2006年02月28日

§三池崇史監督 インプリント

いやこれ、まったく知りませんでした。
志麻子サンの「ぼっけえ、きょうてえ」が三池崇史監督により映像化されているではないか!

MovieWalker レポート 【動画・完成披露記者会見レポート】※動画は近日UP予定 三池崇史監督が「マスターズ・オブ・ホラー」に認定されたぞ 伝説の男トビー・フーパー監督と“師弟”の絆を固め合ったのだ
 これは、もう事件だ! チョモランマ登頂、いや極北走破とでも言うべきか。“キング・オブ・バイオレンス”三池崇史監督がついに映像表現の到達点を極めた。世界の名だたるホラー監督13人が集結した恐怖アンソロジー「マスターズ・オブ・ホラー」の一編として創られたアジア代表・三池監督の「インプリント ぼっけえ、きょうてえ」はホラー映画というジャンルを凌駕し、映倫はおろか映像表現のボーダーライン、人間としての道徳観、倫理観にまで刃物を突き付けている。
〜中略〜
 原作である岩井志麻子の短編小説「ぼっけえ、きょうてえ」は岡山弁で「とっても怖い」の意味。原作の岡山弁が映画では全編英語の台詞になっているが、恐怖のありとあらゆる要素が詰め込められている。まさに恐怖のロイヤル・ストレート・フラッシュ状態。
 放送コードのゆるい米国のケーブルテレビ向けコンテンツとして創られ、すでに放送された「マスターズ・オブ・ホラー」だが、なんと三池監督の「インプリント」はあまりにもタブーに挑み過ぎたために13作品中唯一放送中止になった問題作なのだ。

わわわわ、すげぇ怖そう。
岡山県に偏見を持たせることにかけては、横溝正史と双璧の岩井志麻子の代表作に、DEAD OR ALIVE 犯罪者(1999/日本/三池崇史)極道恐怖大劇場 牛頭(2003/日本/監督:三池崇史)の監督である。
こりゃ期待せずにはおれませんて。

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭でワールドプレミアがあり(2/25)、その他、CS放送(ヤッタ!)、DVD発売は決まっているらしい。一般公開は未定。

とりあえず、CS放送は何が何でも見なくては。
ぼっけえ、きょうてえぼっけえ、きょうてえ
岩井 志麻子

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2006年02月25日

Respect 川本喜八郎 #Bプログラム

ユーロスペース@渋谷】

NHK人形劇で知られる川本喜八郎氏の、繊細で艶めかしい人形アニメが堪能できる、貴重なプログラムである。

セルフポートレート

旅 〜2006 Remix Ver.〜
シュールな切り絵アニメ。キャラクターのファッションに時代的センスが感じられるのが面白い。

詩人の生涯
安部公房原作の切り絵アニメ。いわゆるプロレタリア文学? 暗いよう。
これまたシュールな内容だが、「ジャケツ!」(なぜか“ジャケット”ではない)がやたら印象に残る。ジャケツ!

火宅
優しすぎた乙女が、男たちの愛を選びかねて…。何の罪もないのになぜ地獄に?
不条理三部作の最高峰といわれる人形アニメ。
細部までこだわった精緻な人形表現は息をのむ美しさで、短編ながらその深い内容にも驚く。
求愛する若者2人のどちらも選べず、自ら命を絶ってしまう乙女。彼女の愚かな優しさは誰も救うことなく、皆が地獄に堕ちた。
乙女は自分の罪に気づかぬまま、永遠に地獄の業火に焼かれ続ける…。
乙女が川辺で烈風に吹かれるシーンなど、とても人形アニメとは思えない。髪や衣服の乱れで、風の激しさが伝わってくる。人形アニメの域を超えた、素晴らしい作品。

いばら姫またはねむり姫
岸田今日子作のおとなの童話。母と同じ男を愛してしまった姫君の悲しみ。
激しくエロティックな“いばら姫”の物語。
うつろな瞳に情念をたたえた人形たちの営みは、ファンタジックな愛らしさと不気味さをかもし出す。
なんといっても、人形のベッドシーンが衝撃的。その妖しさ、艶めかしさには参った。これまでに観たどんな映画よりもエロスを感じたね。
ひねりのきいたストーリーも毒があって、見ごたえ充分。

NHKの「平家物語」がDVDボックス化されるらしい。
こ、これはすごい。欲しい! 平家貯金を始めなければ。

▼関連エントリ
Respect 川本喜八郎 #Aプログラム (06/3/11)
Respect 川本喜八郎 #特別プログラム (06/3/17)

