2006年03月04日

刺青 SI-SEI(2005/日本/監督:佐藤寿保)


si-sei.jpg来栖精像(弓削智久)は、芸術作品として後世に伝えられる刺青を残したいと考えていた。ある日、彼は大学院で錦絵の研究に携わる女性・雨宮美妙(吉井怜)と出会う。精像は美妙を誘拐監禁して刺青を彫らせるよう迫るが、やがて錦絵の魅力と刺青の持つ魔性に取りつかれた美妙は、逆に最高の刺青を彫ることを要求するのだった。そして遂に、見事な“八重垣姫”の刺青が完成する…。

とりあえず、ビデオ画像が哀しいほどに安っぽい。
刺青をほどこされる吉井怜の苦悶の表情と喘ぎ声はなかなかそそられるが、それ以外の演技が鼻につく。観念的なセリフ廻しがまったくおぼついてないしね。これは弓削智久も同様。

谷崎潤一郎の原作は読んだことがないが、監禁する男とされる女の関係性が次第に逆転していくという、乱歩の“盲獣”を彷彿とさせるプロットには期待していた。しかし、たいして心理的プロセスも描かれないまま、女は早々にそちらの魅力に目覚めてしまう。
ここらへんの心理描写が本作のキモになるはずなのだが、肝心なところが粗く、説得力にとぼしい。

ふたりの関係の設定も唐突だし、刺青コレクションのくだりもよくわからない。
結局、何が言いたかったんだろう?

吉井怜がそちらの魅力に目覚めるアイテムとして、月岡(大蘇)芳年・落合芳幾、そして丸尾末広・花輪和一の“血みどろ絵”が使われているのには興味を引かれた。
幕末の浮世絵師、芳年と芳幾は“英名二十八衆句”をはじめ、凄惨なシーンを描いた血なまぐさい絵を数多く残している。これらは血糊の質感を出すために絵具に膠を混ぜているという凝りようで、後年の“その筋の人々”に多大な影響を与えている。
丸尾末広・花輪和一は嫌いじゃないけれど、彼らの“新英名二十八衆句”を同列に扱っているのは違和感をぬぐえない。観客は何にも分からないと思っているのかね。

新英名二十八衆句”、復刊されないかなぁ。

評価:★★☆☆☆

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posted by bambi at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(2) | LOG #さ-そ
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