスティック・フォー」はもちろん、現在興収1位をひた走る「チャーリーとチョコレート工場」よりも高い5点満点。もう1回観たいよ。
原作も読んでみたいと思ったが、最近、本といえば、観た映画の原作くらいしか読んでない自分に鬱。映画もいいけど、やはり本読まないとバカになる〜。(と、ウンパルンパも言ってます@チョコレート工場の秘密

【★★★★★】

銀河ヒッチハイク・ガイド銀河ヒッチハイク・ガイド
サム・ロックウェル ダグラス・アダムス ガース・ジェニングス

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2006-03-17
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

4309462553銀河ヒッチハイク・ガイド
ダグラス・アダムス 安原 和見

河出書房新社 2005-09-03
売り上げランキング : 170
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 23:59 | Comment(9) | TrackBack(40) | LOG #か-こ

2005年08月29日

小人の饗宴(1969/西ドイツ/監督:ヴェルナー・ヘルツォーク)

人里離れた郊外にある小人の収容施設。懲戒処分を受けた13人の小人がクーデターを起こす。食事や農作業に対する日頃の不満が爆発した結果だった。暴徒と化した彼らの破壊はどんどんとエスカレートしていき、アナーキーな乱痴気騒ぎはいつまでも続けられるのだった……。

指導員や通りがかりのドライバーも含め、出演者は全員小人。
よくも集めたもんだと感心するほど、さまざまタイプの小人が見られる。

ストーリーに起承転結もなく、ただ小人の馬鹿騒ぎがえんえんと続くだけ。彼らの実際の年齢はよくわからないが、見た目同様、精神も子どもじみているようで、やってることはそこらへんの悪ガキと大差ない。だが、度のすぎた悪ふざけをゲタゲタと笑いながら飽きもせず続けられると、さすがに気味が悪い。
荒野にぽつんと建てられた収容所の隔離ぶりや、タガがはずれたような小人たちの狂乱ぶりを見るにつけ、日ごろ彼らがどんな扱いを受けているのかそこはかとなく感じられ、終われば「嫌なもん観たなぁ」とグッタリ。

社会的弱者である彼らはガッチリ団結しているのかと思いきや、仲間であるはずの盲目の小人や、動物へのいじめは驚くほど陰湿。小人の世界にもヒエラルキーが存在し、歴然とした差別意識も感じられる。
彼らはより稚気じみたやりかたで、よりストレートに社会を反映しているに過ぎないのだ。
あぁ、嫌なものを観た。

【★★☆☆☆】

小人の饗宴
B00005NO7Jヘルムート・デーリング パウル・グラウアー ギーゼラ・ヘルトヴィヒ

ビデオメーカー 2001-09-26
売り上げランキング : 38,197

おすすめ平均 star
star変人ヘルツォークの萌芽がみえる

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

livedoorぽすれんで借りる≫小人の饗宴

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 22:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | LOG #か-こ

2005年08月28日

ガンマー第3号 宇宙大作戦(1968/日本/監督:深作欣二)

謎の惑星“フローラ”が地球に衝突することが判明。惑星を爆破するために地球を飛びたったランキン中佐は無事任務を終え、宇宙ステーション・ガンマー3号に戻る。だが、隊員の一人の宇宙服に付着した緑の粘着物質が、ステーション内の電気エネルギーを吸収して急速に成長。やがて一つ目の怪物が生まれ、エネルギーを吸収しつつ大増殖し始めた。

スタッフは深作欣二率いるオール日本人、キャストはオール外国人という変わったテイストの映画。
ストーリーは、前半「アルマゲドン」、後半「エイリアン」(レビュー未掲載)というすばらしく贅沢なものw。もちろんこちらが先で、前2作にたいへん酷似しており、元ネタと言われているのも納得。
アルマゲドン」が惑星を爆破するだけで2時間持たせたのに対し、ランキン中佐はものすごく仕事が早い。あっという間に惑星衝突問題を解決するが、エイリアン増殖という新たなトラブルが発生。
どちらもこれだけで1本の映画になってしまうプロットだけに、展開がスピーディで、ぽんぽんと進む小気味良さがある。

