(05/11/30) エリザベスタウン(2005/アメリカ/監督:キャメロン・クロウ)
(05/11/27) マダムと奇人と殺人と(2004/フランス=ベルギー=ルクセンブルク/監督:ナディーヌ・モンフィス)
(05/11/25) 息子のまなざし(2002/ベルギー=仏/監督:リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ)
(05/11/24) ロゼッタ(1999/ベルギー=仏/監督:リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ)
(05/11/23) イゴールの約束(1996/ベルギー=仏=ルクセンブルグ=チュニジア/監督:リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ)
(05/11/22) アクメッド王子の冒険(1926/ドイツ/監督:ロッテ・ライニガー)
(05/11/21) CUBE ZERO(2004/カナダ/監督:アーニー・バーバラッシュ)
(05/11/20) 奇談(2005/日本/監督:小松隆志)
(05/11/19) §石井輝男監督 追悼特集メモ
(05/11/18) アイドルたち(1968/フランス/監督: マルク'O)
(05/11/18) コープス・ブライド(2005/イギリス/監督:ティム・バートン)
(05/11/15) SAW2(2005/アメリカ/監督:ダーレン・リン・バウズマン)
(05/11/13) 親切なクムジャさん(2005/韓国/監督:パク・チャヌク)
(05/11/13) カーテンコール(2004/日本/監督:佐々部清)
(05/11/12) ハックル(2002/ハンガリー/監督:パールフィ・ジョルジ)
(05/11/12) ブラザーズ・グリム(2005/アメリカ=チェコ/監督:テリー・ギリアム)
(05/11/08) ぼくのバラ色の人生(1997/ベルギー=仏=英/監督:アラン・ベルリネール)
(05/11/06) 乱歩地獄(2005/日本)
(05/11/01) 旅するジーンズと16歳の夏(2005/アメリカ/監督:ケン・クワピス)

2005年11月30日

エリザベスタウン(2005/アメリカ/監督:キャメロン・クロウ)


elizabethtown.jpgシューズ会社に勤務するデザイナー、ドリュー(オーランド・ブルーム)は、長年開発に打ち込んできた画期的なシューズが10億ドルもの大損害を招き、会社をクビになってしまう。恋人にも捨てられ生きる望みを失ったドリュー。そんな彼に追い討ちを掛けるように、故郷を訪れていた父親が心臓発作で亡くなったという報せが届く。父の葬儀のためにケンタッキー州の小さな街、エリザベスタウンへと向かうドリュー。失意の彼は飛行機の中で、陽気でお節介焼きのフライト・アテンダント、クレア(キルスティン・ダンスト)と出会うのだが…。

それなりに期待して観に行ったんだけど…(レディースデイ1000円だけど)。いやぁダメでした。まったく受け付けません。
感情移入できるツボも見当たらず、どっか上滑りなまま話は進み、告別式での母親のスピーチあたりから完全にしらけてきて、あとはもう早く終わってくれと祈るばかり。この内容で2時間はどう考えても長すぎる。
しかし、観客のなかには「お母さんのスピーチで泣いちゃった」と言ってる人もおり…。感動系だったのかこれ Σ (゚Д゚;)

いろんな要素が詰め込んであってテーマがはっきりしないし、この手の映画にしてはディティールが甘くリアリティがなさすぎる。
1デザイナーの失敗で1000億の損失って、どんだけずさんな経営か…とか。
一晩であんな手の込んだ地図作れるかぁ? …とか。
そもそも仕事はどうしたんだクレア…とか。
映画なんだから非現実的な設定だってかまやしないんだけど、そこはいかにもリアリティのある見せ方してくれないと。

つかみどころのないクレアのキャラクターは、ぎりぎりヤバイ。脳内彼氏と“クレアの地図”には引いた。あの作戦、効果的ではあるがかなりあざといね。
クレアの指示を忠実に実行して、手の上でころころ転がされちゃってるドリューもなんだかねぇ。バカみたい(あ、言っちゃった)。
そもそも、仲の良かった父親が死んだのに、女といちゃついてる場合かオマエ?

評価:★★☆☆☆
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2005年11月27日

マダムと奇人と殺人と(2004/フランス=ベルギー=ルクセンブルク/監督:ナディーヌ・モンフィス)


青山劇場で「リトルショップ・オブ・ホラーズ」のミュージカルを観た帰りに。

経験上、映画のハシゴはへっちゃらなのだが(しょっちゅうダ)、舞台−映画のハシゴはキツイ。
舞台ってのは余韻が深いもので、次に何を見ても印象が薄くなってしまうのである。
わかっていたのに、場所的にも時間的にもちょうどよかったのでハシゴしてしまった…。
リトルショップ〜は軽いノリのミュージカルなので油断していたが、やっぱり失敗だったなぁ。この映画、公開前から楽しみにしていたのに、もうずっと "little shop, little shop of horrors♪" のナンバーが頭ん中ぐるぐるしちゃって。

madame.jpg墓で若い女性の死体が発見された。レオン警視(ミシェル・ブラン)はさっそく現場に向かうが、これは、連続殺人事件の始まりに過ぎなかった! 彼は下宿つきのビストロ“突然死”にも聞き込みに入る。ここには個性的な面々が集まっていた。おかまのイルマ(ディディエ・ブルドン)、芸術家気取りでマズイ料理を出すコック、いつも鳥を連れてやってくる老人etc。そんな中、イルマの娘が父を訪ねてやってくる。娘はおかまのイルマを受け入れるだろうか? そして殺人事件の行方は?

