2006年03月14日

死者の書(2005/日本/監督:川本喜八郎)

岩波ホール@神保町】

sishanosho.jpg8世紀半ば、奈良の都。平城京の大貴族、藤原南家の姫、郎女(声:宮沢りえ)は“称讃浄土経”を一心に写経し、仏の教えに帰依していた。春分の日、郎女は二上山の上に荘厳な俤びとの姿を見て、千部写経を発願する。1年後の春分の日、郎女は、千部目の最後の文字を書き終えると、激しい雨の中、俤びとに導かれるように、ひとり西へ西へと歩き、二上山のふもとの當麻寺にたどりつく。
そこで郎女は、當麻の語り部の媼(声:黒柳徹子)から、50年前に処刑された悲劇の人、大津皇子(声:観世銕之丞)の話を聞かされる。皇子は死の直前に一目見た女性、耳面刀自への執心から亡霊となってこの世に甦った。皇子の霊にとっては、郎女が耳面刀自と映ったのだ。やがて郎女には、夜更けに現れる皇子の亡霊と俤びとが重なり、その寒々とした身を被う衣を作ろうと、ひたむきに祈りながら蓮の糸で布を織りはじめる。

かなり難解な作品。川本喜八郎および奈良時代に興味のない人は観ないほうがよろしい。
伝奇小説好きな私は、この時代わりと好きなので、バックグラウンドは無問題。
ストーリーは充分ついていけたし、人形アニメの美しさもあり最後まで引き込まれて観たが、解釈は難しかった。そもそも折口信夫の原作が相当難解なもので、川本喜八郎も読み解くのに10年かかっているそうだ。

アチラの映画や小説をみると、つくづく欧米社会はキリスト教という大前提のもとに成り立っているんだなぁと感じる。すべてにおいて、宗教観が基盤となっている。
日本人にはいまひとつ実感しにくい価値観だ。この作品が難しく感じるのは、時代背景よりもそっちのせいかもしれない。自国の宗教観や死生観についての理解が難しいと思うなんて、ちょっぴり寂しくなってしまったのは私だけだろうか。

人形アニメの表現、心理描写は素晴らしいの一言につきる。
ナチュラルに風に舞う衣装や髪の繊細な表現にはっと息をのみ、眼を奪われる。
表情のない人形たちから伝わってくるひたむきさ、優しさ、“おもい”の激しさ。どうしてこんな表現が可能なんだろう。
…私はすっかり、川本喜八郎の人形たちから発せられる生々しい情操に魅入られてしまったようである。

岩波ホールって初めて行ったのだが、すごい独特な劇場だね。
雰囲気も客層もレトロ。年配の女性の多いこと。いつもこんな感じなのかしら。
それと、スタッフの対応がとてもよかったです。好印象。

評価:★★★★☆

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posted by bambi at 23:58 | Comment(1) | TrackBack(4) | LOG #さ-そ
この記事へのコメント
トラックバックありがとうございます。
人形ならではの表現が素晴らしかったですよね。
わたしも「川本喜八郎の人形」の魅力にはまりました。
「Respect 川本喜八郎」の企画も素晴らしかったです。観られてよかった。

岩波ホールは、久しぶりに行きましたけど、以前よりもキレイになってました。
いつも年齢層高めの客層かもしれません。
Posted by いわい at 2006年03月15日 08:29
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