緑の血液をまき散らして増殖するエイリアンの造形は、不気味っちゃ不気味だが、そこはかとなく可愛い……くはないかやっぱり。なんか悪いオバQみたいだもんね。
ステーションの隔壁を開けると、エイリアン軍団に焼き殺されたドクターが倒れ込んでくるシーンはちょっとこわい。30年以上前の映画ということを考えても、ホラー度高めでショッキングなシーンだ。

さすがに映像は古臭く、特撮もショボいけれども、意外な面白さで、少なくとも「アルマゲドン」よりは楽しめた。

【★★★☆☆】

ガンマー第3号 宇宙大作戦
B0002VL6D2ロバート・ホートン 深作欣二 田口勝彦

東映 2004-11-21
売り上げランキング : 13,058

おすすめ平均 star
star仁義なき”宇宙”の戦い
star待ってました♪
star「エイリアン」のルーツ?

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

livedoorぽすれんで借りる≫ガンマー第3号 宇宙大作戦

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 21:49 | Comment(0) | TrackBack(1) | LOG #か-こ

2005年08月06日

グーニーズ(1985/アメリカ/監督:リチャード・ドナー)

いやー懐かしい。子どものころグーニーズにあこがれて、テレビ放映されたのをビデオに録って何度観たか数え切れない。私が映画を観るようになったのは、これとインディ・ジョーンズがきっかけだったように思う(王道)。スピルバーグばんざ〜い。

本日、10数年ぶりにムービープラスで鑑賞。子どものころの感動をまた味わえるのかちょっと不安だったのだが、冒頭からそんな懸念は吹き飛び、ぐいぐい引き込まれた。
あんなに繰り返し観たのに、細部はけっこう忘れてしまってて、意外と新鮮な気持ちで観ることができたし。
大人の眼で観ると、ありがちなストーリーと子どもだましのセットの映画にすぎないけれど、原体験が呼び覚まされるようで、当時と同様ハラハラドキドキしている自分にびっくり。

子どものころは発明少年のデータ(キー・ホイ・クァン)が好きだったけれど、今観るとおデブで食い意地のはった表情豊かなチャンク(ジェフ・コーエン)が味わい深い。スロースとのやりとりに感動しちゃうよ。

この映画はやっぱり子どものころに観ておくべきで、そうでない人は不幸としか言いようがない。

DVDには特典映像として、大人になったグーニーズのメンバーのインタビューや、シンディ・ローパーのプロモーションクリップが収録されているらしい。また、本編のラストでデータが「大ダコに襲われた」と言っているのが長年の謎だったのだが、この未公開シーンも入っているとか。この内容なら買って損はなさそうだなぁ。

【★★★★★】

グーニーズ 特別版
B0002T20LGショーン・アスティン リチャード・ドナー ジョシュ・ブローリン ジェフ・コーエン

ワーナー・ホーム・ビデオ 2004-09-23
売り上げランキング : 7,697

おすすめ平均 star
star絶対に買い!!
star大好きです
star夢があふれる冒険ファンタジー

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

livedoorぽすれんで借りる≫グーニーズ

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 20:16 | Comment(6) | TrackBack(3) | LOG #か-こ

2005年07月21日

ガーゴイル(2001/フランス/監督:クレール・ドゥニ)

新婚のシェーン(ヴィンセント・ギャロ)とジューン(トリシア・ヴェッセイ)は、ハネムーンでパリを訪れた。幸せそうに見えるふたりだが、なぜかベッドでもシェーンは妻を抱こうとはしない。実はシェーンは性的絶頂を迎えると相手を殺してしまう狂気の性質に苦悩しており、その病気の鍵を握るセムノー医師を捜すためにパリへ来たのだった。
セムノー夫妻はパリ郊外に暮らしているが、妻のコレ(ベアトリス・ダル)もまたシェーンと同じ病気にかかっており、夫によって監禁されていた。

