2005年12月18日

ディア・ウェンディ(2005/デンマーク/監督:トマス・ヴィンターベア)

アミューズCQN@渋谷】

ラース・フォン・トリアー脚本と知って俄然興味の沸いた本作だが、集客率は今ひとつのようで、劇場はガラガラ。ゆったり観られてよかったんだけど、ちょっと寂しいねぇ。

dearwendy.jpgアメリカの小さな炭坑町。今、僕は愛する“ウェンディ”への別れの手紙を書いている。何でこういうことになったか…。話は初めて僕がウェンディに出会ったころに遡る。スーパーで働くディック(ジェイミー・ベル)がふとしたきっかけで購入した玩具の銃。しかしそれは本物の銃だった。友人のスティーヴィーとともに射撃練習を始めたディックは、銃をウェンディと名付け、恋人のような一体感を感じる。銃を片時も放さないようになった2人。ディックは町の負け犬たちを誘い、銃を持つことによって自信をつけさせようとする。

監督は別人でも、トリアー色の色濃い本作。
話が進むにつれ、舞台である炭鉱町があまりに小さいことに驚く。独特の閉塞感が、ドッグヴィル(2003/デンマーク/監督:ラース・フォン・トリアー)を彷彿とさせる。
小さな町で、コンプレックスと疎外感を味わっていた子どもたちが、銃を手にしたことにより、自信と優越感を持ちはじめる。
子どもたちは“ダンディーズ”というチームを作り、廃炭鉱で集会を開くようになる。だんだんと儀式が仰々しくなり、銃を神格化させていくさまは、あまりにも幼稚で滑稽。本来の自分では生き辛い現実から逃避し、ファンタジーの世界にのめり込んでいくのが痛々しい。
こういう秘密結社ごっこは子どもにとっては魅力的で、それだけなら他愛のない遊びだが、何しろ本物の銃を扱っているのだから穏やかではない。
いつでも人を殺せる道具を懐に忍ばせていれば、誰でも気が大きくなるし、堂々とふるまえるだろう。
死なないと分かっていて車に飛び込むのは、勇気とは言わないのだ。

“正義の名のもとに銃を持つ”だなんて、どう考えたって矛盾している。
自分たちが見下されないよう、無言の脅しをかけるのが正義?
武力を誇示するものを、武力で叩きのめすのが正義?
“平和のための銃社会”“平和のための核武装”、何かが間違っている。いつか必ず破滅に導くことがわかっているのに、借り物の鎧をまとわずにいられない。
人間って、なんて愚かで弱いんだろう。

評価:★★★★☆

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posted by bambi at 23:59 | Comment(4) | TrackBack(17) | LOG #た-と
この記事へのコメント
こんばんはぁ♪
TB、ありがとうございました。
アミューズCQNも空いていたのですね。
ワタシはシネカノン有楽町に行ったのですが
レディースデイだというのにガラガラでした。

bambiさんが言われるように、トリアー監督の色濃い作風でしたね。
舞台も「ドッグヴィル」の白線に建物を建てたような感じでしたし。
この映画はいろんなメッセージがあると思いますが、、
それにしても、命を落とすまで守ることだったのかと思いましたですよ。
若さゆえと、彼らの美学がそうさせたのかと思いますが。
ポリスも情け容赦ないですね、、まさにアメリカですね・・・・・
Posted by Puff at 2005年12月19日 21:32
>Puffさま
アミューズCQN、「おっ、けっこう人いるなぁ」と思ったら、ほとんどブラックジャックのお客さんでした( ゚Д゚)
ウェンディは5人くらい…

あの狭すぎる町は非常にドッグヴィルっぽかったですね。同じく炭鉱町ですし。
アメリカ批判という意味では、ドッグヴィルよりさらにストレートでわかりやすいものでした。

トリアー脚本ということを知らなければ観なかった映画ですが、非常に印象強い1本でした。
Posted by bambi@管理人 at 2005年12月19日 23:47
はじめまして。TBありがとうございます。
私はシネカノン有楽町で観ました。「混んでるかな〜」と思ったんですけど…、大作映画に人は流れたようですね。
私はディックの言う「pacifism」が妙に心に残っています。う〜ん。(・〜・)帰り道考え込みました。
Posted by tomo at 2005年12月20日 12:44
>tomoさま
pacifism=平和主義でいいのでしょうか。
私は、ディックの言う平和主義とは、銃を持ちたいがための口実としか受け止められませんでしたが、浅いのかなぁ。

個人的には観てよかった一本ですが、こうもガラッガラだと心配に(´・ω・`)
上映も早めに切り上げられちゃいそうですねぇ。
Posted by bambi@管理人 at 2005年12月20日 19:33

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