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2006年02月22日

RIZE(2005/アメリカ/監督:デヴィッド・ラシャペル)


rize.jpg研ぎ澄まされた肉体を激しく振り動かして踊る最先端のダンス・スタイル“クランプ・ダンス”に人生を掛ける人々の姿を活写した長編ドキュメンタリー。全米でもっとも危険な地区とも言われるLAのサウスセントラル。犯罪と暴力に溢れ、死と隣り合わせのこの街で、若者たちが生き残る唯一の手段、それが“クランプ・ダンス”だった。本作は、そんなクランプ・ダンスを通して子どもたちに生きる意味を教えるトミー・ザ・クラウンの活動と、彼が主催するダンスバトル大会の熱気をヴィヴィッドに映し出していく。

私は、音楽に関してはクラシックもヒップホップも同レベルに興味のないプチ欠陥人間。
口に出しては言わないが、音楽なんてこの世になくてもいいと思っている。
それでも、どういうわけか音楽にビジュアルが加わるダンス映画やミュージカルはすごい好きだったりするので、この映画それなりに楽しめました。

こんな私でも興をそがれることなく引き込まれたのは、やはりダンスに人生そのものをぶつける若者たちのバックグラウンドが丁寧に描かれているから。
日常的に犯罪と暴力の渦巻く街で、そちらに流されず踏みとどまるのは並大抵のことではないと想像する。おそらく、そうやって生きていくほうが楽だから。
しかし、彼らは幸いなことに、それ以上に魅力があり、全力で打ち込めるものを見つけた。
全てを忘れ、トランス状態になって踊っている彼らが正直とても羨ましく、崇高にさえ見えてくる。

圧巻は、クランプ・ダンスを踊る現代の若者と、彼らの祖先の原始の踊りがオーバーラップするところ。意識的なのか無意識なのか、彼らは自らのルーツに繋がるダンスに生命を燃やしているのである。
一見、とても攻撃的に見えるダンスだが、実にスピリチュアルで、あらゆるものへの敬意や畏怖が内包されているように思えるのは気のせいではないようだ。

フォトグラファーである監督の映像は、言葉にし難いほど美しい。
晴れ渡った青空と、なめし皮のように美しい肉体のコントラストが眼にしみるほど眩しく、こんな映像、ちょっと観たことないかも。

評価:★★★☆☆

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2006年02月19日

転がれ!たま子(2005/日本/監督:新藤風)

シネアミューズ@渋谷】

tamako.jpg美容室を経営する母(岸本加世子)と高校三年生になる弟(松澤傑)と暮らしている24歳の桜井たま子(山田麻衣子)。用心深いたま子はどこへ行くにも父お手製の鉄かぶとを欠かさない。そんなたま子のシアワセは、日進月歩堂のジイチャン(ミッキー・カーチス)が作る甘食(あましょく)。ところがある日、そのジイチャンが入院、日進月歩堂は突然の休業に。おまけに母はたま子の幼なじみ(与座嘉秋)と恋に落ち、弟や近所に住む父(竹中直人)も自分の夢に没頭してしまい、たま子は完全に一人取り残されてしまう。もはや誰もアテにはならず、追い詰められたたま子は甘食を求めて、ついに外の世界へと踏み出す一大決心をするのだが…。

イメージ的に、和製アメリ(2001/フランス/監督:ジャン=ピエール・ジュネ)だったらどうしようと思っていたのだが、しっかり主人公の成長物語になっていたのは好感が持てた。

確信犯的にこじんまりとまとまったストーリーは悪くないけれど、コメディとしては致命的なことに、全体的にテンポがよくない。そもそもゆる系コメディを目指したのかもしれないが、そういうことではなく、間が悪いのである。冗長な長廻しを多用しすぎで、だらだらした印象なんだよね。
風情のある下町の風景や、つかみどころのないキャラクターなど、素材はいい感じなので、いっそ別の監督にやってもらいたかった。

後からオフィシャルサイトの解説を読んで仰天したのだが、たま子24歳?!
…この設定はどうなんでしょ。
この歳でこのキャラは相当きびしい。不思議ちゃんではなく、ただのイタイ女である。
別に10代後半くらいの設定でも良かった気がするなぁ。24歳では、決して“女の子”とは呼べないと思うのだが…。

ところで、時々たま子の前に現われてアドバイスらしきことを言う少年は何だったんでしょう?
無事に外の世界になじんだたま子の、未来の子どもかなぁと思ったんだけど、結局よくわからないまま。少しくらいヒントくれ。