“突然死”のおかしな常連客以外にも、編み物好きの警視、その母親の懸賞マニア、ボヤく犬、役に立たない部下、イカレたファッションの秘書など、かなり素敵なメンツ。
その中ではレオン警視とイルマの娘が一見まともに見えるが、なんの葛藤もなく周囲の奇人たちやおかまの父親を受け入れているあたり、柔軟性ありすぎである。

どこまでが個性で、どこからが奇人なのか。
ありのまま生きてこそ、人をありのままに受け入れることができるんだという簡単な図式が、カラフルな世界観に込められている。
簡単そうに見えて、とっても難しいことなんだけどね。
本作に登場する奇人たちは、キュートで前向きで、本質を見極めることができる人たちばかり。こんなふうに生きてくことができたらいいなぁと思わせられる素敵な映画である。

関係ないけど、先週はダルデンヌ兄弟の旧作上映に通いつめてたし、図らずも一人ベルギー映画祭りをやっていたことに気づいた。
どことなく土や埃の匂いがしてきそうなベルギー映画、いい感じだね。

評価:★★★☆☆

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2005年11月25日

息子のまなざし(2002/ベルギー=仏/監督:リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ)


2005年度カンヌ映画祭パルムドール受賞「ある子供」公開記念・ダルデンヌ兄弟特集上映にて鑑賞。

同じ特集上映で、「イゴールの約束」「ロゼッタ」を観て、非常に好みの作風であったため、すぐにこれも観る。
奇しくも製作年順の鑑賞となったが、この兄弟監督の作品はどんどんシンプルに、そして研ぎ澄まされていくようである。

lefils.JPG職業訓練所の木工クラスを受け持ち、少年たちに技術を教えているオリヴィエ(オリヴィエ・グルメ)。新たに入所したフランシス(モルガン・マリンヌ)という少年が木工クラスを希望したが、オリヴィエは手一杯だという理由で断ってしまう。ところが、オリヴィエはなぜかフランシスが気になる様子。結局オリヴィエは後日フランシスを自分のクラスに受け入れるのだったが…。

典型的な職人肌のオリヴィエは、寡黙で無愛想。元妻の「なぜ訓練所を辞めないの」という問いに「教えることが好きなんだ」というセリフがあり、少年たちを育てることに情熱を注いでいるのがわかるのだが、ふだんの指導ぶりを見ても、ぶっきらぼうな口調で必要最低限のことしか言わない。
おそらくは生来の資質でもあるのだろうが、過去の不幸なできごとが彼の人生に暗い影を落としているのは明らかだ。元妻と別れたのも、その事件が原因の一端であったことも想像に難くない。
突然、その事件の元凶である少年フランシスが眼の前に現われ、動揺するオリヴィエ。
しかし前半ではふたりの関連性は明らかにされないので、オリヴィエのフランシスへの関心が何に起因するものなのか、まったく予測がつかないのだ。

同じ立場であったならば、多くの人はオリヴィエの元妻のようにパニックに陥るだろう。
もちろんオリヴィエも、とことんまで糾弾し懺悔させたい気持ちもあるはずだ。人間だから当然のことである。
本作もまた、極力センチメンタリズムを廃し、主人公の心情に踏み込まないつくりになっているので、オリヴィエがいったい何を考えているのかわからない。フランシスへの指導や少ない会話を通して、少年の本質を見極めようとしているのか、あるいは何かとてつもないことをたくらんでいるのか、作業場や車中での微妙な距離感が薄氷を踏むような緊張感を伴い、痛いほどである。

オリヴィエは最後まで少年の名前を呼ばなかったし、少年は睡眠薬を常用するほど情緒不安定で、彼なりに苦しんでいるのもわかる。
そんなふたりが今後どのような関係を築いていくのか、ほとんど予測できない終わり方が深い余韻をもたらす。逆に、いかようにも考えられる余地があるということ。
フランシスを受け入れたように見えるオリヴィエだが、この先もきれいごとでは済まされない葛藤があるだろう。
深い絶望や大きな罪を抱え、果たしてどのように生きるのが人間らしいのか、そんなことを考えながら帰途についた。

評価:★★★★☆

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2005年11月24日

ロゼッタ(1999/ベルギー=仏/監督:リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ)


2005年度カンヌ映画祭パルムドール受賞「ある子供」公開記念・ダルデンヌ兄弟特集上映にて鑑賞。

オートキャンプ場のトレーラーハウスで、アル中の母親と暮らすロゼッタ(エミリー・デュケンヌ)。きちんとした職に就いてまともな暮らしがしたいと切望しているが、せっかく手に入れた工場の仕事も解雇されてしまう。だが涙を見せることもなく、仕事探しに奔走するうち、ワッフル売りのワゴンで働く青年リュケと親しくなる。

欧米ではトレーラーハウスで生活している最下層の白人種は“ホワイトトラッシュ”と呼ばれるが、この親子は自前のトレーラーハウスすら持たず、家賃を払ってオートキャンプ場で暮らしている。母親は酒浸りでしょっちゅう男を引っ張り込むし、住所不定だからまともな仕事にはなかなかありつけない。
こんな貧乏スパイラルから抜け出すのは生半可なことではなく、ロゼッタの前途は暗澹たるものだろう。だがロゼッタは痛々しいほどバイタリティにあふれ、定められた運命を変えようとあがく。少女らしい潔癖さで母親をなじり、庇護し、他者の施しはきっぱりとはねつける。
本来なら庇護されるべき年頃の彼女が抱えるストレスは相当なもので、ときおり原因不明の腹痛に襲われている。

