2005年11月13日

カーテンコール(2004/日本/監督:佐々部清)

シネマミラノ@新宿】

curtaincall.jpg東京の出版社で働く香織(伊藤歩)は、初めてものにしたスクープ記事が原因で、しばらく福岡のタウン誌の編集部へ異動することに。そこで、下関の映画館・みなと劇場にいたある芸人のことが書かれた読者からのハガキに興味を覚え、取材に行く。
みなと劇場で昭和33年から働いているという宮部絹代(藤村志保)という女性から、幕間芸人として人気のあった安川修平(藤井隆)の話を聞き、足取りを追ううちに、修平の娘である美里(鶴田真由)にたどり着く。

シネマミラノではハングル語字幕つきというのが不思議で、歌舞伎町という場所柄かなぁと思っていたのだが、映画を観て納得。昭和30年代の映画館が舞台の物語というだけではなく、在日朝鮮人というテーマも含まれていたのである。
下関に縁のある方ならばなじみやすい問題なのかもしれないが、私のようにほのぼの人情劇を予想していると面食らう。
修平が下関で幕間芸人だったのは短い期間で、韓国人としての人生のほうが長いということもあり、香織が修平の足跡を追いかけていくほど在日朝鮮人がはらむ悲劇や問題提起的な色合いが強くなっていく。
父への葛藤や民族的マイノリティを抱える美里役の鶴田真由が良い演技をしており見ごたえがあるが、前半と後半ではだいぶトーンが変わってくるので、最初からそういう映画だと思って観たほうが良いかもね。

みなと劇場は実在の映画館だそうだが、現在のシネコンとはまとう空気が違う。東京にもまだこういう雰囲気の映画館が多少は残っているが(三軒茶屋中央劇場とか)、意外と地方のほうが淘汰は早いのかも。やっぱり若い人やカップルで映画観るならシネコン行っちゃうしねぇ。
現在のみなと劇場のさびれた光景が、ひと昔前の熱気あふれる映画館の光景に切り換わる演出が良い。プログラムピクチャー全盛のころは、幕間芸人が素朴な芸を披露したり劇場内に売店があったり売り子さんが廻っていたり、実に活気があって楽しそうである。現在の映画鑑賞スタンスとは一味違う、行楽という雰囲気があるね。
名前だけは知っている数々の懐かし映画のワンシーンが観られるのもお得。私が観たことあるのは石井輝男監督の「網走番外地」(レビュー未掲載)くらいだったけど。

若き日の安川修平を演じる藤井隆は、歌がうまく穏やかな雰囲気があり、はまり役というほどではないが適役だと思った。新喜劇の舞台やテレビではだいぶはっちゃけているけれど、実際はすごく繊細で物静かな青年なのですよ、彼は。
でも、年老いた同人物が井上堯之ってのは面影なさすぎじゃないだろうか。いや、彼は彼で良い味を出してはいるけれど。
その他、何十年もみなと劇場で働いている品の良い藤村志保や、差別を受けてきた影を感じさせる鶴田真由など、達者な役者が揃っており安心して観られる。

修平が映画のフィルムをみなと二番館に運ぶところや、映写室のシーンなど、「ニュー・シネマ・パラダイス」を彷彿とさせるところがある。
まさに映画館で観ることに意義がある映画で、自宅のテレビで観ると魅力が半減しちゃうかもね。

評価:★★★☆☆

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posted by bambi at 23:42 | Comment(6) | TrackBack(25) | LOG #か-こ
この記事へのコメント
TBありがとうございました☆
試写会で見て、予想と違うストーリーに少し違和感を覚えたもののジ〜ンとくる一作でした。TBつけさせていただきます。
Posted by Ren at 2005年11月15日 07:01
TBありがとうございます
鶴田さんの字について語るところが好きです
ノスタルジックな映画というわけではないなぁ、と思いました
Posted by zattchi at 2005年11月15日 11:42
>Renさま
そうなんですよねぇ〜。
予告や紹介では、昭和30年代の映画館や幕間芸人の物語としか伝わってきませんよね。
結局、在日問題のほうがポイントになってて、ちと面食らいました。

>zattchiさま
父と夫の字について語るくだり、印象に残りますね。
鶴田真由の影があり生活感がにじみ出ている主婦はとても良かったです。
Posted by bambi@管理人 at 2005年11月15日 22:26
三軒茶屋中央劇場は家の近所にあるにもかかわらず行ったことがなくて、
そろそろ足を踏み入れなければと思っていました。
あそこも良い雰囲気ですよね。
改装前の文芸坐が懐かしいです。
老若の修平は違和感がありました。
二人とも良かったのですが、
同一人物には到底思えませんよね。
Posted by at 2005年11月25日 00:15
東京は名画座・ミニシアターが多いですし、昔ながらの雰囲気の良い映画館も多少残っていますよね。

古い映画館ではないですが、私は一度ラピュタ阿佐ヶ谷に行ってみたいです。そんなに遠くないんですが、邦画旧作に疎くて、なかなか足が向きません。
Posted by bambi@管理人 at 2005年11月25日 22:41
今さら気づいたのですが、
11月25日0時15分のコメントは僕です。
名前を書き忘れました。
申し訳ございません。
Posted by 現象 at 2005年12月04日 09:37

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