評価:★★★☆☆

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2006年02月15日

クラッシュ(2004/アメリカ/監督:ポール・ハギス)


crash.jpgクリスマスを間近に控えたロサンジェルス。黒人刑事グラハム(ドン・チードル)とその同僚でヒスパニックの恋人リア(ジェニファー・エスポジート)。銃砲店で不当な差別に憤慨するペルシャ人の雑貨店経営者ファハド(ショーン・トーブ)。白人に敵意を抱く黒人青年アンソニー(クリス・“ルダクリス”・ブリッジス)とピーター(ラレンズ・テイト)。地方検事のリック(ブレンダン・フレイザー)とその妻ジーン(サンドラ・ブロック)。差別主義者の白人警官ライアン(マット・ディロン)と同僚のハンセン(ライアン・フィリップ)。裕福な黒人夫婦キャメロン(テレンス・ハワード)とクリスティン(タンディ・ニュートン)。やがて彼らの人生は思いがけない形で交錯、大きく狂い始める…。

階層も人種も思想も異なるさまざまな登場人物が、ときにぶつかり合ったりすれ違ったりしながら、それぞれの人生が交錯していく群像劇。
同種の作品ではマグノリア(1999/アメリカ/監督:ポール・トーマス・アンダーソン)が有名だが、私のオールタイムベストに入るハピネス(1998/アメリカ/監督:トッド・ソロンズ)もこのスタイル。
私は強烈な毒のある映画が好みなので、心情的にはハピネスに軍配があがってしまうのだが、本作もまた素晴らしい脚本。
人種差別というわかりやすくてインパクトの強い要素がベースにあるため、ストレートに訴えかけてくるものがある。
といっても、単純に差別イクナイ! というシナリオにはなっていないのが本作の素晴らしいところ。
過激な差別主義者のバックグランド、差別される側の階層差から生じる意識の差、一見リベラルな青年の心の奥にひそむ偏見など、人間像の側面までしっかりと描かれており、鑑賞後はさまざまな思いが交錯する。
完全な善人はいないし、完璧な悪人もいない。清濁あわせのんで生きていく人間像がリアルで、ときに歯痒く哀しく、そしてあたたかい。

印象に残ったのは、ペルシャ人雑貨店経営者と鍵の修理屋一家のシークエンス。撃たれそうになった父親をかばった子どもを天使だと思い込んだオヤジ、救われたような穏やかなとってもイイ顔してます。

評価:★★★★☆

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2006年02月14日

着信アリ(2004/日本/監督:三池崇史)


女子大生・由美(柴咲コウ)が合コンに出席していた時のこと。彼女の友人・陽子(永田杏奈)の携帯電話が聞き覚えのない着信音で鳴った。確認すると、陽子自身の番号で発信され、伝言メッセージには彼女の悲鳴にも似た声が録音されている。また、着信は3日後の時刻という何とも気味の悪い現象だった。やがて3日後のその時刻、陽子はあのメッセージと同じ悲鳴を上げて転落死した。数日後には、同じ合コンの席にいたケンジ(井田篤)も自分の声の着信メッセージを受け、やがて陽子と同様の不可解な死を遂げる。そしてその恐怖は、由美の親友・なつみ(吹石一恵)の携帯電話にも及んでいた…。

深夜に一人で観てたんで、ホラー演出はそれなりにガクブルだったんだけど、シナリオはまったく評価できない。支離滅裂といってもいい。

リング」以来のフォーマットである“呪いの伝播ツール”として携帯電話が使われているわけだが、設定のための設定という感じで、ずいぶん無理がある。まず携帯電話という設定ありきで、理由や必然性を説明することを放棄している。
こういう安易な設定を見せられると、「リング」はやはりよくできているなぁと思う。

呪いの発生源である母子の関係に、幼児虐待や“代理ミュンヒハウゼン症候群”(愛する者を患者に仕立て上げ、献身的に世話をすることで他者の関心を引く)という凝った設定を用いているが、描きこみ不足で説得力があまり感じられない。こういう重いテーマを扱うのなら、きちんと描かなければ不見識な気さえするんだけど。

いろいろと矛盾の多い本作だが、最もよくわからなかったのは、なぜ被害者のゾンビが柴咲コウに襲いかかってきたのか。呪いを止めようとするんならまだしも。
幼いころ虐待を受けていた柴咲コウの記憶がフラッシュバックし、妄想の母親を受け入れることでゾンビがおとなしくなるのも、この時点ではアリかもしれないが、ラストまで観ると結局わけがわからない。