うわぁ、ホラーだったのかこれ。予想もしてなかった。
例によって怪しさ極まりないギャロと(好きだけど)、コワイおねぇさんベアトリス・ダルの抱えるわけのわからない病気が強烈。
セックスの最中に相手を殺してしまうのだが、刺すとか首を絞めるとか穏便(?)なものではなく、相手を噛みちぎって殺すんである。どうやったらそんな病気にかかるのさ!
病気の原因に関してはほとんど説明がないので、くわしいことはまったくわからないのが不気味でまがまがしい。

シェーンよりもさらに病気が進行し、すでに衝動を抑える理性を失っているコレが男を誘ってイタすわけだが、噛みちぎるシーンがやたら丁寧に撮られており、痛覚にビリビリきます。眼を背けたくなるほど生々しくてエロい。これこそ、相手のすべてを支配し取り込みたいという欲望が行き着いた究極のセックスなのかも。

人喰って吼えるベアトリス・ダルの恐ろしくも美しい狂気の姿は一見の価値ありだが、とても人には薦められません。実はホラーともスプラッタとも言い難いこの映画、私はかなり好きですが。

それにしても、ギャロが小犬を抱えてさまようシーン、いつ小犬を喰い殺すんだろうとハラハラしてしまった……。セックス以外でもやたら噛みちぎりたくなる病気じゃなくてよかった。

【★★★★☆】

ガーゴイル
B0009J8G3Kヴィンセント・ギャロ

ハピネット・ピクチャーズ 2005-07-16
売り上げランキング : 16,710

おすすめ平均 star
star美しすぎる、抑えきれない衝動

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

livedoorぽすれんで借りる≫ガーゴイル

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 01:06 | Comment(0) | TrackBack(1) | LOG #か-こ

2005年07月19日

ゴーストワールド(2001/アメリカ/監督:テリー・ズウィゴフ)

高校を卒業しても進学するでも就職するでもなく、時間を持て余し街をぶらぶらしている、幼なじみで親友のイーニド(ソーラ・バーチ)とレベッカ(スカーレット・ヨハンソン)。
ある日、出会いを求める新聞広告を見つけ、からかってやろうと待ち合わせたカフェに現われたのはいかにもモテなさそうなレコードマニアの中年男・シーモア(スティーブ・ブシェミ)。最初はダサいと笑っていたが、イーニドは独特の世界を持つシーモアに興味を持つ。
一方、レベッカは就職して一人立ちを計画しており、ふたりの関係に距離が開き始めていた。

……痛い映画だなぁ、これは。
世の中をナナメに見て、全てが不満で自分がどうしたいのかもわからないイーニドにビシビシ感情移入するようなトシでもないのに、ついつい、漠然とした不安を抱えていた10代のころを重ね合わせてしまうね。
出会う人すべてを「ダサい。イケてない」と斬って捨てるイーニドだが、周囲からするとよっぽど彼女のほうがイタい。それもわかってるんだけど、でも私は周囲の人とは違う。私をイケてないという世の中がオカシイのよ、と思いたい。微妙で複雑なイーニドの心中は察して余りある。
高校のころはレベッカも同じ側だったのに、いつのまにか置いてきぼり。私だけがもがいている。誰もが多かれ少なかれ経験する、青春の通過儀礼のような焦燥感がヒリヒリと伝わってきます。

イーニドがシーモアに惹かれた理由はなんだろう。同じ側の人間だから? 「あなたがモテない世の中が許せない」というようなセリフがあるが、まるで自分のことを言っているように思えた。
それなのに、いざシーモアが別の女性にモテた途端焦り出す。あがいて、一歩踏み込んだ関係になった途端逃げ出す。
レベッカに対してもまったく同じことをしており、ここらへん自分勝手で臆病なイーニドらしくて、共感できるようなできないような微妙な感情を持て余してしまう。モヤモヤ。
この、表現しづらいモヤモヤ感がまさにこの映画のキモで、なんとも解釈のむずかしいラストでまたモヤモヤさせられた。どこへ行こうとしているの、イーニド。

