2006年03月15日

マンダレイ(2005/デンマーク=スウェーデン=蘭=仏=独=米/監督:ラース・フォン・トリアー)

シャンテ シネ@日比谷】

レディースデイなのに、劇場は思いのほか空いてて拍子抜け。
昨年のディア・ウェンディ(2005/デンマーク/監督:トマス・ヴィンターベア)(トリアー脚本)も、心配になるほどガラガラだったしねぇ。
トリアーって、人気があるのかないのかよくわかんないね。

manderlay.jpg1933年。ドッグヴィルをあとにしたグレース(ブライス・ダラス・ハワード)は、父親らと共に新たな居住地を求めてアメリカ深南部へとやって来る。やがて“マンダレイ”という名の大農園にたどり着いた彼らは、そこで驚くべき光景を目にする。白人が黒人を鞭打っていたのだ。70年以上も前に廃止されたはずの奴隷制度がここには残っていた。グレースは黒人たちを今すぐ解放し、彼らに自分たちの権利と民主主義を教育しなければならないとの使命感に駆り立てられる。そして、父親の制止を振り切りさっそく行動に出るのだったが…。

アメリカ3部作の第2弾となる本作は、前作ドッグヴィル(2003/デンマーク/監督:ラース・フォン・トリアー)よりややパワーダウンとの評が多いようだが、いやいやどうして、良いじゃないの。個人的には、前作に勝るとも劣らないと感じた。
前作から踏襲された、殺風景な舞台装置(セットなし)のパンチ力が薄れたのはしょうがない。単に観客が慣れちゃっただけである。
このスタイル、一瞬で村全体が見渡せて、主要人物がどこで何をしているのか一目瞭然という、神の視点をもたせる効果がある。ドッグヴィルやマンダレイの矮小さや閉塞性が劇的に際立ち、ホントに感心してしまう。ほんのちょっとだけ、宇宙から地球を見おろす神の気分が味わえるのだ。

それにしてもグレース嬢はドッグヴィルで一体何を学んだのやら。
権力を行使し単純に理想を押し付けるのみで、複雑怪奇な人間心理や事象の本質を見極めようとしない。むしろ一層バカになってしまったかのようであるw
受けるイメージも、ニコール・キッドマンの演じた前作のグレースとの連続性は薄いが、同人物だったらかえって違和感があったかもしれないほどキャラが変わっている(退行してるw)気がした。

グレースの浅はかさは、そのまんまアメリカの矛盾である。
正義感が強くて一本気、権力もあって頼りになりそうだけれど、実際は視野が狭くて価値観の多様性が認められない。
なにごとも原因があって、結果がある。己の価値観にそぐわない結果だけを見て短絡的に決め付けるのは、愚か者のすることだなぁと考えさせられた。

毒っ気たっぷり、あとをひく作品。

評価:★★★★☆

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posted by bambi at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(14) | LOG #ま-も
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