ところで、「自分の携帯番号から発信された未来時刻の着信を受けるとその時刻に死ぬ」のを防ぐには、最初のほうで女子高生の集団が言っていた「自分の番号を着信拒否」すればいいんじゃないの?
まぁ、携帯を解約して本体を処分しても、アカの他人の携帯に予告電話がかかってくるくらいだから無駄かもしれないけど、そこからさらに柴咲コウの携帯に呪いが移るのは都合良すぎである。携帯のメモリを通じて呪いが広がるという設定もここで破綻してしまい、じゃぁ何で携帯だったのかという最初の疑問に戻るのであった。

評価:★★☆☆☆
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2006年02月11日

サイレン FORBIDDEN SIREN(2006/日本/監督:堤幸彦)


siren.jpg29年前、謎のサイレンの音と共に一夜にして全島民が消失するという未曾有の怪事件が起きた夜美島(やみじま)。事件は未解決のまま、いつしか闇に葬り去られた――。すっかり平穏を取り戻した現在の夜美島に、病弱な弟の転地療養のためフリーライターの父と共に引っ越してきた天本由貴(市川由衣)。弟の担当医・南田豊(田中直樹)の案内で島を巡る由貴たちに粘り着くような視線を送る島の人々。引っ越しを手伝ってくれた隣家の里美(西田尚美)は、帰りぎわに“サイレンが鳴ったら外に出てはならない”と不可解な警告を由貴に残していく。しかしそれは、由貴が直面する数々の謎と恐怖のはじまりにすぎなかった…。

最後まで観ると分かるのだが、これ、結局ホラーではないんだよね。“サウンド・サイコ・スリラー”以上のものではなかった。
途中の演出はさておいても、このオチには愕然。やってはいけない禁じ手です。
今どきこんな安易なシナリオを見せられるとは思わず、映像や音響の良さなど消し飛んでしまった。

隔絶された離島、島民たちの奇妙な風習、人魚伝説など、ディティールはそそられるものが揃っているが、ストーリーに何も活かされていないため、コケオドシにすぎない。真に怖がらせたいのなら、余分なものは削ぎ落とさないと焦点がぼやけてしまう。
結局、消化不良な要素が多く、演出としては失敗していると思う。

ここから激しくネタバレ。

禁じ手のオチをさらにひとひねりし、実際は不死となっている由貴の父親や南田医師を含む島民ぐるみの真相隠しなのかと思ったが(これもよくあるオチだけど)、そういう含みもないみたい。
できれば、そうあってほしかったけどなぁ。

評価:★★☆☆☆

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2006年02月08日

ミュンヘン(2005/アメリカ/監督:スティーヴン・スピルバーグ)


munich.jpg1972年9月、ミュンヘン・オリンピック開催中、武装したパレスチナのテロリスト集団“黒い九月”がイスラエルの選手村を襲撃、最終的にイスラエル選手団の11名が犠牲となる悲劇が起きる。これを受けてイスラエル政府は犠牲者数と同じ11名のパレスチナ幹部の暗殺を決定、諜報機関“モサド”の精鋭5人による暗殺チームを秘密裏に組織する。チームのリーダーに抜擢されたアヴナー(エリック・バナ)は、祖国と愛する家族のため他の4人の仲間と共に冷酷な任務の遂行に当たるのだが…。

私のように、(例によって)ほとんど予備知識ナシで観るのはやや無謀。事前に事件の背景を予習しておいたほうがスムーズに鑑賞できる。

こういったドキュメンタリー的な性格を持つ作品は、感想などたいして意味がないように思う。何を汲み取り、自分の中でどう消化し、どこに正義の指針を置くか。
国家の報復合戦という愚かしい現実を描いた本作に、感動や共感はない。
映画を観るにおいて、登場人物の誰にも共感できないというのはけっこうツライことだ。鑑賞後もずっしりと疲労感が残る。
もちろん、テロリストや暗殺者をカッコよくスマートに描いても意味がない。苦悩し、自問し、自我が崩壊していく暗殺者を見て、なんて愚かなんだろうと思わせてくれればいい。

このような映画が面白いわけがない。
とにかく暗くて重くて長い作品だけれど、このような事実を知り、現実を再確認することに自分なりの意義を見出せば良いのではないだろうか。

評価:★★★☆☆

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2006年02月01日

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々(2005/ドイツ/監督:マルク・ローテムント)