まともな暮らしを渇望するあまり、せっかくできた友人すら裏切るくだりは、ほのかに見えた希望の光すら潰してしまうようで胸が痛かった。同時にその生きることに貪欲な姿に圧倒され、責める言葉は見つからなかった。

これほどロゼッタに感情移入してしまうのは、やはり独特のカメラワークとドキュメンタリー風の演出によるものだろう。
オートキャンプ場に戻る前に林の中で長靴に履き替えるシーン、車通りの多い道路を間合いを見計らって横切るシーン、街でワッフルを食べながら水を飲むシーンなど、とくに意味をもたない日常的なシーンが数え切れないほど反復される。ロゼッタの行動や習慣が、取捨されずに映し出されることによって、彼女に最も近い観察者となるのだ。

常に前屈みで、何かに急きたてられているように早足で歩き、ほとんど無表情で可愛らしいとは言えないロゼッタ。
ラストシーンで彼女が初めて見せる、搾り出すように感情をむき出しにする姿はとてもいとおしい。

評価:★★★★★

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2005年11月23日

イゴールの約束(1996/ベルギー=仏=ルクセンブルグ=チュニジア/監督:リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ)


2005年度カンヌ映画祭パルムドール受賞「ある子供」公開記念・ダルデンヌ兄弟特集上映にて鑑賞。

ベルギーで修理工見習いをしているイゴール(ジェレミー・レニエ)は、不法移民の斡旋をして稼いでいる父・ロジェ(オリヴィエ・グルメ)と二人暮らし。仕事中にも父の手伝いに呼び出され、しょっちゅう早退しているイゴールは、ほどなく仕事をクビになる。
ロジェが移民を住まわせているボロアパートでは、アフリカ移民のアミドゥが妻のアシタと赤ん坊を国から呼び寄せていた。ある日、アミドゥが事故で大怪我を負い、イゴールは病院へ連れていこうとするが、面倒を恐れたロジェに止められる。アミドゥはイゴールに妻子のことを頼むと言い残して死んでしまう。妻のアシタには夫の死を隠し、なんとか帰国させようとするが、夫を信じているアシタはアパートを出ていこうとせず…。

センチメンタリズムを廃した独特のカメラワークが、生々しいほどのリアルさを持つ。ストーリーに派手なところはないのに、一瞬たりともスクリーンから眼が離せなかった。

ベルギーの最下層で暮らす親子が、さらに弱い者(不法移民)から搾取して生計を立てている。父親のほうは、罪悪感など持たず、都合の悪いことは忘れて生きているように見えるが、そうしなければ愛する息子を幸せにすることはできないと信じてふるまううちに、いつしか本当にそういう人間になってしまったのだろう。
イゴールもそんな父親に精神的に支配されており、父親そっくりな言動が目立つ。父親の命令に盲従し、やりたい仕事もあきらめてしまう。すっかり人間的な感情が麻痺しているように思えるイゴールだが、アミドゥの事件がきっかけとなり、約束を果たす誠実さと、真実から逃げないで生きることを選択する。
イゴールが選んだ道は、同時に愛する父親を否定しなければならないということ。これは子どもにとって何よりも苦しく、つらいことである。親を捨てるということは、大人になってもなかなか思い切れないものなのだ。15歳のイゴールにとっては世界が一変するほどの決断であったろう。
イゴールはどのように生きていくのか。
観る者にすべてを委ねたラストが美しく、余韻が残る。

評価:★★★★☆

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2005年11月22日

アクメッド王子の冒険(1926/ドイツ/監督:ロッテ・ライニガー)

東京都写真美術館@恵比寿】

achmed.jpgミッシェル・オスロ監督の「プリンス&プリンセス」を観て影絵アニメに興味を持ったのだが、何しろ観る機会がほとんどないため、今回の「ロッテ・ライニガーの世界」を楽しみにしていた。
ロッテ・ライニガーという監督は知らなかったか、“あまりの美しさに故・淀川長治氏も絶賛し語り続けた”“世界中の多くのアーティストに影響を与えた”“映画史に極めて重要な作品”等のフレコミに期待はふくらむばかり。

achmed2.jpgプログラムは、ライニガー監督の処女作にして最高傑作とされる長編「アクメッド王子の冒険」と短編2本(「パパゲーノ」「カルメン」)。
影絵と侮るなかれ。光と影のおりなす美しいコントラストは圧巻。息を呑むとはまさにこのことだ。
細部まで緻密に作りこまれた影絵に嘆息し、80年も前の作品で特殊技術などは使われていないにもかかわらず、水の波紋、炎のゆらぎ、ランプの精などの繊細な映像表現に驚く。

achmed3.jpgアラビアンナイトをベースにしたストーリーは、王子と王女、魔法使い、魔女、魔物、アラジンとランプの精などが登場し、賑やかで楽しい。
これが極彩色のアニメだったらちょっとくどいかなと思われるほど豪華な布陣だが、影絵には独特の軽やかさがあり、わかりやすい記号的なキャラクターこそ魅力が増すのだ。

オリジナルはモノクロ&サイレントの作品だが、背景を染色しオーケストラ演奏を追加録音したサウンド版ニュープリントはワールドプレミアとなるそうだ。
世界的にも貴重なこのフィルム、見逃したらもったいない!

