2006年03月26日

ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005/アメリカ=加/監督:デヴィッド・クローネンバーグ)


久しぶりの吉祥寺。上映時間まで井の頭公園を散策したり、心地よい時間を過ごした。
しかしまぁ、桜もまだほとんどつぼみだというのに、園内は気のはやい花見客でみっしり。来週末あたりがピークかな?

hov.jpgインディアナ州の田舎町で小さなダイナーを経営するトム・ストール(ヴィゴ・モーテンセン)は、弁護士の妻エディ(マリア・ベロ)と2人の子どもとともに穏やかな日々を送っていた。そんなある夜、彼の店が拳銃を持った2人組の強盗に襲われる。しかしトムは驚くべき身のこなしで2人を一瞬にして倒してしまう。店の客や従業員の危機を救ったトムは一夜にしてヒーローとなる。それから数日後、片目をえぐられた曰くありげな男がダイナーに現われ、トムに親しげに話しかける。人違いだと否定するトムだったが、トムの過去を知るというその男は、以来執拗に家族につきまとい始める。

…コナン・ドイルの「恐怖の谷」かと思いました( ゚Д゚)
「恐怖の谷」は、過去に追い詰められた男と、その過去のエピソードが2部構成になっているのが秀逸なのだが(といってもシャーロック・ホームズの長編4作中、最も人気がない…私ゃ好きなんだけどなぁ)、本作はトムの“ジョーイ”時代がまったく描かれないためか、トムの贖罪意識に感情移入がしづらかった…というか、突然思いもよらない事態に陥った家族と同じ目線でトムを見るように、あえてそういうつくりになっているのかも。
トムよりも、家族の側にたって、同じ立場だったら…と自問するのが正しい見方かもしれない。
どっちにしろ、ジョーイ時代は相当大暴れしていたようなので、具体的な暴力描写はちょっときつかったかもね。有刺鉄線で眼をえぐるシーンなんか見たくありません。

身近な人の思いもよらない過去が発覚したら。
私は、15年ほど前に世間を震撼させた“女子高生コンクリート詰め事件”の犯人の一人が、現在は普通に結婚して子どもがいると知ったとき、よくわからない怒りと、どうにもやるせない思いが交錯したことを思い出した。
本作の主人公・トムが身を置いていたのがギャングの裏社会であるため、妻の葛藤に共感しづらいのだが、これが例えば日本で起きた、誰もが知っている殺人事件の犯人の妻だと仮定してみると、また違う見方になるのではないだろうか。そしてそれを知らされずに結婚したとしたら…。
過去は過去だと割り切ることは難しいに違いない。

トムの妻エディの職業が弁護士だというのは絶妙な設定だなぁと思った。正義感は人一倍強いだろうし、いろいろと残酷な事件も見てきているかもしれない。弁護士といえども、殺人を犯した被告に嫌悪感を抱くこともあるだろう。それでも手を尽くして被告を救うのが仕事だ。
この夫婦の今後の展開に、意外とエディの弁護士という職業意識はキモになるかもしれない。

ところで、トム役のヴィゴ・モーテンセンって、マイケル・ダグラスに似てるね。私はマイケル・ダグラスが苦手。ヴィゴもやや受け付けない役者になってきた…。

評価:★★★☆☆

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posted by bambi at 23:59 | Comment(10) | TrackBack(25) | LOG #は-ほ
この記事へのコメント
今晩は TB有難うございます♪
お返ししようと思いましたが、同じSEESEAブログなのに出来ないようですので、リンク貼らせて頂きました。どうぞよろしく。
15年近く一緒に寄り添った夫にそんな過去があったと知ったら今までどおりでいられるか・・自信ありませんね(笑)
Posted by マダムS at 2006年03月29日 19:11
■マダムSさま
私はコンクリ詰め事件にトラウマ的衝撃を受けた世代なのですが、犯人のその後を知ったとき、友人と「ヨメは知ってんのかなぁ?」「知ってたら一緒にいられないよ。愛情以前に、人間的に許せないと思う」という、まさにこの映画の感想みたいな話をしたのです。

女は一旦嫌悪感を抱いたら見切るのも早いと思うのですが、母親という立場的にそういうわけにもいかないのかなぁ。
女は「私が彼を悪の道から救い出したのね」っていうストーリーに弱いですし。

私の評価が高くないのは、そもそもあんな殺人鬼が女に出会ったくらいで変わるか? となんかしっくりこなかったんですね。
殺人鬼でこそありませんが、人を平気で傷つける人間を見て育ったので、そういう人間が穏やかで良き父親になるとは信じられません。
そんなに簡単に暴力的性質がおさまるのであれば、この世に暴力で苦しむ人間も減るでしょうに…

暴力男も人殺しも嫌です。たとえ過去のことであっても。
Posted by bambi@管理人 at 2006年03月29日 21:53
井の頭公園の水辺のお花見は気持ちいいですよね。
マイケル・ダグラスは苦手ですが、ヴィゴは好きですー♪
Posted by かえる at 2006年03月30日 00:20
■かえるさま
井の頭公園たまに行くんですが、ゴミ箱がないのは、もしかしてバラバラ事件の影響なんでしょうか?( ゚Д゚)

ヴィゴ人気ありますね。
私はそもそも、アゴワーレが苦手なんですよね…
Posted by bambi@管理人 at 2006年03月30日 00:42
TBありがとうございました☆
冒頭の回想風シーンとラストが印象的でした。
過去を知った家族はどうなったんでしょう。
Posted by Ren at 2006年03月30日 06:44
■Renさま
私は崩壊するんじゃないかと思いますが>あの家族。
そのほうがトムの贖罪にもなるでしょう。

暴力の連鎖は愛じゃ止められないと思いますが,トムは自覚があるので可能性はあるかもしれないです。あとはヨメ次第かな。
しかし,一旦嫌悪感を抱いた男とそのままやっていけるんでしょうか…。
まぁセックスできれば平気かな。
Posted by bambi@管理人 at 2006年03月30日 09:20
bambiさん、こんにちは。TBありがとうございます。

なかなか面白い設定だったですよねえ。
それに、自分の夫が殺人者だったら・・と考えるとその時に
ならないとわからない。。という感じです(*_*;)
ほんっと、今までの幸せな生活はなんだったの!?って感じでしょうねえ。

ヴィゴ・モーテンセンをみながら、私は「年とったらエド・ハリスみたいになりそう」
と勝手にエド似説を思いました^^
また、遊びに来て下さいね!
Posted by へ−ゼルナッツ at 2006年04月01日 07:55
■ヘーゼルナッツさま
浮気も実は殺人者だったというのも、結局は「嘘をつかれていた」ことを許せるかどうかですよね。
大きな嘘であるほど、付随してたくさんの小さな嘘で塗り固められているはずです。
私自身は、あまり大きな嘘はつけないタイプなので、人間不信に陥ってしまうかもしれません…
Posted by bambi@管理人 at 2006年04月02日 09:27
はじめまして、ねむりねこと申します。

私も同じ映画館で見ました。公園の桜は随分散りかけてました。
マイケル・ダグラスとヴィゴでは中身が大分違うと思いますよ。
TBのさせていただきました。
本当に血なまぐさい世の中ですね。

Posted by ねむりねこ at 2006年04月14日 05:07
■ねむりねこさま
マイケル・ダグラス似てのは禁句でしょうか…?Σ (゚Д゚;)

吉祥寺は好きな街です。
桜見に行きたかったのですが、人がすごそうだったのであきらめました…
Posted by bambi@管理人 at 2006年04月16日 01:17
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