2003年09月06日

幻の湖(1982/日本/監督:橋本忍)

 「東宝50周年記念作品」という鳴り物入りで公開されたものの、あまりにケッタイな内容に2週間で興行が打ち切られ、その後20年間ビデオ化もテレビ放映もされなかったという幻の「幻の湖」だったのだが、先ごろDVDで発売されたらしい。私はたまたま、会社を休んでぼんやりCSを見ていたときに、日本映画専門チャンネルで放映されるというCMを見て、驚きあわてふためきつつもこの機会を逃してはならじと録画予約し、ようやくこの幻の映画を見ることができた次第である。
 主人公は、愛犬・シロと共に琵琶湖畔を走ることが趣味のトルコ嬢・道子(南條玲子)。彼女が勤めるのは、戦国時代をモチーフにしており、コスチュームは着物に日本髪、源氏名はぞれぞれ「お市の方」「淀君」「キリシタンお美代」(笑)などと名乗っている変な店。ある日、道子の愛犬シロが何者かに殺された。警察の捜査と彼女の執念で、犯人は東京の売れっ子作曲家・日夏と判明。有名人ゆえに事務所に押しかけてもケンもホロロな扱いを受け、「憎い…。日夏が憎い…。いや東京中の人間が日夏をかばっている。憎い!」と物騒なテンションでふらふらとさまよう道子だったが、偶然にも元同僚の金髪トルコ嬢・ローザに会い、実は日本の性産業の実態を探る女スパイ(笑)だった彼女の協力で日夏の家を突き止める。道子の復讐は、ジョギングが趣味の日夏を追走して脅かすこと(……?)。ペース配分まで冷静に考えつつ日夏を追って走るが、日夏の見事な走りっぷりに追いつけず、傷心のまま東京から戻ることになる。
 かねてから親しくしていた銀行員・倉田(長谷川初範)が転勤することになり、最後のデートの後、二人は婚約(道子の脳内婚約?)。だが、琵琶湖畔で笛を吹く謎の男(隆大介)にふたたび出逢った道子は、運命的なものを感じ、「やはりこの人。私はどうして倉田さんと……」と後悔する(早すぎる!)。そして謎の笛吹き男は、笛と琵琶湖にまつわる伝説を語り始めた。この時点で映画が始まって2時間もたっているのだが、突如時代劇に突入! 実際のお市の方に仕えた「みつ」という女性と、笛吹き男の先祖の悲恋が描かれる。みつと自分を重ね合わせる道子だが、「もう遅いわ! 私は運命に従わずに倉田さんと結婚するの」。
 倉田との結婚を控え(脳内ではなかったのか?)、最後の客を取る道子の前に現われたのは、なんと日夏。逆上した道子は、シロが殺された凶器の出刃包丁を手に、日夏を追いかけ始めた(!)。東京では負けたが今度こそと、町中をじゅばんと日本髪のまま走って日夏を追う道子(怖いヨー(;´д`))。2人ともヨレヨレになり、もはや当初の目的などよくわからなくなりつつもマラソンバトルは止まらない。ついに敵を追い詰めた……と思ったらなぜか追い越し、「やった! 勝ったわ!」(笑)。しかしそれだけでは飽き足らず、出刃包丁で日夏の腹を刺し復讐を遂げるのだった。
 ここまでも相当に変なストーリーなのだが、ラストがまたスゴイ。実は宇宙開発の仕事に携わっている笛吹き男が、打ち上げられたスペースシャトルから船外に出て地球を眺めると、そこには異常に大きな琵琶湖が。その上に例の笛を重ねて置き、「永遠にこの笛は琵琶湖の上で回りつづける。数千年たって琵琶湖が干上がり、幻の湖になったとしても……」。そんなわけないのは中学生でも分かるゾ!
 偉大な脚本家が撮った超大作カルト映画として、DVD発売以前も名画座やミニシアターでかかるたびに満員の客を集めていたそうだが、ほんっっとに変な映画だ。とにかく長〜い映画で、前半のもっさりした展開にはややダレるが、シロが殺されてからの道子の尋常ではない言動と、先が読めない展開に目が離せなくなる。「走るトルコ嬢」「犬」「女スパイ」「復讐」「運命の相手」「宇宙」などというてんでばらばらのプロットが詰め込まれ、それらがしっくり融合することなく消化不良を起こしているので、テーマが何だったのかさっぱりわからないままである。
 本編では「シロ」という素っ気ない名前の犬だが、スタッフロールに出てくる本名「ランドウェイ・KT・ジョニー号」もわけわかんなくて良し。

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posted by bambi at 21:45 | LOG #ま-も
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