評価:★★★★★

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2005年11月21日

CUBE ZERO(2004/カナダ/監督:アーニー・バーバラッシュ)


cubezero.jpg殺人トラップが仕掛けられた立方体“CUBE”の管理と被験者の観察を行う職員のウィン(ザカリー・ベネット)は、ある日被験者の女性レインズ(ステファニー・ムーア)に興味を抱く。CUBE内部。レインズが目覚めると、そこには同じく囚われの身となっていた男女がいた。そのうちの1人が自分を襲った部隊の一員だったことから彼女は憎悪をあらわにするが、全員で脱出を試みる。一方、罪の意識に耐えかねたウィンは、レインズを救出するため自らもCUBEに侵入するが…。

さんざんな評価だった前作「CUBE2」に比べ、わりに前評判が良いようなので期待して観に行ったのだが…。
結論から言うと、劇場に足を運んだことを激しく後悔。DVDで充分。というか「CUBE」を10回観たほうが良い。
さんざん宣伝で謳われていた“CUBE起動の瞬間”って何だったのか。
プロトタイプ的ではあるが、とっくに稼動してるじゃん。その前段階が知りたいっての!
そういえばCUBEの目的は明らかになっていたような気がするが、そんな誰でも思いつくようなことを言われても、はぁそうですかとしか言いようがない。

賛否両論ありそうだが、個人的にこのプロトタイプCUBEのデザインは好きになれない。制御システムやトラップは超ハイテクなのに、CUBEの内部は、まるで鉄サビ浮いてるかのようなクラシカルなイメージ。どんな効果を狙ったのか知らないが、アンバランスすぎないか。

「CUBE」へと繋がるラストは、それまでのプロセス次第ではインパクトあるものになっていたはずだが、全体的に雑なつくりのためにせっかくのプロットも無理やりな印象しか持てなかった。
残念な内容で残念です。

評価:★★☆☆☆
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2005年11月20日

奇談(2005/日本/監督:小松隆志)


原作は諸星大二郎の“生命の木”。これが映画化されるとは、コアな監督がいるもんだとビックリである。

kidan.jpg里美(藤澤恵麻)は最近、しばしば奇妙な夢を見る。大学院生として民俗学を研究する彼女は、幼いころに神隠しに遭った。隠れキリシタンの里として知られる東北の村に預けられ、村の少年と遊んでいた時のことだ。少年はそのまま消え、里美はひとり助かった。しかし当時の記憶を失っている彼女は、村の“はなれ”がダムに沈むと聞き、真実を求めて村へと向かう。そして異端の考古学者、稗田礼二郎(阿部寛)と出会う。2人が目にする、もうひとつの聖書に秘められた事実とは?

いや、想像以上によかったです。
伝奇好き、諸星大二郎ファンとしては会心の一撃を喰らわされた感。
残念ながら、原作ファン以外に対してはいっさいかまわないつくりなので、決して一般ウケしないことは断言しよう。
原作つきの映像化って、ここまでばっさり大衆性を切り捨てると良いものになるんだなぁと感心しきりである。

勘違いする人も多そうだが、これは決してホラー映画ではない(一箇所、心臓が跳ね上がるシーンがあるが)。
裏の神話、闇の一族を描いた映画で、そういうジャンルにビビッとくる人には強力におすすめしたい。
常人の想像の及ばない、しっかりした骨格の設定に驚嘆するはずだ。

原作にはとくに厳密な時代設定はなかったように思うが、1972年という具体的な年代に素晴らしくこだわって作られている。細部まできっちりと時代の空気のようなものが感じられ、とっぷり浸かることができた。

藤澤恵麻はこれが初めての映画のようだが、初主演とは思えない自然な演技。
阿部寛のシリアスな演技も、原作の稗田礼二郎の雰囲気がよく出ている(ロン毛じゃなかったけど)。そもそも稗田は狂言回しのようなポジションなので、目立ちすぎず希薄すぎず、奥の深いストーリーによいバランスでなじんでいたと思う。

ちなみに、妖怪ハンターシリーズの映像化には、塚本晋也監督の「ヒルコ 妖怪ハンター」もある。こちらの稗田礼二郎は沢田研二。原作の稗田とは似ても似つかないコミカルなキャラなのだが(やはりロン毛でない)、こちらもよくできており、大好きな映画だ。

評価:★★★★☆

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2005年11月19日

§石井輝男監督 追悼特集メモ

情報入手次第更新(の予定。情報ください)
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■ 更新情報
10/4[仙台セントラル劇場]追悼上映(10/7,14)追加
9/18[新文芸坐]追悼オールナイト特集(11/19)追加
9/13[新文芸坐]追悼特集(10/29〜11/11)更新
9/11[映画秘宝]追悼特集(11月号)追加
9/11[キネマ旬報]追悼特集(10月上旬特別号)追加
9/8 [新文芸坐]追悼特集(10/29〜11/11)更新
9/8 [第62回ベネチア国際映画祭]追悼上映会(9/8)追加
9/5 [東京国際ファンタスティック映画祭2005]追悼企画(10/15)追加
----------------------------------------------------------------------------------
続きを読む

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2005年11月18日

アイドルたち(1968/フランス/監督: マルク'O)

アミューズCQN@渋谷】

les_idoles.jpg1960年代のパリ、サンジェルマン・デ・プレのライブ会場。人気に陰りが見え始めたアイドル、狂乱のジジ(ビュル・オジエ)、短刀のチャーリー(ピエール・クレマンティ)、魔術師シモン(ジャン=ピエール・カルフォン)の3人が、再起をかけて新しいアイドル・ユニットを結成し、その披露会が行われた。記者会見とライブを兼ねたユニークなイベントに、会場には多くの記者やファンがつめかけるが、質疑応答タイムになると、アイドルたちはマネージャーたちの思惑に反し、華やかなショービジネスの裏側にある嘘や欺瞞まで暴露してしまう…。

日本では初公開、幻の60sフレンチ・ヴィンテージ・シネマというフレコミ。
イカれたファッションとキテレツな歌とダンスのパフォーマンスに度肝を抜かれ、もうどこか遠いところへ連れていかれそうでした…。
アバンギャルドすぎてついてくのがやっと。ホントに40年前の映画ですかこれは。

フレンチ・ポップスの“イェイェ”とはどんなものだか知らなかったが、ホントにこれを指して“イェイェ”というのだろうか。3人とも、歌ってるというよりがなり立てている。即席で言いたいこと言ってるだけのような歌詞も強烈だし、何よりも技巧とかリズム感とか超越しているダンスには絶句。何か降ろそうとしている?

