2006年05月19日

実録 阿部定(1975/日本/監督:田中登)


“田中登の官能美学”にて。
これよりしばらく、えろくてぐろいえいががつづくので、よいこのみんなはおとなになってからみてね。

あまりにも有名な昭和の猟奇犯罪、“阿部定事件”を映画化。四畳半という空間で繰り広げられる愛欲のさまと、愛憎の果ての男根切除までを描く日活ロマンポルノの名作。昭和11年。料理屋“吉田屋”の主人・石田吉蔵(江角英明)と女中の阿部定(宮下順子)。二人は定が吉蔵の店で働くようになって知り合い、間もなく互いに惹かれ、関係を持つようになる。やがて、吉蔵の妻に知られてしまった二人は、荒川・尾久の宿にこもり何日もひたすら情事にふけるのだったが…。

本編中、約8割はひたすら情事にふけっている吉蔵と定。マムシみたいな人たちである。
「外の光が邪魔なのよ」と外の世界に背を向け、吉蔵の匂いが逃げるからと雨戸も開けさせない。待合の小さな一室は、過去も未来もないふたりきりの小宇宙と化した。
昼も夜もなくまぐわい続けるふたりの姿からは、スクリーン越しにもすえた匂いが漂ってくるようで、あまりの濃密さに頭がクラクラしてくる。

石井輝男の「明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史」に晩年の阿部定の貴重なインタビューシーンがおさめられているが、かわいらしい雰囲気をもった品の良い老婆で、若いころはさぞかし男好きのする容姿であっただろうと思わせる。(※事件当時の写真はこちら
天真爛漫な宮下順子の演技は、男に溺れ、溺れさせる魅力に満ちている。事件があまりに猟奇的で衝撃的であるために妖婦と呼ばれるが、吉蔵への強い情愛を思うとき、誰よりも情が深く寂しがりやのあわれな女の姿がみえてくるのである。

評価:★★★★☆

阿部定事件・予審調書(全文)

実録 阿部定

宮下順子 田中登 江角英明 坂本長利 花柳幻舟 ジェネオン エンタテインメント

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posted by bambi at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(1) | LOG #さ-そ
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