2002年02月25日

クリクリのいた夏(1999/フランス/監督:ジャン・ベッケル)

 時代は第一次大戦と第二次大戦の間、フランス片田舎の沼地に住む人々の美しく素朴な生活を描いた傑作だが、惜しむらくは邦題。クリクリとは、この物語を思い出として語る老婆(思い出の中では5歳の女の子)の名前なのだが、とくにこのクリクリが主役というわけではないし、タイトルと内容が全然合っていないヨー。
 復員兵のガリスは、ふと立ち寄った沼地で死にゆく老人から小屋を譲られ、そこに住み着くことになる。隣人は怠け者で少しおつむの弱いリトン(クリクリの父)。彼の無神経さに振り回されつつも、彼との友情は固く、彼の家族のことも心配で沼地を離れられないガリス。沼地の豊かな恵みで自給自足の生活を送る彼らは、ときには摘んできたスズランや雨上がりにとったエスカルゴを売り、ときには家の軒先で歌を唄って収入を得、気ままで自由な暮らしを送っている。そんな自由人の彼らを憧れのまなざしで見る、資産家で働いたことがないアメデや、かつては沼地で暮らしていたが、今では成功し大きな会社も持ちながら沼地に強い郷愁を感じているペペなど、美しい自然と人間味あふれる人々の交流を描いた、あたたかく心に染み入るような物語。
 すべてがクリクリの思い出のなかで、あるいは美化されているかもしれないと断りつつ、あくまでも過ぎ去った美しい思い出として描かれているところがウマイと思う。ノスタルジックで切なく、ラストはホロリとさせられる。地味だが忘れられない映画になるだろう。

人気blogRanking ≪ひっそり参加中。よろしかったらclickしてって下さい。
posted by bambi at 14:05 | LOG #か-こ
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。