2006年05月02日

江戸川乱歩の陰獣(1977/日本/監督:加藤泰)


“激情とロマン 加藤泰 映画華”にて。

推理作家の大江春泥から脅迫状を受け取った小山田静子(香山美子)は、夫婦の性生活が克明に描かれていることに恐怖を覚えた。彼女は、同じく推理作家の寒川(あおい輝彦)に助けを求める。だが第二の脅迫状通り、夫は殺されてしまう…。乱歩の世界観だけでなく、そのストーリーをも完全に映画化している。

“陰獣”は乱歩の中で最も好きな作品だ。
トリックや謎解きはたいしたことないが、乱歩自身の投影ともいえる大江春泥の不気味な存在感、生々しく濃厚な愛欲描写、怪奇幻想作家たる大乱歩のディープな世界観にどれだけ耽溺したことか。
乱歩映画はたくさん作られているが、いろんな原作のツギハギだったり、大胆に脚色されてたりと、原作に忠実な作品ってあんまりないように思うのだが、本作はほぼ原作どおりと言って良い。
船つき場の便所に死体が流れ着き、用を足そうとした老女(菅井きん)が便器から覗く死体に仰天し大騒ぎになるくだりまできっちり再現されているのは感動だ。

複雑な原作を丁寧に追っているが、全体の尺とのバランスが悪いためか、展開がわかりにくい面もある。
しかし、耽美な映像美で、密度の高い世界観が構築されており、乱歩の映像化としてはきわめて完成度が高い。

倒錯趣味をもつ男女が碁石を打つ音を鞭の打擲の音にダブらせ、次第に隠微な空気になっていくシーンと、真っ赤な部屋であおい輝彦と香山美子が激しく対立するクライマックスが圧巻。ありゃあプレイの一環だね。いわゆる言葉責めってやつ?

評価:★★★☆☆
江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣
江戸川 乱歩

光文社 2005-11-10
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posted by bambi at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(1) | LOG #あ-お
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Excerpt: 江戸川乱歩の小説は、その冒頭がつくづく素晴らしいと思う。これから始まる怪異譚の世界へと誘うには 出来すぎと言っていいくらいシビレル前口上なのである。 ◆今回もシビレル前口上 “この世には、五十年..
Weblog: 飾釦
Tracked: 2006-05-03 21:32
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