3人の常軌を逸したファッションにも注目だ。
常人には決して参考にならない気がするが、チャーリーはセクシーだし、ジジのファッションはかなりカワイイ。

キッチュでポップで原色の悪夢のような映画であった。
いやー、フランス映画って奥が深すぎるよ。

評価:★★☆☆☆

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2005年11月18日

コープス・ブライド(2005/イギリス/監督:ティム・バートン)


cb.jpgナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(レビュー未掲載)以来の、ティム・バートンのストップモーション・パペットアニメ。

パペットアニメといえば、ヤン・シュヴァンクマイエルを始めチェコ産が好きな私は、ティム・バートンのパペットアニメ(ナイトメアはバートン監督ではない罠)は物足りないものがある。やっぱパペットやセットがキレイすぎるからか。
しかし、ナイトメア同様、キャラクターデザインは非常に魅力的。キャラクター主体で作っているところはハリウッド的というか、商業的だなぁと思う。ナイトメアのように、山ほどキャラクターグッズが出るんだろうね。

19世紀のヨーロッパ。小さな村で、ある結婚式が迫っていた。新郎はビクター(声:ジョニー・デップ)。成金夫婦の気弱な一人息子だ。新婦のビクトリア(エミリー・ワトソン)は、落ちぶれた貴族の娘。つまり、この結婚は政略結婚。でも若い2人は出会った途端、互いに好意を抱く。が、内気なビクターはリハーサルをこなすことができず、暗い森でひとり練習することに。そして誓いの言葉とともに、小枝(と思われたもの)に指輪をはめた。それが、コープスブライド(死体の花嫁)のエミリー(ヘレナ・ボナム=カーター)の細い指だとは知らずに!

ストーリーはシンプルでわかりやすく、緻密なアニメとダークでポップな世界観が美しい。
生者の世界はモノクロで湿っぽく、俗物的な住人ばかりで、心やさしいビクターやビクトリアのような人間が利用され虐げられている。対する死者の世界はカラッと明るく、住人は陽気に暮らしているという逆転した価値観は、バートン節ともいうべき独自の世界観。

印象に残ったのは、無数の蝶に変わるエミリーの昇天シーン。こだわりの監督だけに、あそこだけCGとは思えないが、どうやって撮影したんだろう?

評価:★★★☆☆

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2005年11月15日

SAW2(2005/アメリカ/監督:ダーレン・リン・バウズマン)


イカン、ぼけっとしてたら今週で上映が終わってしまう!
というわけで遅ればせながら観てきたよ。ソリッド・シチュエーション・スリラーという、わかったようなわからないようなジャンルを打ち立てた「SAW/ソウ」の続編。
ネタバレありぽ。

saw2.jpg刑事エリックのもとに殺人事件発声の報が来る。現場には惨殺死体が転がっていた。その手口は残虐極まりなく、頭部が半分欠如していた。刑事の頭に、世の中を騒がせた連続殺人犯ジグソウの影がちらつく。果たして、あの連続殺人事件の時のように、またしてもジグソウの犯行なのか?

Jigsawは嘘は言わないが本当のことも言わないので、彼の言葉の裏を読みつつ、半ばゲームに参加しているような気で観るのが正しいのだろうが、冒頭からいきなりのショッキングシーンにこちらのテンションもあがりっぱなし。30秒でSAWワールドに引きずり込まれ、あとは翻弄されるがまま。
あとから考えれば、Jigsawはかなり慎重に言葉を選んで最大限のヒントを与えてくれているのがわかるのだが、というか前作観てたらそういう映画だと心していたはずなのだが…、またやられちゃった( ゚Д゚)

私としては、8人の屋敷脱出ゲームは手の込んだトラップのひとつでしかないところを大いに評価したい。
この脱出ゲームだけを取れば、偶発的な要素も多くJigsawにしてはやや杜撰だなぁと思ってしまうのだが、本当のターゲットであるエリック刑事とのゲーム、これはもう完璧にJigsawのすじがき通りであることに舌を巻く。結局、8人はゲームの駒というか装置にすぎないので、Jigsaw的には着地点(ダニエルが生き残る)さえ狂わなければどう展開してもかまわなかったんじゃないだろうか。8人のなかに、いかにも暴走しそうな筋肉バカが放りこまれていて、案の定進行を引っかきまわすのも、逆上しやすいエリック刑事へのハンディの一つと思われる。
前作のような斬新さは薄れたが、緻密さにおいては勝るとも劣らない。

前作を観てない人は観ないだろうが、予想以上に前作を踏襲しており、シリーズものとして成功しているという奇跡のような続編である。
前作に残った謎をああいう形で見せるセンスの良さには脱帽。あの惨劇のバスルームが映った瞬間、隣のカップルの女の子が「あっ!」って声あげてました。大げさでなく、扉が開いたあの一瞬のためにこの映画を観る価値は十二分にある。

