2005年07月24日

血と骨(2004/日本/監督:崔洋一)

chitohone.jpg一旗挙げることを夢みて、済州島から大阪の朝鮮人集落へやって来た金俊平(ビートたけし)。持ち前の強靭な肉体と凶暴性でのし上がっていき、周囲から恐れられる存在になる。開業した蒲鉾工場で職人を酷使し富を得て、自宅の前に家を買い堂々と愛人を囲うなど、俊平の暴挙はとどまるところを知らない。妻の李英姫(鈴木京香)やふたりの子どもは俊平の暴力に怯えて何も言えず暮らしていた。

千原ジュニアがこの映画を“ビートたけしの怪獣映画”と評していたが、なるほどすさまじい暴れっぷり。精力満点で女を次々と蹂躪し、腐った豚の生肉を常食している(……)あたりも人間ばなれしていて良いですね。フーフー吹いてるのは熱いわけではなく、蛆を飛ばすためか?

私の父親も家庭内暴君だったので、観ていてひたすら憂鬱だった。娘の花子(田畑智子)が嫁いだのもやはり暴力亭主というところに“不幸の連鎖”をひしひしと感じ、さらに鬱。いくら俊平の暴力の根底には家族への愛情があると言われても(あるのか?)、やっぱり暴力は人の自尊や矜持を根本から奪うので、ひたすら怯えて暮らす家族のほうに感情移入してしまった。
ただ耐えるだけの妻の描き方が物足りないという感想を多く見かけたが、実際に暴力亭主を持ったらあんな感じかと。私は逆に、逃げ出すわけでもなく暴力に屈し支配される家族にリアリティを感じたなー。

ただ、年老いても徹底して自己中心主義を貫く俊平の行きざまは圧巻だった。身体を害したり家族が死んでも決して自分の生き方に妥協しない。
最期はあれだけ固執した全財産も故国に寄付し、極寒の地で息を引き取る俊平。誰にも心を許さず誰からも愛されなかった人生は、一般的な価値観からは不幸にしか見えないが、自己を貫いて充足して死んでいったのではないだろうか。

すでに老境に差しかかっても若い息子を返り討ちにする腕力は、もしやあの腐肉のおかげだったのだろうか?

ビートたけしは決して演技のうまい役者ではないけれども、アクの強い特異な人物を演じても呑まれることがないので、こういうオヤジはハマリ役。
鈴木京香の自然な老けかたにもびっくりした。今後はあたりさわりのないきれいどころを演じるより、所帯じみたおばさん路線で行ったら良いんじゃないか。

【★★★★☆】

血と骨 コレクターズ・エディション
B0002U8NPWビートたけし 梁石日 崔洋一 鈴木京香

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posted by bambi at 02:26 | Comment(2) | TrackBack(8) | LOG #た-と
この記事へのコメント
bambiさん、TBありがとうございました。
ビートたけし頑張ってましたね。
こちらからもTB返信させて頂きました☆
Posted by bambiさん、こんにちは。 at 2005年07月24日 10:12
TB&コメントありがとうございます。

ビートたけしが演じて印象に残っているのは、大久保清、金喜老などやっぱり特異キャラばかりです。
金俊平もよかったんですが、生粋の東京の下町育ちのたけしに大阪弁喋らせなくても良かったんじゃないですかね。
Posted by bambi@管理人 at 2005年07月24日 14:00

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