それにしても、根性曲がり&仏頂面&個性的なファッションのイーニドって、トッド・ソロンズ監督「ウエルカム・ドールハウス」のドーン嬢の後日談かと思ったぞ。このふたり、おそらく血のつながりがあるな。
そういうわけで、この映画が好きな人は「ウエルカム・ドールハウス」も是非。ゴーストワールド以前に思春期のアイタタを描いた映画で、見比べてみるとかなり面白いかも。

【★★★★☆】

ゴーストワールド
B000064819ソーラ・バーチ スカーレット・ヨハンスン スティーヴ・ブシェミ ブラッド・レンフロ

ジェネオン エンタテインメント 2002-06-07
売り上げランキング : 14,538

おすすめ平均 star
starいやはやシビアだね
starナイキやマックで満足してたら悪いのか
star青春はいつも、ここではない

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

livedoorぽすれんで借りる≫ゴーストワールド

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 01:47 | Comment(4) | TrackBack(16) | LOG #か-こ

2005年07月16日

コニー&カーラ(2004/アメリカ/監督:マイケル・レンベック)

connie&carla.jpg子どものころからショービジネスの世界にあこがれていたコニー(ニア・ヴァルダロス)とカーラ(トニ・コレット)。現在は空港のラウンジで音楽センスの悪いお寒いショーに立ち、客にはそっぽを向かれ、恋人にはバカにされながらも夢をあきらめきれないでいた。
ある日、ふたりはコカインが原因でボスが殺される場面を目撃してしまい、口封じにギャングから追われるはめに。ロサンゼルスに逃げるが仕事もみつからず、憂さばらしに入ったゲイバーで、女ということを隠しショーに雇ってもらうことに。ステージでは生の歌声を聞かせ、客に大ウケ。すっかり人気者になってしまう。

良くも悪くもアメリカ映画らしい予定調和さで、ツボにはまるかはまらないかは大いに好みによる。
私はこのテの映画としては例外的に楽しめた。テンポも良くコメディとしてはまぁまぁの脚本だし、何といっても歌唱力抜群のふたりが数々のミュージカルナンバーを歌い上げるステージが楽しい。
このふたり、女性でありながらドラッグクイーンに化けるというややこしいことをしているが、それもあまり違和感がないくらいなので、決して美人ではないのだが、等身大でパワフルなキャラが魅力的。

面白かったのは、ギャングの手下がふたりを追いかけてあちこちのステージを観て廻るうちにすっかりハマってしまうあたり。「ふたりは見つかりませんでしたが、今日のステージの役者の演技力は素晴らしかったです」と報告してボスの怒りを買うあたりはくすりとさせられた。

予定調和な脚本のなかでも、さらにゲイやドラッグクイーンというマイノリティの扱いがありきたりすぎないかなぁ。「自分らしく生きる」というメッセージも、それは仰るとおりなんだけど、もう少し何かありませんかって感じ。ここらへんもっとヒネリが欲しかったところで、全体的にやや突っ込み不足な感は否めない。

コニーが恋する青年、Xファイルのモルダー捜査官ではないですか。本人的にも、モルダー捜査官のイメージが強すぎるのは辛いところですな。

それと、この映画の振り付け師って「コーラスライン」(レビュー未掲載)でマギーをやった人でしょうか。違う?

【★★★☆☆】

コニー & カーラ
B0008GGTTCニア・ヴァルダロス マイケル・レンペック トニ・コレット デヴィッド・ドゥカヴニー

ポニーキャニオン 2005-05-18
売り上げランキング : 3,648

おすすめ平均 star
star脚本も演出も致命的にツマラない。
starもうちょっとで傑作に

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

livedoorぽすれんで借りる≫コニー&カーラ

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 20:00 | Comment(4) | TrackBack(9) | LOG #か-こ

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。