それにしても、あの一軒家は何なんだろ。地下に異常に広いバスルームがあるというふしぎなつくり(でもバスタブは普通)。
寒そうでイヤですね。

評価:★★★★☆

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2005年11月13日

親切なクムジャさん(2005/韓国/監督:パク・チャヌク)


正直、韓国映画はあまり好きではないのだが、「オールド・ボーイ」には衝撃を受けた一人です。
復讐をテーマに3部作作っちゃうとは、やはりあちらの人は業が深い。

kumuja.jpg天使のような美貌と残忍な手口で世間を騒然とさせた幼児誘拐事件の犯人クムジャ(イ・ヨンエ)は、服役中、誰に対しても優しい微笑を絶やさなかったことから“親切なクムジャさん”と呼ばれるようになる。13年間の服役を終えて出所した彼女は、自分を陥れたペク先生(チェ・ミンシク)に復讐するため、かつての囚人仲間に協力を依頼する。ペク先生により引き離された娘と再会を果たし、ついに彼を手中にいれた彼女だったが、本当の復讐はそこからが始まりだった…。

クムジャさんが復讐に至る経緯と復讐へのプロセスが、時間軸をずらし、パッチワークのように散りばめられているため、全体像を把握しづらい。
伏線となるセリフやシーンが細部まで把握しきれなかったのだが、パズルのように頭の中で組み立てていくと、綿密で周到な復讐劇が浮かび上がる。

伏線を追いきれなかったというのもあるだろうが、意図的に説明されていないと思われる設定も多く、最後までクムジャさんに感情移入することはなかった。このあたり決して復讐を美化しているわけではなく、むしろ復讐の虚しさとか意味のなさを感じさせるつくり。
クムジャさんの復讐の動機にちょいと逆恨み的なところがあったり、復讐を遂げた後も決して救われていないところも監督の意図するところだろう。さすがだ。

復讐シーンについては、直接的な描写はないものの、手段としてはかなり衝撃的。ストレートすぎて最も恐ろしい復讐方法といえる。いやぁ親切だなぁ、クムジャさんは。
これほど恐ろしい復讐劇でありながら、ブラックな笑いを誘うシーンのタイミングもよい。復讐コメディとまではいかないが、思わず苦笑してしまう。

こういう複雑な構成の映画で、隣がやたら落ち着きのないカップルの男性だったのは不運だった。上映中に3度も前を横切られるし常にゴソゴソしてるし、集中力途切れまくり。おそらく頭が悪くて映画の内容がまったく把握できなかったのだと思うけど、子どもじゃないんだから2時間くらい我慢しなさいね。

評価:★★★★☆

4043572123親切なクムジャさん SYMPATHY FOR LADY VENGEANCE
大石 圭
角川書店 2005-10-25

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2005年11月13日

カーテンコール(2004/日本/監督:佐々部清)

シネマミラノ@新宿】

curtaincall.jpg東京の出版社で働く香織(伊藤歩)は、初めてものにしたスクープ記事が原因で、しばらく福岡のタウン誌の編集部へ異動することに。そこで、下関の映画館・みなと劇場にいたある芸人のことが書かれた読者からのハガキに興味を覚え、取材に行く。
みなと劇場で昭和33年から働いているという宮部絹代(藤村志保)という女性から、幕間芸人として人気のあった安川修平(藤井隆)の話を聞き、足取りを追ううちに、修平の娘である美里(鶴田真由)にたどり着く。

シネマミラノではハングル語字幕つきというのが不思議で、歌舞伎町という場所柄かなぁと思っていたのだが、映画を観て納得。昭和30年代の映画館が舞台の物語というだけではなく、在日朝鮮人というテーマも含まれていたのである。
下関に縁のある方ならばなじみやすい問題なのかもしれないが、私のようにほのぼの人情劇を予想していると面食らう。
修平が下関で幕間芸人だったのは短い期間で、韓国人としての人生のほうが長いということもあり、香織が修平の足跡を追いかけていくほど在日朝鮮人がはらむ悲劇や問題提起的な色合いが強くなっていく。
父への葛藤や民族的マイノリティを抱える美里役の鶴田真由が良い演技をしており見ごたえがあるが、前半と後半ではだいぶトーンが変わってくるので、最初からそういう映画だと思って観たほうが良いかもね。

みなと劇場は実在の映画館だそうだが、現在のシネコンとはまとう空気が違う。東京にもまだこういう雰囲気の映画館が多少は残っているが(三軒茶屋中央劇場とか)、意外と地方のほうが淘汰は早いのかも。やっぱり若い人やカップルで映画観るならシネコン行っちゃうしねぇ。
現在のみなと劇場のさびれた光景が、ひと昔前の熱気あふれる映画館の光景に切り換わる演出が良い。プログラムピクチャー全盛のころは、幕間芸人が素朴な芸を披露したり劇場内に売店があったり売り子さんが廻っていたり、実に活気があって楽しそうである。現在の映画鑑賞スタンスとは一味違う、行楽という雰囲気があるね。
名前だけは知っている数々の懐かし映画のワンシーンが観られるのもお得。私が観たことあるのは石井輝男監督の「網走番外地」(レビュー未掲載)くらいだったけど。

若き日の安川修平を演じる藤井隆は、歌がうまく穏やかな雰囲気があり、はまり役というほどではないが適役だと思った。新喜劇の舞台やテレビではだいぶはっちゃけているけれど、実際はすごく繊細で物静かな青年なのですよ、彼は。
でも、年老いた同人物が井上堯之ってのは面影なさすぎじゃないだろうか。いや、彼は彼で良い味を出してはいるけれど。
その他、何十年もみなと劇場で働いている品の良い藤村志保や、差別を受けてきた影を感じさせる鶴田真由など、達者な役者が揃っており安心して観られる。

