2004年06月16日

小さな中国のお針子(2002/フランス/監督:ダイ・ジージエ)

 1970年代、文化大革命に揺れる中国では、知識層の若者が山奥に送り込まれ、農作業に従事させられる再教育が行われていた。共に親を医者に持つマオとルーも、毛沢東を崇拝する村人たちの暮らす山奥の小さな村に送られ、過酷な農作業をこなす日々を送ることとなる。その村で、唯一の仕立て屋の孫娘で「お針子」と呼ばれる美しい少女に出会い、たちまち恋に落ちる2人。禁止されている書物を盗み、文盲のお針子に読み聞かせるうちに、少女は自我に目覚め、閉ざされた村の暮らしに疑問を抱き、一人、村を去っていく。
 文革への批判というようなニュアンスは薄く、美しく壮大な中国山間部の自然を舞台に、あくまでも2人の青年とお針子(ドリカム状態!)の恋物語を描いた、詩的でノスタルジックな映画。お針子は美しく知識欲も旺盛で魅力的だが、意外と一筋縄ではいかないしたたかな少女で、一人でさっさと村を出ていってしまう強さを持っている。村を捨てたお針子のその後は描かれず、もしかしたら都会で堕落してしまったということも考えられるが、人生を変えてしまうような本(バルザック)と出会えたことはとても幸せなことではないだろうか。村人たちは善良で従順だが、近代文明から隔絶されたミニチュア社会主義国の村で何も知らずに暮らしていくのも、それはそれで平穏な人生だったかもしれず、どちらが最良の人生なのかはわからないが、同じく閉鎖的な田舎の暮らしが嫌で故郷を捨てた人間としては、お針子の選択を応援したいなぁ。
 マオ役の青年は、「山の郵便配達」でもみずみずしい演技が光っていた。

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posted by bambi at 21:09 | LOG #た-と
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