2003年05月27日

es[エス](2001/ドイツ/監督:オリバー・ヒッツェヴィゲル)

 新聞広告によって集められた被験者が、看守役/囚人役を与えられ、模擬刑務所で一定期間それぞれの役割を演じるという実験が行われた。最初はゲーム感覚で刑務所ごっこを楽しむ被験者たちだったが、徐々に看守たちは特権意識を持ちはじめ、囚人たちは抑圧された日々を過ごすうちに看守に反抗する者や、精神に異常を来たす者が現われる。やがて両者の対立は歯止めがきかなくなり……。
 内容をまったく知らずに見はじめたのだが、コリン・ウィルソンの犯罪実録ものか何かの本で、実際に行われたこのような実験の記録を読んだ記憶があったので、すぐに展開が読めてしまった。しかし、次第にエスカレートする被験者たちの「役割を認知したうえでの心理の変化、それに伴う行動」は予想以上の凄まじさ。誰もが頭の中では「これは単なる実験・刑務所ごっこにすぎない」とわかっているのに、上の立場の者(この人たちは多額の報酬につられて実験に参加しとるのです)に役割を命じられるとここまで人格に影響するものなのか。一時的に与えられたにすぎない「状況」にすっかり人格を支配されてしまう、人間の精神の脆さ、危うさが恐ろしい。「そりゃぁ地球上から戦争や差別がなくならないわけだよな」などとスケールの大きなことから、「立場を利用していばりくさるあの人」のような日常的なことまで、人間心理について非常に考えさせられる問題性の高い映画。
 難を言えば、主人公のラブストーリーは蛇足だったのでは。あと、タイトルのesって何さ?

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posted by bambi at 23:52 | LOG #あ-お

2003年05月11日

夏至(2000/フランス=ベトナム/監督:トラン・アン・ユン)

 「青いパパイヤの香り」以来、この監督の映画を見るのは2本め。あいかわらず素晴らしい映像美にうっとりさせられる。あざやかな緑、黒く流れ落ちる髪、みずみずしい果実、ベトナムってこんなに美しいの? 光にあふれ、しっとりとした空気まで伝わってくる映像は官能的ですらある。
 本当に映像は素晴らしいのでぜひおすすめしたいところなのだが、わかりにくいんだよ、ストーリーが。たいした内容ではないのだけれど、この監督特有の、セリフの少なさ、淡々とした展開、わかりづらい場面転換で筋を追うのに苦労する。そしてアジア人が見ても人物の区別がつきづらいのは何故。
 別に特別エロいわけではないのだが、なまめかしい映像美とあいまって、全編に官能的なニュアンスが漂っているというのに、最後のオチには愕然。大丈夫かベトナムの性教育は。

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posted by bambi at 03:04 | LOG #か-こ

2003年05月11日

時計じかけのオレンジ(1971/イギリス/監督:スタンリー・キューブリック)

 久々に見ました。
 ってかDVD買っちゃった。基本的に、見ようと思えばレンタル等でいつでも見れるジャンル(映画・ドラマなど)のメディアは手元に置かない主義なのだが、DVDって廉価だしかさばらないし、好きな映画くらいは買っといてもいいかもって気になるね。そういうわけでわざわざ買うほどに好きな映画の一つ。
 暴力とセックス(レイプ)とベートーベンをこよなく愛す無軌道な若者、アレックス。倫理感のかけらもない人間だったが、仲間の裏切りにより逮捕され、政府の方針による「犯罪者を無害な人格に矯正する」治療を受け、暴力と性欲(と第九)に接すると激しい苦痛を感じるようになる。人格改造が成功し釈放された彼を待っていたのは、昔彼が蹂躙した人間による復讐だった。
 アレックスのすさまじいヤリタイホーダイっぷりが描かれる前半は、暴力・レイプシーンがとにかくショッキング。「♪I'm sing in the rain〜♪」と能天気に歌いながら無抵抗な人間を殴る蹴る犯すの図は、ちょっと正視に耐えない残忍さ。しかし、見終わってみると、アレックスが治療を受けて子羊のように従順になる後半よりも、テンポ良くバイオレンスが炸裂する前半のほうが吸引力は強いのであった。暴力はイクナイ! からこそ魅力がある。この映画が好きで、評価している人は変態とかヒネクレ者ではなく、むしろ社会に順応している大多数の小市民であろう。
 そして、この映画を語るには欠かせない、独特のスラングと近未来センス(あくまで70年代風味)はかっこよすぎるゼとしか言いようがない。ああいうサイケなファッションやインテリアは私はちょっと苦手であるが、インパクトは絶大。関係ないけど、70年に開催された大阪万博(Expo'70)のパビリオンってあんな感じだったのか?(行ったことないので想像)
 これまたセンスを感じさせるタイトルは、「時計じかけのオレンジ=機械じかけの有機体」ってことで、ライティ・ライト?

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posted by bambi at 03:02 | LOG #た-と

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