修平が映画のフィルムをみなと二番館に運ぶところや、映写室のシーンなど、「ニュー・シネマ・パラダイス」を彷彿とさせるところがある。
まさに映画館で観ることに意義がある映画で、自宅のテレビで観ると魅力が半減しちゃうかもね。

評価:★★★☆☆

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2005年11月12日

ハックル(2002/ハンガリー/監督:パールフィ・ジョルジ)


hukkle.jpgハンガリーのとある村。夏の早朝。一人暮らしのチェクリックおじいさんは朝からしゃっくりが止まらない。おじいさんが家の前のベンチに腰を据えた頃、村もようやく動き始める。アヒルがエサ場へと向かい、ブタが散歩に出かける。しかし、一見のどかなこの村で、何やら奇妙な出来事が起こっていた…。

…ものすごく不思議な映画。
じいさんのしゃっくり(=ハックル)が延々と続く中、人々の暮らし、動物の営み、植物の成長が淡々と映し出される。セリフもストーリーも各ショットの関連性も、あるようで、ない。ないようで、あるのかもしれない。
それぞれのショットも、アップになったり俯瞰になったり、どこまでも自由。
のーんびりしているかと思えば、ところどころ妙な風景が眼につくので油断できない。あれ、なんかこの村おかしいね??
でも結局、何がおかしかったのか、どうなったのかさっぱりわからないまま。

何だろうかこの奇妙な感覚は。
虫も植物も動物も人間も並列に映るところが、まるで村を包む大気にでもなったような気になるからかもしれない。
人間の尺度で考えると何やらおかしなことが起こっているようなのだが、それも大気にとっちゃ意味のないことで、自然の営みのひとつなんだろうね。

ところで私もしゃっくりがよく出ます。体質でしょうか?

評価:★★★☆☆

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2005年11月12日

ブラザーズ・グリム(2005/アメリカ=チェコ/監督:テリー・ギリアム)


grimm.jpg19世紀のドイツ。兄ウィル(マット・ディモン)と弟ジェイコブ(ヒース・レジャー)のグリム兄弟は各地の村を旅して、その地に伝わる古い物語を集め回っていた。その一方で、村人たちを苦しめている恐ろしい魔物がいればそれを退治し、賞金を手にしていた。ところが、魔物の正体は兄弟とその助手たちがでっち上げたイカサマだった。しかし、それがバレて将軍ドゥラトンブに捕まった兄弟は、ある村で起きている少女連続失踪事件の解明を命じられるのだが…。

うわぁ、えらいけなされてるなぁこの映画。嫌味でなく、けなしてる人は何を期待していたのか知りたい。
私はファンタジーは嫌いなのだが、ゆるーい笑いとグロテスク描写満載の本作は楽しめた。
これは宣伝にやや問題ありかな。ファンタジー大作に見せかける作戦にしないで、腹割ってグロいドタバタ映画なんですわーって言っとけばよかったのに。個人的にはこの程度じゃまったくグロいと思わないが、そんな前触れならわざわざ劇場に足を運んだ夢見るファンタジーヲタががっかりすることもなかったのでは。

グリム童話のモチーフがいくつか出てくるが(赤ずきん、白雪姫、ヘンゼルとグレーテル、カエルの王子様、ラプンツェル、眠れる森の美女など)、どれもさらりとしたもの。赤ずきんあたりのおなじみエピソードをもう少し本筋にからめて欲しかった気もするが、まぁグリム童話も数が多いから、あれもこれも詰め込みたくなるのはしょうがないか。

呪われた女王役のモニカ・ベルッチはため息が出るほど美しく、本来のヒロイン役レナ・ヘディはやや割を食ってしまったかも。
風景や衣装の重厚さに比べ、ストーリーに深みはなくバタバタしている感じだが、冒頭のペテン師兄弟の脱力するノリについていければ充分楽しめる。

ところで、公式サイトが尋常じゃないほど重くて、とても内容を閲覧する気になれないのだが…。
何か見られたくないことが書いてあるのかもしれません。見ないけど。
ブラザーズ・グリム公式サイト

評価:★★★☆☆

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2005年11月08日

ぼくのバラ色の人生(1997/ベルギー=仏=英/監督:アラン・ベルリネール)


郊外の住宅地に引っ越してきた平凡な家族。だが末っ子のリュドヴィック(ジョルジュ・デュ・フレネ)は、男の子でありながらドレスや人形遊びが大好き。なにかのまちがいで男に生まれてしまったが、将来は女の子になって好きな男の子と結婚したいと思っている。
自分は本当は女の子だと信じているリュドが起こす行動の数々は、地域や学校に波紋を呼び、やがて家族も白い目で見られるように…。

うーん、難しいね。
この映画では、リュド役の少年がきゃしゃで愛らしくて、本当にドレスが似合うような子なので、男の子らしさを強要する周囲の大人に苛立ちを覚えたりするけれど、これがごつくてブサイクな男の子だったらどうだろう。
まぁ、実際にはそういうキャスティングをしなかったことで、重いテーマとファンタジックなシーンのバランスがとれ、観やすい映画になってはいるけれど。

自分の周囲、または家族に、マイノリティが存在したら、個を尊重することができるだろうか。正直なところ、この家族のように時間はかかるかもしれないと思う。
あるいは自分がマイノリティだったら。自分を殺して周囲に溶け込もうとするのか、ありのままの自分をつらぬこうと思うのか。
死ぬ直前、より自分らしい人生だったと思えるほうを選びたいけれど、そういうふうに生きやすい社会を構成する一員でもありたいものだ。