シャンテ シネ@日比谷】

shirobara.jpg1943年のドイツ・ミュンヘン。“打倒・ヒトラー”を訴え、ビラ配りなどのレジスタンス活動を繰り返す“白バラ”と呼ばれる地下組織が存在した。2月18日、メンバーの一人、ミュンヘン大学の女学生ゾフィー・ショル(ユリア・イェンチ)は、兄ハンス(ファビアン・ヒンリヒス)とともに危険な大学構内でのビラまきを敢行し、運悪くゲシュタポに逮捕されてしまう。すぐさま、ベテラン尋問官のモーア(アレクサンダー・ヘルト)により厳しい取り調べが開始される。ゾフィーは恐怖を押し殺しつつ、毅然とした態度で理路整然と自らの無実を訴え続けるのだったが…。

ゾフィー・ショルについて、「ヒトラー〜最期の12日間〜」で、ヒトラーの秘書となった女性トラウドゥル・ユンゲが生前のインタビューで言及している。
「アウシュビッツやユダヤ人虐殺は自分の知らないところで起こったことで、関係がないと思っていた。しかし、後に自分と同年のゾフィー・ショルという女性の存在を知り、自分の罪を知った。知らなかっただけでは済まされない。目を見開けば気づくはず」

ユンゲがヒトラーに忠誠を尽くす一方、ゾフィーはゲシュタポの取り調べで、ナチスの行っているユダヤ人および精神障害児の虐殺を批判し、良心に反すると主張している。
人は、自分の帰属している社会が間違っているとは、理由もなく他者を虐げているとは考えたくない。知りたくないことに目をつむり、周囲から与えられる耳触りの良い情報だけで判断して生きていくのは楽なことだ。
後からナチスを批判することはいくらでもできるけれど、渦中にあって自分の良心と信念に従い行動することができるのだろうか。
大多数の人は、ヒトラーの秘書ユンゲや、ゲシュタポの取調官モーアのような思想で事態を見ることになるのではと思う。
だからこそ、ゾフィーの精神性に圧倒され、言葉を失う。

物語はほぼ、モーアによるゾフィーの取り調べと、狂気の法廷シーンのみ。モーアの取り調べが静かな緊張に満たされたものであれば、法廷シーンではダイナミックな高揚を感じる。実にスリリングな演出。
ゾフィーやハンスの命を賭けて信念を貫く姿勢は、モーアに強い感銘を与え、法廷では裁判官や傍聴人に恐れを抱かせている。
製作者の思惑とははずれてしまうだろうが、私にはとても“21歳の等身大の女子学生”には見えなかった。まるで預言者か神が憑依しているかのような気高さ、神々しさ。
ゾフィーのように生きることは難しい。何事も、良心に照らし合わせて考え、行動することは簡単ではないけれど、“目を見開いていれば気づく”ことすら気づかないでいることは、罪でしかないことを思い知った。

時を越え、現代の我々に強く訴えかけ、真の勇気について考えさせられる白バラの活動は、決してナチスの前にはかなく散ったのではなく、力強い花弁の一片を残してくれたのである。

評価:★★★★☆

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2006年02月01日

§2月公開映画

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○観たい △観たいかも □気分次第
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現在公開中…
 △秘密のかけら@シャンテシネ
 □僕と未来とブエノスアイレス@銀座テアトルシネマ(レイト)
 ○任侠秘録人間狩り/怪奇!!幽霊スナック殴り込み!@シネマアートン下北沢(レイト)
 □単騎、千里を走る。
 ○白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々@シャンテシネ
 □ミラーマン@渋谷シネ・ラ・セット
 ○楽園 流されて@UPLINK X
 □三年身籠る@新宿武蔵野館
 △ライズ@シネマライズ
2月公開
 ○転がれ!たま子@CINE AMUSE EAST&WEST
 △ベロニカは死ぬことにした@恵比寿ガーデンシネマ
 □プロミス
 ○クラッシュ
 △サイレン
 ○死者の書@岩波ホール
 □アメリカ、家族のいる風景@シネスイッチ銀座
 ○変態村@ライズエックス
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新作は観たいものが少ないので、名画座の準新作上映で昨年の拾いこぼしを中心に観ようかなぁと。
予定としては、「シン・シティ」「SHINOBI」「オペレッタ狸御殿」「ALWAYS 三丁目の夕日」「サヨナラCOLOR」「灯台守の恋」「スクラップ・ヘブン」など。

特集上映は、「東京ハレンチ映画祭」(ポレポレ坐)、「Respect川本喜八郎」(ユーロスペース)に行くつもり。

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