2005年09月12日

鉄塔武蔵野線(1997/日本/監督:長尾直樹)


武蔵野線とはJRの路線ではなく、東京都保谷市と埼玉県日高市を結ぶ、全長28.1kmの高圧送電線のこと。
公開当時、送電線を束ねる鉄塔をたどる少年たちの物語という映画の記事をなにかで読んで、すごく興味を惹かれた。その後はタイトルすら忘れてしまい、ずっと観る機会もなかったのだが、このほどCSでようやく観ることができて、なんというか、感無量であります。

父の影響で、幼いころから鉄塔マニアの見晴[みはる](伊藤淳史)。両親が離れて暮らすことになり、2学期から長崎の学校へ転校することになった小学校最後の夏休み。ふと、見慣れた鉄塔に番号がふってあることに気付いた。鉄塔を逆にたどっていけば、やがて1号鉄塔にたどりつくだろう。そこにはいったい何があるのだろうか。さっそく、親友のアキラ(内山眞人)を誘って“鉄塔調査隊”を結成し、1号鉄塔を目指して出発する。

いつもそこにあるのに、誰も改めてその存在に気付かない鉄塔。見慣れた日常風景の中に、独自の秘密の匂いを嗅ぎ出すのは子どもならでは。そんな日々もあったなぁと懐かしさに胸が熱くなり、ひと夏の冒険に心躍る。

誰もが多かれ少なかれ、小さな冒険を試みた子ども時代を通り過ぎてはいるが、過去に少年だった人のほうが、よりこの物語に入り込めるのだろうと思うとやや残念ではあるのだが。
それは、1号鉄塔を目指すだけでなく、すべての鉄塔の下にビールの王冠を埋めるというたわいもない“ルール”によく現われている。いかにも少年らしいこだわりで、意味などないのだろうが、この行為に本当の価値を見出すのは男性独自の感性だろうという気がした。

ジリジリと照りつける陽射し、濃い影、夕陽に染まる鉄塔、どのシーンを切り取っても夏の匂いが充満し、夏休みのワクワク感と同時に、どこか夏の終わりの寂寞感がただよう。

現在は電車男へと成長した伊藤淳史。無口で意志の強い少年の、鉄塔を見上げる真摯なまなざしが忘れ難い印象を残す、ノスタルジックでせつない映画。

【★★★★☆】

鉄塔武蔵野線
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posted by bambi at 23:39 | Comment(0) | TrackBack(1) | LOG #た-と
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