不器用で一途な少年の今後は、決してバラ色なだけではないだろうけれど、そう不幸な人生でもないと思いたい。

評価:★★★☆☆

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2005年11月06日

乱歩地獄(2005/日本)


かつて映像化されたことのない江戸川乱歩の短編4編を、それぞれ異なる監督と役者が担当したオムニバス。
私の好きな「鏡地獄」「芋虫」が入っているので、これは観ねばなるまいと思っていた。

ranpo2.jpg火星の運河(監督:竹内スグル/出演:浅野忠信)
コメント不可能。原作も読んでない(ような気がする)。よくわからないです。

鏡地獄(監督:実相寺昭雄/出演:成宮寛貴、浅野忠信)
実相寺監督はすでに何本か乱歩映画を撮っており、パターンが確立しているので安心して観ることができた。さすがに今回の明智小五郎は嶋田久作ではなかったが…。
乱歩の倒錯性をよりディープに表現する監督で、その点は今回も成功していると思うのだが、毎度のことながら倒錯描写と謎解きを両立させようとするのは何故なんだろう。そもそも明智小五郎は何のために出てくるのかよくわからないし、犯人の動機も無理がありすぎる。
今回も倒錯趣味の美青年が熟女(吉行由実)を縛る図が出てくるが、一般客はびっくりしちゃうんじゃないの。成宮寛貴ファンの方、大丈夫ですかぁ。
マニアックな倒錯描写は、ぜひ乱歩の「陰獣」か伊藤晴雨の伝記映画あたりを撮って活かしてもらいたい。
ところで、明智小五郎の妻って…何者?!

芋虫(監督:佐藤寿保/出演:松田龍平、浅野忠信)
乱歩作品の中でも、これだけは絶対に映像化されまいと思っていたので、最も注目していた。大森南朋よく引き受けたなぁ。
究極の倒錯性を追及した原作を比較的忠実に映像化していると思うが、やや耽美に傾きすぎ。手足をなくした夫を愛玩しいたぶる女の狂気を突き詰めると暗澹たる作品となってしまうだろうが、ラストはどうも納得いかなかった。そんな殊勝な女の話にしてはいけないと思う。
松田龍平の役名・平井太郎は乱歩の本名だし、「屋根裏の散歩者」と「盲獣」のエッセンスが少し入っているのは乱歩ファンなら自明のこと。

ranpo.jpg(監督:カネコアツシ/出演:浅野忠信、緒川たまき)
おそらく初監督作品だと思うが、イラストレーターらしい独特のポップな世界観に入り込みやすく、浅野忠信の使い方もうまい。
個人的に、乱歩の映像化にあたっては、原作の世界観の一部を特化し、監督の個性やカラーが強烈に出ているものが面白いと思うので、そういう意味では4編中最も乱歩映画らしいといえる。

評価:★★★☆☆

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2005年11月01日

旅するジーンズと16歳の夏(2005/アメリカ/監督:ケン・クワピス)


公開前から気になっていた映画。
不安になるほどひっそりとした公開だが、そろそろ上映が終わってしまいそうなので、やはり劇場で観ておきたくなった。

sisterhood.jpg明るく奔放なブリジット、プエルトリコ系で情熱的なカルメン、ギリシャ移民の可憐で内気なリーナ、個性的で反抗児のティビーは、母親たちが同じマタニティ教室に通っていたこともあり、産まれる前からずっと一緒だった。
初めてばらばらに過ごすことになった16歳の夏、ショッピング中の古着屋で、ぜんぜん体型が違う4人の誰が履いてもぴったりサイズという不思議なジーンズをみつける。その魔法のジーンズを買った4人は、ひとり1週間ずつ履いて、そのときの出来事を記録して次の人に送るというルールを決め、それぞれの夏をすごす地に旅立っていく。

女の子4人が主役だが、甘さもほろ苦さもバランスがよく、ガーリッシュすぎないので男性も観やすい作品だと思う。
ただし、“大の男も泣ける映画”というのは誇張ではないので、「男は人前で云々」という人は要注意。
映画の日の本日は立ち見が出るほどの盛況ぶりで、男性も多かったが、場内は男女問わず鼻をすする音が…。

1本のジーンズをリレーし、それぞれのひと夏のエピソードがテンポよく展開。
どのエピソードも過不足なく丁寧に描かれていて、いきいきと泣いたり笑ったりする少女たちがまぶしい。

いつも一緒だった4人が、それぞれひとりで経験することになる、人生の痛みと苦しみ。
それを乗り越えるのは自分自身だが、支えてくれる友だちがいる人生の、なんと充実していることか。
ジーンズの魔法は誰が履いてもサイズぴったりなところだけで、それ以上の奇跡を起こしてくれるわけではない。友情をつなぐことで勇気と励ましをくれ、自ら決断し行動するきっかけとなるキーアイテムに徹しているところがニクイ。

観終わって、非常に満足した気分になるのは、全てにおいてバランスの良い映画だからだと思う。
4人組というのもキャラクターにバリエーションをもたせるのに功を奏しているし、一見ばらばらなキャスティングも、誰が突出することも埋没することもなく、きれいなアンサンブルを見せてくれた。

エピソードの間にジーンズ輸送のプロセスをはさむ演出も、まさに“旅するジーンズ”という感じでとてもよかった。
原題は“トラベリング・パンツ”というらしいが、この邦題も内容にぴったりで良いんじゃないでしょうか。

評価:★★★★☆

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